編集長が語る!講義の見どころ
「ギリシア神話」&「日本神話」の基本を知る/鎌田東二先生【テンミニッツTV】

2022/08/30

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。
本日は、8月30日配信の「編集部ラジオ」と、鎌田東二先生の「神話」シリーズの新展開についてお報せいたします。

■(1)編集部ラジオ《2022年8月30日(火):無料ウェビナー・2024年危機…米中関係の行方》

https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4600&referer=push_mm_rcm1

今回は、きたる9月6日(火)19時~開催される、小原雅博先生(東京大学名誉教授)による下記ウェビナーの「予習編」と、ウェビナーの裏話についてお話ししております。

【テーマ】2024年危機…米中関係の行方
11月の米中間選挙と中国共産党大会も念頭に置いて

なお、本ウェビナーは、テンミニッツTVのトップページのバナー、もしくは下記のアドレスからお申し込みいただけます。会員の皆さま限定の「無料ウェビナー」です。ぜひご参加ください。
https://10mtv.jp/seminar/202209/index.php?referer=push_mm_new_function


■(2)鎌田東二先生の「ギリシア神話入門」&「日本神話入門」

神話を知れば、人間がどのような価値観を大切にしてきたのか、世界をどのように理解してきたのかが、よくわかります。さらに、世界の神話を比較すれば、各地域の違いも、みごとなまでに浮き彫りになってきます。

これまでテンミニッツTVでは、鎌田東二先生に、日本の『古事記』『日本書紀』の神話を、世界の神話と比較しつつお話しいただく講義を3シリーズ配信してきました。
◆世界神話の中の古事記・日本書紀(全9話)
◆神話の「世界観」~日本と世界(全8話)
◆古事記・日本書紀と世界神話の類似(全10話)

いよいよこれから、各国神話を鎌田東二先生(京都大学名誉教授)にご解説いただきます。本日ご紹介するのは、その第一段となる「ギリシア神話」です。また、これまでの日本神話シリーズの総まとめとなる「日本神話の基本を知る」講義も、併せて紹介いたします。

まず、「ギリシア神話の基本を知る」講座シリーズを紹介しましょう。

◆鎌田東二:ギリシア神話の基本を知る(全5話)
(1)「ゼウス以前」の神々の戦い
ゼウス以前のギリシア神話は3世代にわたる神権交代の物語
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4579&referer=push_mm_rcm3

「ギリシア神話」といえば、多くの皆さまが、ゼウスを中心としたものを思い浮かべるでしょう。夜空の星座の元になっている神話も、ゼウスの時代のものがほとんどです。

では、ゼウスの前のギリシア神話とは?

実は、ゼウスは神話の世代でいえば三代目に当たると、鎌田東二先生はおっしゃいます。しかも、その神々の世代交代は、次の世代が前の世代を倒す「父親殺し」ともいうべき「闘争」によって成し遂げられていくのです。

第一世代は「ウラノス」。このウラノスを生んだのは地母神的な性格を持つ「ガイア」という女神ですが、ウラノスはガイアと結ばれて、多くの神々を生んでいきます。

そこで生まれた神々の1人が「クロノス」です。さらにクロノスの子供が「ゼウス」です。ゼウス以前の神話と、その世代交代の闘争については、ぜひ講座本編をご覧ください。

さらに興味深いのは、ギリシア神話では、一種の「衰退史観」ともいうべき歴史観が語られていたことです。その物語は、たとえばヘシオドスの『労働と日々』という叙事詩に書かれています。

それによれば、第1時代は「黄金の時代」で、ユートピアの楽園のような世界です。しかし、それが次第に劣化していき、第2時代が「銀(白銀)の時代」、第3時代が「銅(青銅)の時代」、第4時代が「英雄の時代」、第5時代が「鉄の時代」となっていくのです。

現在は「鉄の時代」で、お互いに傷つけあったり、騙しあったり、不正と非道がはびこる世の中で、ブラック労働をしなければ生きていけない時代です。

「父殺し」や「衰退史観」……。これは、「この世界を常に修理固成していきなさい」とか「天壌無窮(あめつちとともにきわまりなかるべし)」ということを説く『古事記』や『日本書紀』の日本神話とは根本的に異なります。

しかし「衰退史観」は、日本仏教でも信じられた「末法思想(正法の時代から、像法の時代、末法の時代へと時代が悪くなり、末法の時代には悟りも開けなくなる)」とは割と通じあうと鎌田先生はおっしゃいます。日本では、末法の時代は西暦1052年の平安時代末期から末法の時代に入ると考えられてきましたが、その後、実際に武士の時代になって親子関係も大いに荒むことになったのです。

このような神話比較は、とても興味深いものです。

さらに鎌田先生は、ギリシア神話の「人間の創造」の物語として、「プロメテウスの神話」を(第3話)、さらに「死生観」として、プラトンの大著『国家』の最後に描かれた「エルの物語」を(第4話)ご紹介くださいます。

