編集長が語る!講義の見どころ
「昭和の戦争」に現代日本の教訓を学ぶ(特集&片山杜秀)【テンミニッツTV】

2021/08/13

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上です。
いよいよ8月15日の終戦の日が近づいてきました。やはりこの時期になると、あの戦争の教訓を思わずにおれません。とりわけ、昨今では新型コロナウイルス対策をめぐる政治の混迷を、あの戦争に突入してしまった日本の姿と重ね合わせる議論も散見されますので、余計にです。

本日は、あの戦争について考えるための、珠玉の講義の数々を集めた特集と、新作で大好評配信中の片山杜秀先生による「近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質」講義を紹介いたします。

■本日開始の特集:いまこそ学ぶべき「昭和の戦争」の教訓

「昭和の戦争」に突入したとき、日本人は何を考えていたのか。なぜ悲劇を回避できなかったのか……。そのことを深く考えていけば、現在のわれわれが教訓とすべきことが、数多く見えてきます。「あの失敗」を繰り返さないために、ぜひ学んでおきたい名作講義集です。

https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=127&referer=push_mm_feat

片山杜秀:現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
渡部昇一:この男がいなければ昭和10年代の日本の危機はなかった?
猪瀬直樹:『昭和16年夏の敗戦』『昭和23年冬の暗号』が映す未来とは
片山杜秀:明治憲法の草案にあった「シラス」に日本政治の本分がある

■講義のみどころ:現代政治の問題点は「近衛文麿、東條英機の失敗」でわかる(片山杜秀先生)

コロナ禍のなか、西村康稔コロナ担当大臣や、河野太郎ワクチン担当大臣などの動きが目立っています。しかし、歴史的に見た場合、この「担当大臣」のあり方は「成功」といえるのでしょうか? それとも「失敗」なのでしょうか。

思えば、平成の省庁再編など、近年の日本はさまざまな「改革」を繰り返してきました。はたして、それらは成功だったのか、否か。

本日は、それらの点について片山杜秀先生(慶應義塾大学法学部教授)に歴史的に考究いただいた講義を紹介いたします。

片山先生は、「私からすれば、伊藤博文と近衛文麿と東條英機の話をすれば、おそらく現在の政治をすべて語れてしまうと思う」とおっしゃいます(第9話予定)。はたして、どういうことなのでしょうか。本日時点ではまだ全話の配信を終えていませんが、先の配信内容も含めて案内いたします。

◆片山杜秀:近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(全9話予定)
(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4121&referer=push_mm_rcm1

片山先生はまず、現代の「担当大臣」の是非は、戦前の「無任所大臣」のあり方を学べばわかるとおっしゃいます。無任所大臣は、大日本帝国憲法体制の初期からあったものでしたが、これを強化したのが近衛文麿内閣でした。その動機は、「縦割り制の打破」にありました。

歴史の教科書などで学ぶイメージとは異なり、大日本帝国憲法は、まことに「分権的」な性格をもつ憲法でした。岩倉具視らが明治国家のあり方を考えるにあたり重要視したのが、「第2の徳川幕府を作り出さないこと」ことだったからです。つまり、天皇の力を凌駕する存在が現われるのを避けることを重んじたのです(第3話)。

しかも一方で、天皇が、あたかも強権的な皇帝のように命令することも想定していませんでした。法律も勅令も、「大臣の副署」がなければ発効しないこととされていました。しかも天皇には、あくまで大臣たちの決定を「よきにはからえ」と認めることが求められました。「天皇は神聖にして侵すべからず」というのも、大臣らがすべての責任を負うので、天皇に責任は帰させられないという考えだったのです(第3話)。

加えて、帝国憲法においては、総理大臣の力はとても弱く、単なる閣僚の調整役的な存在でした。1人の閣僚がゴネて辞職してしまったら内閣総辞職をせざるをえなくなることも、ままあったのです。そのため、各省が自分の意志を通すべく各大臣を突き上げ、大臣がそれに唯々諾々と従った場合、閣内での意思統一も難しくなってしまいます。

