編集長が語る!講義の見どころ
追悼・岡本行夫先生が見通していた世界の行方(テンミニッツTVメルマガ)
2020/05/13
皆さまこんにちは。テンミニッツTV編集長の川上達史です。
岡本行夫先生が4月24日に新型コロナウイルス感染症で逝去されたとのニュースが、先週(5/7)報道されました。
テンミニッツTVでは岡本行夫先生に、2019年11月に伊藤元重先生とのご対談で「アンチ・グローバリズムの行方を読む」という講義をいただいたばかりでした。本当に残念でなりません。心より哀悼の意を捧げたく存じます。
いま世界的なウイルス蔓延により、ますますアンチ・グローバリズムの潮流が強まっています。ぜひあらためまして、岡本先生のご卓見に振れていただきたく、講義をご紹介申しあげます。
◆岡本行夫×伊藤元重:
アンチ・グローバリズムの行方を読む(1)世界情勢の転換
強まるアンチ・グローバリズムの動きをどう見ればいいか
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3063&referer=push_mm_rcm1
この講義シリーズの第3話で岡本行夫先生は次のような言葉を発しておられます。
「1つの時代が終わって、次の新しい時代が始まるという気がします。ただ、その新しい時代は、いままでより、良い時代ではないんじゃないかと思いますね」
※「アンチ・グローバリズムの行方を読む(3)デカップリング」より
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3098&referer=push_mm_rcm3
そのような新しい時代の幕開けを、ウイルス禍が告げてしまったのかもしれません。ただでさえ近年、徐々に世界ではこれまでのグローバリズムの動きに反する動きが強まっていました。今般の伝染病を受け、各国ともに国際的な枠組みではなく、主権国家の枠組みに回帰しているようにも思われます。さらに、米中貿易戦争など世界的な対立構造も深く燃えたぎっていますし、今後、世界経済の停滞とともにますます混迷の度を増していくことでしょう。
世界の今後の動きをどう見ていくべきか。先述のようにこの講義は2019年11月に収録したものですが、すでに岡本行夫先生、伊藤元重先生は下記のようなテーマについて、縦横無尽に、示唆に富むご見解をお話しくださっています。
・グローバリズムのトリレンマとは何か?
・なぜアメリカは、東部のインテリやカリフォルニアのリベラル派の人たちが導いていく時代には戻れなくなったのか。
・「WINNER take all」の資本主義と民主主義との衝突がもたらすものは何か。
・「国内の格差」と「米中の対立構造」という国内外でのデカップリング(分断)がいかに進んでいるか。
・なぜ世界では、中国やロシアをはじめ「独裁者」が増えているのか。
・韓国に対して、日本はいかに対処すべきだったのか。
・米中貿易戦争の行方をどう読むべきか。米中対立の狭間で、日本はいかに行動すべきか。
これからの世界のあり方について考えるうえで、必見の講義です。このようなかけがえのない講義をいただいた岡本行夫先生に厚く御礼申しあげますとともに、ご冥福をお祈り申しあげます。
(※アドレス再掲)
◆岡本行夫×伊藤元重:
アンチ・グローバリズムの行方を読む(1)世界情勢の転換
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3063&referer=push_mm_rcm2
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https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3310&referer=push_mm_rank
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https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3334&referer=push_mm_rank
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レッツトライ! 10秒クイズ
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「ヒトと生物(科学技術)」ジャンルのクイズです。
よく顔の「表情筋」は表情をつくるためにあると考えがちですが、それは哺乳類のなかでは本来の機能ではないそうです。では「表情筋」の本来の機能とは何でしょうか?
答えは下の講義でご確認ください。
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3269&referer=push_mm_quiz
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編集後記
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編集部の加藤です。
先月カミュ『ペスト』が15万部以上の増刷となり、累計100万部を突破というニュースを聞いて、ふと思い出したのは鴨長明の『方丈記』でした。
自宅に積んであった『方丈記』(浅見和彦校訂・訳、ちくま学芸文庫)を開くと、「初めての災害文学」の文字が。当時は平安時代から鎌倉時代へと転換していく、いわば時代の端境期。そんななか、起こった数々の災害を見聞・体験した鴨長明がその実情と実態をつぶさに調べ上げ、書き記したのが『方丈記』。
その時、日本ではどんな様子だったのか。カミュの『ペスト』、あるいは今回の新型コロナウイルスとも、時代・場所・状況いずれも異なりますが、この機会に『方丈記』に学ぶことも貴重な経験になるのではと思い、先週のゴールデンウィーク中から少しずつ読み進めております。
ちなみに、テンミニッツTVではまだ『方丈記』についての講義はありませんので、今後検討(収録)したい講義でもあります。
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