プロメテウスは、人間を粘土からつくった神とされ、ゼウスをだまして人間に「火」を与えたことでも知られる神様です。

一方、「エルの物語」は、臨死体験をして現世に戻ってきたエルという英雄が、自分が見てきた死後の世界を語る物語です。死後の世界では、この世での行ないによって、天の穴(天国)か、地の穴(地獄)かのどちらかに振り分けられる。そこで、この世の10倍の期間を過ごした人は、もう一度、分岐点に戻ってきて、次の人生の運命を選び、忘却の河の水を飲んで、この世に戻ってくる……。

さらに鎌田先生は「無理難題物語」として、ギリシア神話の「ヘラクレスの神話」と、日本神話の「オオクニヌシ神話」を対比されます(第5話)。

それぞれの神話から見えてくるものは何か? 人間の生き方へのメッセージとは? 鎌田先生のご解説は今回も縦横無尽。多くの気づきやヒントが得られること請け合いの講座シリーズです。

次にもう1つ、日本神話の基本を知る講座をご紹介しましょう。

◆鎌田東二:日本神話の基本を知る~世界・人間・文化のはじまり(全1話)
10分でわかる「日本神話」
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4578&referer=push_mm_rcm5

こちらは、これまで鎌田先生が3シリーズにわたって論じてこられた日本神話の総まとめとしての意味をもつ「10分でわかる」講義になっています。

この講義で鎌田先生は、物語のあらまし、世界の創生、人間の誕生、文化の誕生、神々の種類について概説くださいます。これを知るだけで、日本神話の大きな構造をつかむことができます。

鎌田先生は、日本神話のあらましは、「国生み・国作り・国譲り・国治め」というストーリーだと説きます。

「国生み」は「むすひ(産霊、産巣日)」という「あらゆる命を生成していく根源的な力」の働きにより、神々によってなされていきます。人間も、神々と連続したものとして認識されています。

そのような人間が神々から与えられたミッションは、「修理固成(おさめ、つくり、かため、なせ)」。つまり、「修理固成を続けて、日本という国を持続可能な国にせよ」ということだといいます。

さらに文化の誕生、神々の種類についても語られますが、「10分でわかる講義」ですので、ぜひ講義本編をご覧いただければ幸いです。

こちらはこれまでの日本神話講座シリーズを理解するうえでも大いに有益ですし、ギリシア神話はじめ今後展開される各国神話と比較するうえでも、ぜひ押さえておきたい内容です。


(※アドレス再掲)
◆編集部ラジオ《2022年8月30日(火):無料ウェビナー・2024年危機…米中関係の行方》
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4600&referer=push_mm_rcm2

◆鎌田東二:ギリシア神話の基本を知る(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4579&referer=push_mm_rcm4

◆鎌田東二:日本神話の基本を知る~世界・人間・文化のはじまり
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4578&referer=push_mm_rcm6


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☆今週のひと言メッセージ
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《教養とは分断と正反対の考え方》
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4003&referer=push_mm_hitokoto

「社会の分断」と戦うためには教養を武器にすることが必要
橋爪大三郎(社会学者/東京工業大学名誉教授/大学院大学至善館教授)

教養とは分断と正反対の考え方です。教養とはまんべんなく、いろいろな人びとが考えたことを、バランス良く自分の養分にして、世の中の現実として受け取りましょうという考え方だからです。つまり、分断と戦うためには、教養を武器にすることが必要なのだと思います。


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今週の人気講義
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森林が豊富な国土、世界最高齢…日本の可能性はそこにある
小宮山宏(東京大学第28代総長/株式会社三菱総合研究所 理事長)
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4576&referer=push_mm_rank

「ガッツ」「譲れない」…情動は重要だが、どう制御するか
長谷川眞理子(総合研究大学院大学長)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4560&referer=push_mm_rank

昭和陸軍の派閥抗争には三つの要因があった
中西輝政(京都大学名誉教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4567&referer=push_mm_rank

10分でわかる「量子コンピュータ」
武田俊太郎(東京大学大学院工学系研究科准教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4544&referer=push_mm_rank

10分でわかる「イーロン・マスク」
桑原晃弥(経済・経営ジャーナリスト)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4592&referer=push_mm_rank


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編集後記
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皆さま、今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。

さて、本日は1年前の今日(8月30日)、配信された講義を紹介いたします。

お母さんが揺るがないことが男の子の子育てにはとても大事
黒川伊保子(株式会社感性リサーチ 代表取締役社長/人工知能研究者/随筆家)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4139&referer=push_mm_edt

この講義は、黒川伊保子先生のシリーズ講義〈黒川伊保子先生に学ぶ「子育てのトリセツ」〉の第二話「男の子の原点はお母さん」で、男の子を育てるコツについて黒川先生がお話しくださっています。
そのなかで私が特に印象に残ったのは以下の言葉です。

「失敗したら、今夜あなたの脳がよくなるからよかったわね」

こういわれるとどんなことも恐れずチャレンジできそうですね。
このほかにも心に響く話がいろいろと出てきます。ぜひご視聴ください。