しかも軍の統帥権(軍隊の最高指揮権)が、内閣と別立ての仕組みになっているので、内閣は戦争の作戦指導などには口出しできません。

実はこれらの欠点に、大日本帝国憲法をつくった伊藤博文自身がすぐに気づいていました。しかし、それを改革する前に、暗殺されてしまうのです(第2話)。

さらに興味深いのは、実は戦前の政治で「強力内閣」といえるのは政党政治の時代だったと、片山先生が指摘されていることでしょう。五・一五事件で犬養毅首相が暗殺されて政党政治は終焉しますが、しかし、その後の挙国一致内閣のほうが、政治力は弱かったと、片山先生はおっしゃるのです。それはなぜか……。それは講義の第4話をご参照ください。

近衛文麿が大政翼賛会をつくろうとしたのも、「無任所大臣」を強化しようとしたのも、また東條英機が進めた政治のかたちも、これらの弊害を正そうとするものでした。とりわけ、東條内閣は戦時下において省庁再編を進めたり、統帥権と内閣の「壁」をなくすために自ら首相と陸相と参謀総長を兼務したりしていきます。また、東條内閣の時期には、むしろ大臣を減らして、内閣の「参謀本部」的な組織をつくるべきだという議論も出てくるようになります。

しかし、それらは無残に失敗していきます。片山先生は、第4話から第7話で、それらの努力と失敗を詳細にご分析くださいます。そして、これらの失敗を見ていけば、現在の政治の問題点がわかるとおっしゃるのです。実際に、第8話、第9話では、現代のあり方が、かつての制度とどのような点で違って、しかしながらどのように似たような失敗に陥っているかをご指摘くださいます。

いろいろ考え、より良いあり方とするために「改革」をしようとする。しかし結局のところ、それは過去の失敗の焼き直し、あるいは「茶番劇」にすぎないものになりかねない……。この視点はとても大切だと痛感させられます。

歴史を真摯に学ぶ意義も、まさにその教訓を得るためともいえるでしょう。必ずや、多くのヒントをいただける講義です。ぜひご覧ください。


(※アドレス再掲)
◆特集:いまこそ学ぶべき「昭和の戦争」の教訓
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=127&referer=push_mm_feat

◆片山杜秀:近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4121&referer=push_mm_rcm2


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レッツビギン! 穴埋め問題
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今回は、「日本美術」についての問題です。ではレッツビギン。

具象的なものと抽象的なものの共存。尾形光琳の「      」はその典型です。この画面の中で、梅は相対的に自然らしい姿で表されています。
(中略)
それに対して、2本の梅の間を流れる水流は、大胆に意匠化されています。

さて「      」には何が入るでしょう。答えは以下にてご確認ください。
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2026&referer=push_mm_quiz


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編集後記
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今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。

さて今回は、今月のプレゼント本を紹介いたします。

森口佑介先生(京都大学大学院文学研究科准教授)の著書
子どもの発達格差 将来を左右する要因は何か (PHP新書)
https://www.amazon.co.jp/dp/4569849784/

書籍の紹介にはこうあります。

◆自制心・思いやりのある子、ない子……なぜ今、二極化?
◇子どもの将来に影響を与える「発達格差」の実態とは?
◆最新の発達心理学が明かす「現代の子どもたちのリアルな姿」

これだけでも大変気になる書籍ではないでしょうか。
現在、シリーズ講義<「自分をコントロールする力」の仕組み (全6話)>が好評配信中ですので、合わせてご覧になると、「子どもの発達格差」「実行機能の意味」についてより理解が深まると思います。

ご応募がまだという方は以下よりぜひ。
https://10mtv.jp/
※「あなたにおすすめ」のところの「今月のプレゼント」でご確認ください。

なお、シリーズ講義<「自分をコントロールする力」の仕組み (全6話)>は以下よりご視聴できます。

◆森口佑介:「自分をコントロールする力」の仕組み (全6話)
(1)自制心と目標の達成
教育現場で注目を集める「自分をコントロールする力」とは
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3907&referer=push_mm_edt