編集長が語る!講義の見どころ
現代人に必要な教養とは?/小宮山宏先生×長谷川眞理子先生【テンミニッツTV】

2022/10/04

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です

教養とは何か――。このテーマは、現代をより良く生きていくためには、まことに重要なテーマです。とりわけ、テンミニッツTVをご受講いただいている皆さまには、とても関心の高いテーマだと思います。

去る6月29日に、小宮山宏先生(テンミニッツTV座長)と長谷川眞理子先生(総合研究大学院大学長)のご対談にて、「現代人に必要な『教養』とは?」というテーマでリアルタイム配信のウェビナーを行ないました。おかげさまで、大好評のウェビナーとなりましたが、いよいよ、その講義としての配信が始まりました。

やや手前味噌になってしまいますが、弊編集部員の1人が、事前にこの講座をあらためて視聴しつつ、「こんなに凄い言葉を、いくつも語ってくださっていたんだ!」と語っていたのが印象的でした。実際、痛快で具体例もたくさん交えていただいたご対談は、素晴らしいメッセージが満載でしたが、テンミニッツTVの良いところは、それを何度でも見返して新たな発見ができるところでもあります。

ウェビナーにご参加いただいた方も、残念ながら参加いただけなかった方も、ぜひ本講座をご覧いただければ幸いです。味わえば味わうほどに、人生を変えるヒントを見つけられるのではないでしょうか。

◆小宮山宏×長谷川眞理子:現代人に必要な「教養」とは?(全8話)
(1)そもそも教養とは何か
東大生に伝えた、教養にとって大事な「3つのキーワード」
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4649&referer=push_mm_rcm1

この講座は、いきなり「現代において、本当の教養をどう理解すればいいですか?」という本題から始まります。

この問いに対して、長谷川眞理子先生は、こうおっしゃいます。

《やはり「リベラルアーツ」ということが元で、リベラルは「リベレートする(=解放する)」だから、今の自分の限界を超える、今の自分の考えの枠を超える、自分で考え、自分で決断するための基礎になるようなものということでいいのではないかと思います》

対する小宮山宏先生は、このように語ります。

《私は東京大学の頃にずっと3つのキーワードを言い続けてきました。それは「本質を捉える知」「他者を感じる力」、それから「先頭に立つ勇気」です。

 例えば、カントは「知・情・意」と言いましたし、それから「智・仁・勇」というものもある。だいたい知的なもの、情的なもの、意志や行動のような能動的なものの3つがあると思っています。

 ただ、それはそうなのだけれども、今の時代性を考える必要がある。知識や情は当然重要だけれども、行動するとか動き出すなどの能動的な部分がどんどん重みを増してきている。非常に変化の激しい時代に入っているので、考えているだけではまずいのではないかという状況に入ってきているわけです》

この2つのメッセージは、まことに重要でしょう。両先生ともに、「自分の限界を超え、決断する」「行動する、動き出す」ことの大切さを提示しておられます。ただ知ればよいということでも、評論家的に知をひけらかすことでもない。「力強く、能動的な知」となることが重要だということです。

さらに両先生は、教養の基盤は何かというお話を、「リベラルアーツと教養の違い」などの視点も交えつつ議論くださいます。たとえば小宮山先生は、安部公房の小説「箱男」を読んだことを振り返りつつ、斎藤美奈子さんの「私小説は『ヘタレ』文学」という言葉を紹介くださいます。

その心は……。ぜひ第1話をご覧ください。

第2話で語られるのは、両先生が海外で「教養の大切さ」について痛感されたエピソードです。

長谷川先生は、ケンブリッジ大学のハイテーブルの事例をご紹介くださいます。カレッジで、そこに所属している人たちが定期的に、一斉に夕食を食べる。どの専門家が隣に来るかわからない。そういう場で、楽しくおしゃべりをしながら2時間くらい食事をするのです。

長谷川先生は、こうおっしゃいます。

《小宮山先生がおっしゃった、「本質を捉える知」や「他者を感じる力」というものを総動員して、自分の専門ではないことをやっている人たちは何が面白くてそれをやっているのか、その分野ではどういうアプローチによって何が分かると思っているかなど、お互いにそういうことを想像しながら、こちらの持っている知識も少し交えながら面白い話をするのです》

