政治学講座~選挙をどう見るべきか
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
2000万票に着目すれば日本の選挙のダイナミズムが分かる
第2話へ進む
選挙と政治権力…「選挙に勝つ」とはどういうことか?
政治学講座~選挙をどう見るべきか(1)選挙の意味
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
今回のシリーズ講義は、政治学を学ぶための講座として「選挙をどう見ていくべきか」について、全9話で解説される。第1話ではまず、選挙にはどのような意味があるかを説いていく。選挙には民意の反映などいろいろ意味があるが、中でも政権を獲得するという意味においてもっとも大事なのは、過半数を獲得することだ。しかし、55年体制期、選挙にその意味が付与されていなかった。では当時、選挙にどのような意味があったのか。(全9話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13分09秒
収録日:2019年8月23日
追加日:2020年1月29日
カテゴリー:
≪全文≫

●政治学とは何か


―― 皆さま、こんにちは。本日は慶應義塾大学名誉教授の曽根泰教先生に、政治学入門講座として「選挙をどう見るべきか」というテーマでお話をいただきます。

 政治の中で選挙というものは、非常に重要なものです。その前提として政治学という学問の概略といえる部分と、その中で選挙にどういう意味があるのかということをお聞きできればと思っています。

曽根 分かりました。政治学者の間でも、政治学とは何かについて、共通理解というか、合意があるわけではありません。これは相当難しいことで、学者同士で何を政治学の対象とすべきか、ということに関して、そこにあるのは論争の歴史です。

 ですが、大まかにこのあたりではないかという非常に広い範囲でいうと、政治学とは、政府の活動とか、政府が行う公共政策とか、あるいは投票行動というようなことを、いろいろな手法、例えば人文科学的な手法や統計学、あるいは科学分析などを使って解き明かそうとするものです。

 また、それを大きなくくりでいうと、まず政治の権力です。次に権力がどうやって具体的に行使されているか、つまり政策が決定される過程です。それから政策の中身です。例えば、外交政策とか、社会保障とか。ただ、政策の中身になると、他の分野の人、例えば経済学者だとか、あるいは農業政策だったら農業問題を扱っている人などとよく重なってくることがあるわけです。

 また、日常生活に政治は無縁だ、ほとんど関係ないと思っている人が多いかもしれませんが、実は日常生活そのもの、あるいは国民生活そのものが政治なのだという位置づけをしたほうが、むしろ身近な政治というものが分かると思います。


●過半数の議席を獲得することが政治権力を獲得する必要条件


―― なるほど。そういう中で、政治というのはまさに、法律1本決まれば暮らしも変わるし、消費税が上がれば負担も増えるし、補助金が来れば助かるといったところも含めて、いろいろな要素があると思います。そして実際、それを決めるのが政治権力であるとすると、その政治権力をどう手にするか、それがまさに選挙ということになるわけですね。

曽根 権力というものは、抽象的にいえば、経済学でいうところの「効用」みたいなもので、それをどうやって測るのかという難しい問題もあります。ですが、具体的にいうと...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
中国の「なぜ」(1)なぜ「中国は一つの国なのか」
武力で負けても文化で勝つ? 恐るべし「中原」の同化力
石川好
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎

人気の講義ランキングTOP10
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』、秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
川出良枝
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(4)葛飾応為の芸術と人生
親娘で進歩させた芸術…葛飾応為の絵の特徴と北斎との比較
堀口茉純
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
編集部ラジオ2025(31)絵で語る葛飾北斎と応為
葛飾北斎と応為の見事な「画狂人生」を絵と解説で辿る
テンミニッツ・アカデミー編集部
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子