編集長が語る!講義の見どころ
今こそ「鎌倉時代」を深掘りしよう!/特集&坂井孝一先生【テンミニッツTV】

2022/09/23

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です

NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』が、まさに佳境のまま突っ走っている感があります。先週の放送(9月18日「武士の鑑」)でも、畠山重忠役の俳優・中川大志さんが「戦など誰がしたいと思うか!」と絶叫する直前の、口の歪みと震え。魂の内奥がほとばしる様子に胸打たれ、その圧巻の演技だけでも、涙がこぼれそうになりました……。

……と書きつらねてしまうと、大河ドラマをご覧になっていない方、あるいは録画などでこれから見ようという方に申し訳ないかたちになってしまいますが、ドラマを離れて考えても、実は、鎌倉時代は日本の歴史が大きく変わった時機でありました。

この時代を描いた話題のドラマが放送されている今年は、ぜひ「鎌倉時代」を深掘りしてみましょう。

■本日開始の特集:鎌倉時代を深掘りする…武士と仏教

承久の乱(1221年)で、朝廷権力とは違ったかたちで、武家権力のあり方が確立していくことになります。また、鎌倉仏教も次々に生まれて、日本の精神性を変えていくことになります。不安定な時代に人々は何を考えたのか。武士と仏教――鎌倉時代の要点が掴める講義を一挙に紹介します。

https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=183&referer=push_mm_feat

・坂井孝一:北条時政・牧の方が仕掛けた罠とは…畠山重忠の乱の背景

・関幸彦:中世国家の主役・武士の誕生に深く関わる「王朝国家」とは

・坂井孝一:源実朝の悲劇で誕生した尼将軍と東国武士による幕府政権

・橋爪大三郎:坐禅をすればわかる――なぜ禅は武士に向いているのか

・橋爪大三郎:“南無阿弥陀仏”と唱えて極楽浄土へ――法然の革命とは

・頼住光子:禅の原点とは――中国から禅をもたらした道元の生涯に迫る

・頼住光子:法然を批判した明恵が大切にした「あるべきようは」とは?

・山内昌之:吾妻鏡―中世を掌握した鎌倉武家政権の一大年代記

※頼住光子先生の「頼」は、実際は旧字体


■講座のみどころ:源氏将軍の断絶と承久の乱~武家政権はいかに確立したか(坂井孝一先生)

鎌倉幕府が成立してから、陰惨ともいえるほどの内部粛清が続きます。結果として、源頼朝からの「源氏将軍」は、源頼家、源実朝の三代で途切れてしまいます。さらに後鳥羽上皇が北条義時を朝敵として追討の院宣を発し、承久の乱が勃発。その後、新しい朝廷と幕府の関係が築かれていくことになります。

なぜ、上記のような流れになっていったか。また、そのことの歴史的な意義とはどのようなものだったのでしょうか。

本日は、そのことについて詳しくご解説をいただいた坂井孝一先生(創価大学教授)の講座を紹介します。

坂井先生は、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の時代考証をお務めです。テンミニッツTVで、すでに通史的な講座を配信しておりますが、今回はとくに、源頼朝の死後、どのように状況が進んでいったのかを詳述いただきました。

当時、「官位」や「和歌」にどのような意味があったのか、ということなどもご解説いただいています。日本の国のかたちや文化を考えるうえでも、必見の講座です。

◆坂井孝一:源氏将軍断絶と承久の乱(全12話)
(2)なぜ畠山重忠の乱は起きたのか
北条時政・牧の方が仕掛けた罠とは…畠山重忠の乱の背景
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4630&referer=push_mm_rcm1

特集では、ちょうどいまの大河ドラマの進行にあわせて、本講座の「第2話」を掲げさせていただきましたが、「第1話」は源頼家の悲劇から始まります。

◆源頼家の悲劇と源実朝の将軍就任…朝廷の「官位」の意味とは
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4629&referer=push_mm_rcm3

この第1話では、源頼家がなぜ悲劇に見舞われたのかの分析と、当時の「官位」についての考え方について、坂井先生にご解説をいただいています。

いうまでもなく、当時、朝廷からの「官位」には重要な意味がありました。坂井先生は「朝廷が発行する官職や位階だけが、全国的に共通するステータスだったから」だとおっしゃいます。

それは、戦国時代などにも変わりませんが、名実が微妙に分離していくことになります。そのようなことも坂井先生にご解説いただいていますが、詳細は、ぜひ第1話をご覧ください。

第2話では、「畠山重忠の乱」についてご解説いただきますが、ここでは、なぜ当時、ささいな口論が殺人に発展するようなことが起きえたのか、「名誉を傷つけられる」ことがどのような重みをもったのかなどについてもお話しいただいています。

第3話では、畠山重忠の乱の後、いかにして北条時頼が追放されることになったのかが語られます。ここで重要になるのは、「源家」としての北条政子の存在です。

第4話からは、源実朝の「政(まつりごと)」について解説が行われます。源実朝というと、和歌や蹴鞠ばかりをやっていた文弱な将軍というイメージもありますが、実は、そのイメージは正しくないと坂井先生は強調されます(第6話)。