そういうことができるために必要なことは何かも、長谷川先生はお話しくださいます。

一方の小宮山先生がお話しになるのは、カリフォルニア大学に留学したときの逸話です。ケンブリッジ大学とは違って、「世間知」的な世界の話ですが、そこでも如実に教養が表われるというのです。

いずれも「素敵」な事例です。詳細はぜひ第2話をご覧ください。

第3話の冒頭で小宮山先生がおっしゃる印象深い話は、「昔はシニカルに『無理だ』と語るほうが賢く見えて、当たる確率が高かったが、いまは違う」というお話です。

いまは非常に知識が増えたので、信じられないようなことが急激に実現するようになった。だから「無理だ」というほうが、カッコ悪い。

ここも本当に大切な話でしょう。斜に構えたり、こんな社会はダメだなどといって済ますのではなく、「どうやったらできるか」を考えるべきだ。オープンイノベーションなどの動きの背景にあるのは、そのような考え方だということです。

そのためには、多様性があるなかで、議論をしていく必要があるわけですが、その要点も、もちろん語られます。

第4話では、江戸時代との比較などが取り上げられつつ、「自分ごと」として考える重要性について議論がなされます。

そして第5話では、なぜ日本はスピードが遅いのか、そして生涯学ぶことの意義は何かが語られます。

さらに第6話から第8話からは、質疑応答編でさらにテーマを深めていきます。

たとえば、実際に「動く」ために何が必要かについて、小宮山先生は、こうおっしゃいます。

《10人の組織でも1人がやるだけでは動かない。だが、100人の組織でも、誰かが動いて強力なサポーター2~3人くらいいれば、けっこう動く。動かすために必要な人数は案外少ない》

だから教養がある人は、最初に動く人か、強力にサポートする人かの、どちらかになるべきだということです。

このメルマガでは語り尽くせぬ知恵が、講座本編では語られます。ぜひご覧ください。


(※アドレス再掲)
◆小宮山宏×長谷川眞理子:現代人に必要な「教養」とは?(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4649&referer=push_mm_rcm2


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☆今週のひと言メッセージ
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《教育の基本は家庭教師》
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4518&referer=push_mm_hitokoto
識字率の高さを誇った古代ローマ、その独特な教育方法とは
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)

貴族たちにはもちろんそれぞれ家庭教師がいました。古代で一番有名なのは、アレクサンダー大王がアリストテレスを家庭教師にして習ったことです。だから、私は教育の基本は家庭教師であり、今でもそうだと思っています。家庭教師をつけることができない人たちは誰かに頼む、例えば5人なり10人なりの集団で教育を受ける。それなりの資力を持っている人は何人も家庭教師を雇えますが、持っていないと、誰かに委ねる形になるわけです。


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今週の人気講義
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岸田内閣の「新しい資本主義」とは?その実態に迫る
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4625&referer=push_mm_rank

黒幕は牧の方?…暴挙に走った北条時政VS義時、政子
坂井孝一(創価大学文学部教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4631&referer=push_mm_rank

40代前半に訪れる「中年の危機」、鍵は「人生の成長戦略」
徳岡晃一郎(株式会社ライフシフト 代表取締役会長CEO/多摩大学大学院教授・学長特別補佐)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4604&referer=push_mm_rank

10分でわかる「メタバースとVRの関係」
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https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4642&referer=push_mm_rank

なぜ今「心理的安全性」なのか、注目を集める背景に迫る
青島未佳(一般社団法人チーム力開発研究所 理事)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4551&referer=push_mm_rank


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編集後記
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皆さま、今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。

さて、本日はプチ情報をお届けいたします。
先週ご紹介しました以下、テンミニッツTVの使い方ガイドですが、

■テンミニッツTVの「使い方ガイド」
(スマホ版)
https://imagineer.edmode.com/sugotoku/new_page.php?hash=2fsYBb4et7&referer=push_mm_new_function

(PC版)
https://imagineer.edmode.com/sugotoku/new_page.php?hash=P88hFuUd7U&referer=push_mm_new_function

実は、「便利な機能」でご案内しておりますプログラムガイドが以下、サイト上でも閲覧できるのです。

https://10mtv.jp/public/ProgramGuide.pdf?referer=push_mm_new_function

ご郵送を希望された方には毎月印刷されたプログラムガイドをお送りしていますが、それをサイト上で閲覧できるようにしたものです。新たな特集や講義の紹介をはじめ、講師紹介や今後の予定などもチェックできますので、ぜひご利用ください。