編集長が語る!講義の見どころ
選挙をどう読み、どう考えるか/編集部ラジオ&曽根泰教先生【テンミニッツTV】
2022/07/05
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。
第26回参院選の投票日が、いよいよ今週の日曜日(7月10日)となりました。
テンミニッツTVでも、《2022参院選を「深く考える」》と題した特集を6月24日から配信していることは、先日のメルマガでお報せしたとおりです。
本日は、参院選の直前に、この特集に関連して2つの講座を紹介いたします。今回の選挙のこと、それから選挙後のことを考える材料として、ぜひお役立てください。
(1)
◆編集部ラジオ:2022年7月5日
[7/5]参院選前に片山杜秀先生講義のあらすじを知る
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4538&referer=push_mm_rcm1
特集《2022参院選を「深く考える」》では、片山杜秀先生の《石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿》講座(全9話)をトップに置きました。その理由は、この片山先生の講座が、石原慎太郎氏と三島由紀夫、近衛文麿を比較することで、ポピュリズムの本質と問題点を浮き彫りにしている点にありました。
しかし、参院選前に配信できるのが「第5話(7月6日配信予定)」までとなっています。ポピュリズム問題を真っ正面からとりあげた近衛文麿との比較にまで、残念ながら話が進みません。
「ぜひ、その先も知りたい」というご要望もいただき、「編集部ラジオ」で9話までのポイントを少しばかりお話しさせていただきました。まずは編集部ラジオで「あらすじ」をご一聴いただき、後日、配信講義をご覧いただければ幸いです。また、まだ第1話からご覧になっていない方は、ぜひこの機会にご覧ください。
(2)
◆曽根泰教:政治学講座~選挙をどう見るべきか(全9話)
(1)選挙の意味
選挙と政治権力…「選挙に勝つ」とはどういうことか?
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3173&referer=push_mm_rcm3
選挙結果をどう読み、どう考えるのか。このようなときには、これまでの選挙の流れを振り返り、比較してみることも、とても大切です。
曽根泰教先生(慶應義塾大学名誉教授)はこの講座で、各政党の小選挙区と比例代表の「得票数」に注目します。「2000万票」を1つの指標として置き、これまでの選挙で、政党がどのくらいの票数を得てきたかを分析していくのです。
通常は、得票率などパーセンテージで分析されることが多いですが、得票数で大づかみに分析したほうが、かえって情勢がよくわかると、曽根先生はおっしゃいます。たしかに、55年体制から現在まで、政党がいかに力を得ていったか、あるいは力を失っていったかが、おもしろいほど一目瞭然に見えてきます。
政治学は、本来的には間違いなく「生きた学問」です。いかなる政策を追求するのか、それをどのようにして実現させるのか、あるいは阻止するのか。それは、選挙結果や権力闘争の結果次第です。
であるからこそ、いうまでもなく、選挙の結果はきわめて大きな意味を持ちます。この講座で曽根先生は、かつて「55年体制」と呼ばれていた時代はどうだったのかから、民主党政権はなぜ失敗したのかまで、2000万票という数字を基準として置きつつ、幅広く議論を展開されます。
実は、野党の立候補者数をすべて足しても過半数に達しなかった「55年体制」。そこからいかにして1993年の政権交代、さらに2009年の民主党政権の誕生に至ったのか。
「参議院選挙がきっかけで政権交代が行なわれる」といわれたのは、実際にはどのような姿だったのか。
日本の選挙制度の問題点はどこにあるのか。最盛期に3300万票も獲得した民主党が、いかに失敗したのか。
そのような問題点が、得票数の推移を通して、とてもクリアに見通せるようになります。さらに、曽根先生のお話は、政策実現過程の問題から、選挙戦略のイノベーションにまで進んでいきます。
長年、政治の第一線に迫ってこられた曽根先生ならではのエピソード(曽根先生が実際にご見聞された話)も、ふんだんに盛り込まれ、政治の本質がどんどん解き明かされます。
この講座は2019年に収録・配信したものですが、この内容と、最近の選挙の各党の獲得票数と比較すれば、マスコミの選挙報道ではわからない、政治の流れの真実の姿が見えてくるはずです。
ちなみに、この講座の収録後に行なわれた2021年10月31日の総選挙での各党の得票数は次の通りでした。ぜひ本講座で出てくる数字と比較しつつ、今回の参院選での各党の得票数も分析してみてください。
自民党=小選挙区2762万票、比例代表1991万票、議席261(前回比▲15)
立憲民主党=小選挙区1721万票、比例代表1149万票、議席96(▲13)
日本維新の会=小選挙区480万票、比例代表805万票、議席41(+30)
公明党=小選挙区87万票、比例代表711万票、議席32(+3)
国民民主党=小選挙区124万票、比例代表259万票、議席11(+3)
日本共産党=小選挙区263万票、比例代表416万票、議席10(▲2)
