10MTVオピニオン|有識者による1話10分のオンライン講義
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いい研究者がいいマネージャーとは限らない

アメリカ型キャリア・パターンで大学変革を

白石隆
政策研究大学院大学 学長
情報・テキスト
コーネル大学(米国NY州イサカ市)
急成長するアジアの中で、日本はせめて5年先を見据えたいと、政策研究大学院大学(GRIPS)学長・白石隆氏は言う。となると、当然ながら、人材育成のための大学自体に変革が問われていくだろう。企業が持っている当たり前の見方や危機感を大学制度の中に組み込んでいくために、白石氏が注目するのは、アメリカのキャリア・パターンの導入だ。
時間:13:14
収録日:2015/01/21
追加日:2015/05/14
コーネル大学(米国NY州イサカ市)
急成長するアジアの中で、日本はせめて5年先を見据えたいと、政策研究大学院大学(GRIPS)学長・白石隆氏は言う。となると、当然ながら、人材育成のための大学自体に変革が問われていくだろう。企業が持っている当たり前の見方や危機感を大学制度の中に組み込んでいくために、白石氏が注目するのは、アメリカのキャリア・パターンの導入だ。
時間:13:14
収録日:2015/01/21
追加日:2015/05/14
≪全文≫

●変貌するアジアの5年先を見て走っているか


―― 先生の言われている話ですが、アジアの変貌は今ものすごい勢いで、とにかく速いですよね。中国を例に取っても、2004年と2011年では全然別物のようです。そして、2011年以降、この2、3年では、またがらりと変わってきています。

白石 すごい速さで変わっていますね。

 これは、ビジネスの世界ではもうすでに定着していることですが、政治もやはりそのような考え方をしなければいけないと、最近常々思っていることなのですが、結局、バックミラーを見ていては駄目なのです。できれば10年ぐらい先を見据えたい。しかし、10年後はなかなか分かりづらいので、5年ぐらい先の世界やアジアがどうなっているかを考えて、その中で自分がどのように有利な位置に付けるかを考える。それが発想の根本だと、私は思います。

 そうすると、2020年あたりのアジアが相当変わっているのが見えてくるはずです。そこを見ずに、日本が「科学技術では先端を走っている」「先進国で、豊かだ」「かつてのODA大国だ」などといつまでも思っていても、周りはもう全然そうは見ていない。周りは2020年を見て走っているので、「それは、もう20年前の話でしょ」ということになりかねない感じがあります。


●日本企業の想像を絶する急成長アジアの規模感覚


―― その認識のギャップを、日本国内では気が付いていないですね。まだアジアの中で一番だ、と思っている。しかし、1人当たりGDPで見ても、今はもう30位ぐらいですか。1990年代の頭には確かに2位でしたが、ここまで落ちてしまっている。

白石 おっしゃるとおりです。私は最近、半ばショック療法的にですが、特にビジネスマンの人が多いときに申し上げている話があります。インドネシアのライオン・エアというLCCが2012年、ボーイング社に飛行機を3000機注文したという話です。

―― それは、すごいですね。

白石 日本企業の感覚からすると、想像を絶する規模ですね。しかし、今のアジアは、そのぐらいやっても不思議ではない。そこに現実感が伴うだけの成長を、すでに達成しています。

 一事が万事と言いますが、彼らはそういう考え方をしています。中国もやはりまだそうだと思いますし、東南アジアもそうです。恐らく数年すると、インドもそうなってくるのではないかと思います。


●競争力のある分野では、若者が動き始めている


―― その中で今、日本は置いてきぼりになりそうな感じですよね。

白石 ただ、若い人がやっと動き始めた感じも、私は持っています。特にビジネスの分野がそうで、このあたりは多分、私よりよくご存じだろうと思います。私はいろいろな人の経歴を読むのが好きで、どのようなトレーニングを受けてきて、今のその人があるのか、ということを見ます。

 例えば、日本のレストランで、オーナーシェフと呼ばれる人たち。彼らの多くは、外国で10年も15年も勉強したり働いたりしてきているのです。そういう人たちが、東京や関西で、本当に世界的な仕事をされています。

 食に関わる産業は、日本では今恐らく一番世界競争力のある産業の一つだと私は思っているのですが、彼らを見るとそれは当然です。やはり優秀な人が参入していて、世界中で訓練を受けてきて、日本でも外国でも仕事をしているわけですから。

 そういう頭で見回してみると、研究者の中にもまたそういう人が、ようやく出始...
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