「イスラム国」と中東の変動
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「文明の衝突」がイスラム世界内部で頂点に達している
「イスラム国」と中東の変動(3)中東の未来地図
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
大きなパラダイムシフトを通じて、中東はどこに着地しようとするのだろうか。世界が注目する動向について、歴史学者・山内昌之氏は現代史上に先行する相似形を見出している。かつて強大な帝国を倒してつくられた人工国家・ソ連が崩壊していった時のプロセスがそれだ。(シリーズ講話第3話目)
時間:12分35秒
収録日:2015年2月25日
追加日:2015年3月9日
カテゴリー:
≪全文≫

●中東の崩壊プロセスは、ソ連崩壊のリプレイ


 皆さん、こんにちは。前の2回に引き続き、中東で起きているパラダイムシフトとも言うべき大きな変動の性格について、引き続きお話ししてみたいと思います。

 前の回で私は、中東において冷戦構造が再燃しつつある可能性と、そうした構造の出現に注意を払う必要性についてお話をしました。と言いましても、中東の状況が冷戦と全く同じだと申し上げたいわけではありません。ロシアとアメリカは、シリアを踏み台にしてお互いの手打ちをしました。自らは傷つかないように、シリアのようなかたちで代理的な争いを繰り広げるようになった。イラクの国内が三つに分裂していく現在の構図は、やはりそうした流れの中で捉えなければいけないだろうということです。

 そうすると、皮肉なことですが、中東の古いシステムが崩壊するさまは、あたかもソ連が崩壊していった時のプロセスを再現しているかのように見えてならないのです。


●凄絶なユーゴスラビア型をなぞる中東情勢


 ソ連の崩壊では、ロシア、ウクライナ、ベラルーシなどの国々が自立化するのと前後して、バルト3国が分離独立しました。中央アジアではカザフスタンやウズベキスタンといった「~スタン」を名乗るイスラム・トルコ系(タジキスタンだけはイラン系)が次々に独立し、カフカース(コーカサス)では最初にアゼルバイジャンが、続いてキリスト教の歴史を背負ってきたアルメニアとグルジアという国々も独立を果たします。このようなプロセスを経て、ソ連は分解し、崩壊していきました。その廃墟の上に、新しい国家が誕生したのです。

 そして今、私たちはリビアやイエメンの混迷、シリア・イラクが事実上分解していくプロセスに直面しています。これらを通して見えてくるのは、中東地域における分離・独立運動が、チェコ・スロバキアのような平和なタイプでは収まらず、ユーゴスラビアのような暴力的タイプで進行しているのではないかということです。

 チェコとスロバキアは、それぞれが円満に分離することになりました。しかしユーゴスラビアは、セルビア、クロアチアをはじめ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、コソボ、モンテネグロ、マケドニアなどが独立し分離していくために、非常に壮絶な闘いを必要とし、凄絶な内戦を経験しなければなりませんでした。

 ユーゴスラビアはいわば中東のモデルです...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史

人気の講義ランキングTOP10
和歌のレトリック~技法と鑑賞(1)枕詞:その1
ぬばたまの、あしひきの……不思議な「枕詞」の意味は?
渡部泰明
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
「進化」への誤解…本当は何か?(9)AI時代の人間と科学の関係
科学は嫌われる!? なぜ「物語」のほうが重要視されるのか
長谷川眞理子
独裁の世界史~未来への提言編(1)国家の三つの要素
未来を洞察するために「独裁・共和政・民主政」の循環を学べ
本村凌二
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIは間違いが分からない…思考で大事なのは訂正可能性
中島隆博
歌舞伎はスゴイ(1)市川團十郎の何がスゴイか(前編)
市川團十郎の歴史…圧倒的才能の初代から六代目までの奮闘
堀口茉純
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(8)秀長の死の影響と秀吉政権の瓦解
「家康対奉行」の構図は真っ赤な嘘!? 秀吉政権瓦解の真相
黒田基樹
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(5)『秘蔵宝鑰』が示す非二元論的世界
雄大で雄渾な生命の全体像…その中で点滅する個々の生命
鎌田東二
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