れいわ新選組=小選挙区24万票、比例代表221万票、獲得議席3(+2)
社会民主党=小選挙区31万票、比例代表101万票、獲得議席1(―)
日本の現代政治史や政治過程論の流れを整理して理解するうえでも、非常に有益な講座です。ぜひご覧ください。
(※アドレス再掲)
◆編集部ラジオ:[7/5]参院選前に片山杜秀先生講義のあらすじを知る
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4538&referer=push_mm_rcm2
◆曽根泰教:政治学講座~選挙をどう見るべきか(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3173&referer=push_mm_rcm4
◆特集:2022参院選を「深く考える」
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=172&referer=push_mm_feat
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☆今週のひと言メッセージ
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《ローマ史は世界史のブランド品》
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=1490&referer=push_mm_hitokoto
古代ローマの歴史は2000年!人類史の経験の殆どがある
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
塩野さんは、イタリア在住ということもあってかつてはイタリアのルネッサンス期あたりを中心に書かれていましたが、今から20年近く前に、急に『ローマ人の物語』を書き始められました。そのときによく質問されたそうです。「今まで中世末期からルネッサンス期の物語を書かれていたのが、どうして急にローマですか」と。すると彼女は、「何を言っているのですか。ローマ史は世界史のブランド品なのですよ」と言ったそうです。
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今週の人気講義
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ウクライナ侵攻からトップが学ぶべき『孫子』の教え
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4483&referer=push_mm_rank
田口佳史(東洋思想研究家)
神藏孝之(公益財団法人松下幸之助記念志財団 理事 /松下政経塾塾長代理)
「千古不易の恋」を描いた光源氏と女性たちの『源氏物語』
林望(元東京藝術大学助教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4504&referer=push_mm_rank
禅の原点とは――中国から禅をもたらした道元の生涯に迫る
頼住光子(東京大学大学院人文社会系研究科・文学部倫理学研究室教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4514&referer=push_mm_rank
『潮騒』と『太陽の季節』…美への憧憬vs煽情的な太陽族
片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4497&referer=push_mm_rank
グーグルが独禁法違反で提訴、GAFA規制の真相に迫る
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4463&referer=push_mm_rank
※頼住光子先生の「頼」は、実際は旧字体
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編集後記
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皆さま、今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。
さて、皆さまはご自宅などで映画を早送り(例えば倍速)で視聴した経験はございますでしょうか。
ある調査によると、20歳から69歳までの男女で倍速視聴を経験したことのある割合は約34%で、20代に限っていうと約49%と、ほぼ半数という結果が出たようです。
理由はそれぞれ違うでしょうが、いずれにしても早送りのニーズが結構あるということでしょう。
ちなみに、テンミニッツTVには再生速度を調整することができる機能がついています。つまりもちろん早送りもできますし、逆に通常よりゆっくりした速度で聴くことも可能です。
PCの場合は動画の右横に、スマホの場合は動画の下に、それぞれ「再生速度」という表示があります。そこから速度を上げたいときは「+」、速度を下げたいときは「-」で聴きたい速度に調整できます。
よろしければ、ご利用ください。
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