では実際に、源実朝はどのような存在だったのか。

まず坂井先生は第4話で、「政所」や「侍所」といった、当時の鎌倉幕府の機関について解説くださいます。たとえば「政所」は、なにも鎌倉幕府だけのものではなく、ある基準を満たした場合に認められる家政機関でした。具体的にどのようなものだったかは、ぜひ講義本編をご覧ください。

また、第6話では、源実朝がなぜ和歌を詠んだのか。その深い意味について教えてくださいます。当時、幕府のトップとして、朝廷と交流・交渉を行なううえで、和歌を詠めることは必須のことでした。しかも、「和歌は、神仏を喜ばせる大和言葉であり、そのことによって天下泰平というものをつくりだそうという『政(まつりごと)のツール』だった」と坂井先生はおっしゃいます。

だからこそ、兵乱や天変地異が続いた時期に、源実朝は歌を詠み、朝廷へメッセージを届けたのだというのです。この内容は、ぜひ第6話をご覧ください。

(話が前後しますが)第5話は、和田合戦について、第7話と第8話では「唐船建造」という実朝が行った一大プロジェクトと、それに続く「親王将軍推戴構想」についてお話をいただきます。実朝が、どのような政治を行おうとしたのかが理解できます。

しかし着実に将軍としての力を高めていった源実朝は、よく知られているように、源頼家の息子・公暁に、鶴岡八幡宮で暗殺されてしまうのです。なぜ公暁は凶行に及んだのか。そして黒幕はいるのか……。この事件の詳細については、第9話で語られます。

第10話と第11話は、いよいよ「承久の乱」についてです。朝廷と幕府の関係は、実朝の暗殺をきっかけに急速に暗転していきます。何が歯車を狂わせてしまったのか。後鳥羽上皇はいかなる存在だったのか。なぜ承久の乱が起きて、そして戦後、どのような状況が生れたのか……。そのようなことが、手に取るようにわかります。

そして、最終第12話。ここでは北条泰時と、彼がつくった「御成敗式目」について解説いただきます。北条義時は、承久の乱の3年後に急死します。その後、義時の息子である北条泰時が幕府を率いるようになりますが、彼が、新しい「武家政権」のあり方を確立していくのです。

非常に頭がよくて温厚で、人の意見をよく聞いて善政を行っていった北条泰時。彼が制定した「御成敗式目」は、それまでの律令の法体系ではない、最初の武家法典として、以後の日本に大きな影響を与えていくこととなります。

北条泰時という存在が、日本の歴史にどのような意味を持つのか。そのことも、ぜひ理解しておきたいところです。

まさに今年学んでおきたい講座です。ぜひご覧ください。

(※アドレス再掲)
◆特集:鎌倉時代を深掘りする…武士と仏教
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=183&referer=push_mm_feat

◆坂井孝一:源氏将軍断絶と承久の乱(2)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4630&referer=push_mm_rcm2


■お得な「年間プラン」のお知らせ

皆さまに、よりお得にテンミニッツTVをご利用いただくべく、「年間プラン」の提供を開始いたしました。

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クレジットカード決済のみの対応で、一括でのお支払いになりますが、通常プラン「月額1,980円」で12カ月お支払いいただくよりも、「年間で3,960円お得に」なります(月額換算:1,650円)。

変更方法などは下記からご覧ください。

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レッツビギン! 穴埋め問題
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今回は「戦国時代」についての問題です。ではレッツビギン。

「主たる政権の所在」が不明確な戦国時代とはどういう時代なのでしょうか。私は、日本列島が、室町幕府という中央政権の存在を前提にしつつも、戦国大名という小国家群に一時的に分裂した時代と捉えています。こうした戦国大名の小国家を、近年(    )と呼ぶ研究者もいます。一定範囲の地域を面的に領国化した国家という意味を込めた命名です。

さて(    )には何が入るでしょう。答えは以下にてご確認ください。
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3159&referer=push_mm_quiz


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編集後記
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皆さま、今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。

さて昨日(9月22日)より島田晴雄先生(慶應義塾大学名誉教授)の新シリーズ講義〈岸田内閣「新しい資本主義」を徹底検証〉の配信が始まりました。

◆島田晴雄:岸田内閣「新しい資本主義」を徹底検証(全4話予定)
(1)「新しい資本主義」の要点
岸田内閣の「新しい資本主義」とは?その実態に迫る
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4625&referer=push_mm_edt

「新しい資本主義」とはご存じの通り、岸田文雄首相が就任当初から掲げている構想ですが、具体的にはどのような構想で、いったい何が「新しい」のでしょうか。それを詳しく解説しているのが今回のシリーズ講義です。岸田政権の今後を見ていくうえでも貴重な講義になると思います。
毎週木曜日配信で全4話予定です。ぜひ続けてご視聴ください。