編集長が語る!講義の見どころ
日本人はどこから?そのルーツを核DNAからさぐる/斎藤成也先生【テンミニッツTV】
2023/03/07
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。
日本人はどこから来たのか。
これは、とてもロマンを掻きたてられるテーマです。折にふれ自分のルーツを意識するのは、とても大切なことですし、さらにいえば、そのルーツを太古にまでさかのぼるのは、知的にも極めて興味をそそられます。
皆さんご存じのように、人類はアフリカで誕生し、そこから世界に広がっていきました。とすれば、日本人のDNAは、日本と距離的に近い国々と類似しているのでしょうか?
実は、一概にそうともいえないようなのです。
最近、DNA研究が進み、いろいろなことがわかるようになってきました。本日は、そのことを斎藤成也先生(国立遺伝学研究所特任教授)にお話しいただいた講義をご紹介します。
◆斎藤成也:核DNAからさぐる日本のルーツ(全11話)
(1)人類の起源と広がり
人類の祖先たちの「出アフリカ」…その時期はいつ頃?
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2553&referer=push_mm_rcm1
冒頭でも書いたように、人類はアフリカで誕生し、世界に広がっていきました。しかし、われわれの直接の祖先である「新人」がアフリカから出る前に、旧人(ネアンデルタール人)や原人がアフリカから世界に出て行きました。
実はわれわれ人類は、世界に広がっていく過程で、遺伝子的に変異していくとともに、旧人との混血も進めていきました。ネアンデルタール人の遺跡は、西ユーラシアに偏っていますが、不思議なことにゲノム的に見ると、むしろ東ユーラシアの人間のほうが、ネアンデルタール人のゲノムを少し多めにもらっているといいます。
そして日本には、北から南まで、いろいろな方面から人類がやってきました。加えて、日本が早い段階で島国になりました。これらのことが、日本と近隣のアジア諸国との違いをつくっていったようです。
たとえば、縄文人から現代日本人に12パーセントのDNAが伝わっていると推定されるとのこと。実は縄文人は系統的にはかなり古く、分岐したのは最低でも2万年前、もっと古い場合、4万年ぐらい前かもしれないこともわかりました。
人類発祥の地であるアフリカ、さらに西ユーラシア、東ユーラシアのそれぞれに住む人を調べると、もちろん大きく異なりますが、縄文人はやはり東ユーラシア人に近いところには位置づけられます。
しかし、そうはいいながら、東ユーラシア人と比べても明らかな違いがあるのです。
加えていえば、現代の日本人(斎藤先生によればヤマト人)は、東ユーラシアの人たちから、DNA的には少し離れたところに位置しています。どちらかといえば、より縄文人に近くなっているのです。
つまりこれは二重構造モデル、すなわちヤマト人が土着の縄文人のDNAを残しつつ、大陸からの人々の混血を受け入れたことを明らかに示していると、斎藤先生はおっしゃいます。
また縄文人は、明らかにオキナワ人よりアイヌ人に近く、一方、オキナワ人はヤマト人のほうに近い。さらに見ていくと、東北は、北海道よりも沖縄と類似性を持つ。加えて、出雲の人たちは中国や韓国と距離的には近いにもかかわらず、DNA的には関東の人よりも中国北部や韓国の人と離れていて、むしろ東北の人たちに近い……。
なぜか。
それについては、ぜひ講義の本編をご覧ください。そこで斎藤先生が提唱されるのは、日本への渡来が3段階だったのではないか、という説です。はたして、それはどういうことなのでしょうか。
遺伝子から歴史に迫るのは、とても知的刺激に満ちたプロセスです。本講義も、受講すれば新しい視野が広がることうけあいです。ぜひご覧ください。
(※アドレス再掲)
◆斎藤成也:核DNAからさぐる日本のルーツ(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2553&referer=push_mm_rcm2
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☆今週のひと言メッセージ
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《これからはファン・エコノミー》
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4661&referer=push_mm_hitokoto
今治タオルのIKEUCHI ORGANICに学ぶ深い経営哲学
夫馬賢治(株式会社ニューラルCEO/経営・金融コンサルタント/信州大学特任教授)
今でも企業では「これからはファン・エコノミー」だということがいわれますが、もう2000年代の頭からファン・エコノミー一本で追及してきたのがイケウチオーガニックさんの道なのです。
デザインでファンがつくか分からない。今治ブランドはまだ確立していない。さらに今治ブランドの他の企業に対しても、自社の独自性を出していかないといけない。その中でオーガニックだったのですね。当時、オーガニックにこだわっている方は今よりもさらに少ないけれども顧客層がある。ここに熱烈なファンがつく可能性がある。ということを見いだして、このファンをいかに獲得していくかに集中されてきたのがイケウチオーガニックさんの道なのです。
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今週の人気講義
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ロシアの野望に対する「抑止」に失敗した欧米の教訓
山内昌之(東京大学名誉教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4812&referer=push_mm_rank
1000兆円規模の可能性、台湾有事がもたらす日本の損害は甚大
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4796&referer=push_mm_rank
食事、飲酒、噂話…現代にも通じる古代中国の生活風景
柿沼陽平(早稲田大学文学学術院教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4808&referer=push_mm_rank
「統制経済」で重宝され…喧嘩っ早い岸の官僚時代の武勇伝
井上正也(慶應義塾大学法学部教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4815&referer=push_mm_rank
ミルトン・フリードマン…金融政策の復権と自由市場の重要性
柿埜真吾(経済学者)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4705&referer=push_mm_rank
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編集後記
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皆さま、今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。
さて、昨日(3月6日)から鎌田東二先生(京都大学名誉教授)の新シリーズ講義〈宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読む〉の配信が始まりました。
◆鎌田東二:宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読む (全6話予定)
(1)あらすじと賢治の原稿
未完の長編『銀河鉄道の夜』の魅力と宮沢賢治の思想に迫る
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4824&referer=push_mm_edt
こちらの講義は、昨年7月28日に開催されましたウェビナー〈宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読む〉を編集したもので、宮沢賢治がどんな想いでこの物語を描こうとしたのか、また『銀河鉄道の夜』にどんな意味を込めたのか、実際の賢治の原稿もお見せしながら、丁寧に解説を進めています。
毎週月曜日配信・全6話を予定しておりますので、シリーズを通してご覧いただければと思います。
ちなみに、今年5月に「銀河鉄道の父」という映画が公開されます。映画をご覧になる前にこちらの講義をご視聴いただくと、賢治の世界観、その理解を深められること必至だと思います。ぜひご視聴ください。
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