編集長が語る!講義の見どころ
アンチエイジングに挑む(特集&堀江重郎先生)【テンミニッツTV】

2022/04/29

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。

なぜ「老化」するのでしょうか。私たちは「老化」は当たり前のことだと思っていますが、考えてみれば、なかなか不思議なことです。さらにいえば、「アンチエイジング」は本当にできるのか。このことも、人間の身体の不思議に迫るアプローチの1つといえるかもしれません。

本日は、テンミニッツTVの「アンチエイジング」関連講座を集めた特集と、そのなかから堀江重郎先生(順天堂大学医学部大学院医学研究科教授)の講座をご紹介いたします。堀江先生は日本抗加齢医学会の理事長もお務めになったアンチエイジングの第一人者でいらっしゃいます。

■本日開始の特集:アンチエイジングに挑む

さて、アンチエイジングは、老化による身体機能の衰えを防ぎ「健康寿命」を伸ばすことを目的としています。私生活の中で実践できることも多々ありますが、信頼性の低い情報が世にあふれていることも事実です。ぜひ、テンミニッツTVで正しい知識を学びましょう!

https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=162&referer=push_mm_feat

・堀江重郎先生:アンチエイジングにとって非常に重要な「テロメア」とは

・堀江重郎先生:アンチエイジングとは活性酸素を抑えること

・遠藤英俊:多くの認知症の原因は「脳のゴミ」の蓄積

・西野精治:加齢による睡眠の悩みの解消法&睡眠薬とのつきあい方

・河原英雄/上濱正:噛み合わせや歯の健康が人間の健康にとっていかに大事か


■講座のみどころ:老化のカギとなる「テロメア」から考える(堀江重郎先生)

本日特集からピックアップするのは、堀江重郎先生の「アンチエイジング・メソッド」についての講座です。堀江先生は「テロメア」が老化のカギになるとおっしゃいますが、はたしてどのようなことでしょうか。

◆堀江重郎:テロメアから考える「アンチエイジング」(全2話)
(1)老化とテロメアの関係
アンチエイジングにとって非常に重要な「テロメア」とは
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4408&referer=push_mm_rcm1

はじめに堀江先生は、とても興味深い動物実験をご紹介くださいます。2014年の学術論文で発表された研究ですが、ほぼ遺伝子が一緒の実験動物のネズミについて、歳を取ったものと、若いものの2匹を並べて、両者の皮膚をホチキスで繋いでしまいます。すると、毛細血管がくっついて、高齢のネズミと若いネズミの血液が交通することになります。

その結果、どのようになるでしょうか?

堀江先生はこうおっしゃいます。

《面白いことに、若いネズミとくっつけたネズミ(高齢のネズミ)においては、神経が再生してきて、匂いを感じるようになります。また、筋肉が再び盛り上がってきます。そして、血管がより豊富になって、血液の流れが良くなってくるという結果が見られました》

なんと、老化現象が逆転したのです。なぜ、このようなことが起きたのか。研究の結果、若いネズミの血清に「若返りをさせる力」があることがわかったというのです。

現時点では、血清のどの成分に若返りさせる力があるのかはわかっていないそうですが、しかし現在のところ、一番端的に見た目の若さと関係するのが、「テロメア」と呼ばれるものの長さであることがわかっています。

テロメアは、われわれの染色体の一番端っこに位置しており、細胞が分裂するときに染色体を保護する役目を担っていると考えられています。

このテロメアは、受精した瞬間の受精卵の時が一番長い状態で、そこから細胞がどんどん分裂していくと、消しゴムが少しずつ減るように短くなっていく。そして、あるところまでいくと、それ以上細胞は分裂しなくなる。その状態を「老化した細胞」と呼ぶのです。

テロメアの詳細については、本講座で堀江先生が図とともにご解説くださっているので、ぜひご覧いただければ幸いです。

たとえば男性と女性を比べた場合、男性の60歳のときのテロメアの長さが、女性では72歳に相当するそうです。つまり、女性のほうがテロメアが長い。これが男性より女性のほうが平均寿命が長い大きな原因だと考えられていると堀江先生はおっしゃいます。

このテロメアが短くさせるのは、まず加齢。さらに喫煙、肥満、睡眠時間、ストレス、食生活、紫外線、酸化ストレス、その他の有害物質などがあります。基本的にはストレスと生活習慣がテロメアを短くしていくのです。ですから、女性でも、よりストレス度が高い環境にいる方のほうが、テロメアの長さが短いといわれます。

テロメアが短くなると、加齢に関係する疾患、例えば動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病、認知症、がんなどといった疾患の発症リスクが高くなることが知られています。また、筋力や運動能力なども、テロメアの長さと関連しています。

では、どうすればテロメアの長さをのばせるのか。ネズミの実験では、テロメアの長さを維持する酵素をたくさんつくる遺伝子を外から導入したネズミは老化を予防できていることが証明されているといいます。

人間の場合も、アメリカ型のステーキやポテト、動物性の脂の多いベーコンなどの食事ではなくて、いわゆる地中海式のオリーブ、野菜、魚を入れた食事に変えて、ストレスをマネジメントすることを継続した場合、テロメアを再生する酵素の量が増えることがわかっています。

つまり、体に良いものを食べることと、ストレスをマネジメントすることで、テロメアを長く保つことができるのです。

さらに男性の場合は、男性ホルモンであるテストステロンが高い人のほうが、テロメアが長い傾向にあることもわかっています。

では、ストレスコントロールをどのようにすれば良いか、また、がん患者の研究からわかったこととは何か――それらについては、ぜひ講座をご参照ください。

老化の不思議と、アンチエイジングの可能性が見えてくる講座です。ぜひご覧ください。


(※アドレス再掲)
◆特集:アンチエイジングに挑む
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=162&referer=push_mm_feat

◆堀江重郎:テロメアから考える「アンチエイジング」(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4408&referer=push_mm_rcm2


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レッツビギン! 穴埋め問題
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今回は「スターリンの言葉」についての問題です。ではレッツビギン。

スターリンの言葉を用いると、日本のことを、「歴史というのはふざけるのが好きだ。ときには歴史の進行を追い立てる鞭として、(    )を選ぶ」と言っています。日本はもう(    )呼ばわりです。

さて(    )には同じ言葉が入ります。どんな言葉が入るでしょう。答えは以下にてご確認ください。
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4412&referer=push_mm_quiz


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編集後記
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皆さま、今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。

さて、実はいま、長谷川眞理子先生(総合研究大学院大学長)の以下の著書を読んでいます。

『私が進化生物学者になった理由』 (長谷川眞理子著、岩波現代文庫)
https://www.iwanami.co.jp/book/b595688.html

この本は進化生物学者としての長谷川先生の半生記でもあるのですが、これまでの研究についての話がもりだくさんで、そこは痛快だったり腑に落ちたりと、どこを読んでも読みごたえのある内容です。

そのなかで、テンミニッツTVでもご講義を頂いている「互恵的利他行動」と「4枚カード問題」の話は大変興味深く、改めて学びを深められた思いがしました。

その講義は以下になります。

直感で「裏切り者検知」をする脳のモジュールがある?
長谷川眞理子(総合研究大学院大学長)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2187&referer=push_mm_edt

なお、実は実はこの本、来月(5月)のプレゼント本でもあるのです。
5月1日よりサイトで応募開始となりますが、5月に入りましたらメルマガでも改めてご紹介いたします。ご興味のある方は長谷川先生の講義ともどもぜひご注目ください。