編集長が語る!講義の見どころ
戦国時代のイメージが変わる!「戦国武将の経済学」(テンミニッツTVメルマガ)
2020/09/01
皆さまこんにちは。テンミニッツTV編集長の川上達史です。
いよいよ8月30日からNHKの大河ドラマ「麒麟がくる」の放送が再開されました。新型コロナウイルス禍を受け、撮影は4月1日にいったん中断され、放送も6月7日(日)の第21回をもって中断されていました。戦国時代らしさをうまく描き、俳優の皆さんの熱演も光るドラマですので、ウイルス禍をはねのける再開、ぜひ応援したいと思います。
歴史ドラマの楽しみ方は色々ありますが、その時代の奥の奥を知って視聴するのも、その1つでしょう。戦国ドラマの醍醐味といえば「合戦シーン」ですが、もちろんのこと、実際の戦争は膨大な資金を必要とするものです。経済力の裏打ちなしに戦ばかりしていては、すぐに無理が生じます。
では、戦国時代の武将たちは、どのような経済運営を行っていたのか。歴史教科書では、楽市楽座や金山開発などといったことばかりが描かれますが、実際は……。そのような興味深い講義を、小和田哲男先生(静岡大学名誉教授)がしてくださっています。
◆小和田哲男:戦国武将の経済学(全4話)
(1)織田信長の経済政策
兵農分離で強くなった織田軍団の資金源とは
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3208&referer=push_mm_rcm1
このシリーズで小和田哲男先生は織田信長、豊臣秀吉、徳川家康のそれぞれが、どのような経済政策を展開していたのか、最新の学説も紹介しながら、議論を展開くださいます。
たとえば武将たちは国内貿易を巧みに行って、富を蓄積していました。この手法に秀でていたのが秀吉で、全国に点在する直轄地間で異なる相場になっていることを最大限に活用しています。一例を挙げれば、あるとき津軽の米相場は100石=4両だった。しかし同じ頃、南部地方の相場は100石=10両、さらに小浜では100石=14両だった。そこで秀吉は津軽でとれた2200石の米(津軽では88両の価値)を各地で売って、236両を得たといいます。しかも、これを秀吉は廻船問屋と組んで行っていました。そして廻船問屋と利益を折半する仕組みにしていたというのです。
本講義ではさらに、上杉謙信が直江津や柏崎などに入ってくる船便に税をかけることで年間4万貫(約60億円)の収入を得ていた話や、九州大名の南蛮貿易では一種の奴隷貿易のようなことも行われていて、それがキリシタン禁教令の一因になったのではないか……などということまで、様々なことが触れられます。
そのほかにも、武将たちが知恵を絞った経済政策が次々に紹介されます。バイタリティある日本人の姿が伝わってきて、歴史の授業や時代劇などから受ける日本人のイメージを覆してくれる講義です。ぜひご覧ください。
さらにテンミニッツTVでは、小和田先生に「明智光秀の真実」という講義もお話しいただいています。
◆小和田哲男:明智光秀の真実(全5話)
(1)謎につつまれた前半生
明智光秀はいつどこで生まれたのか~出生の謎に迫る
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3135&referer=push_mm_rcm3
その生誕から本能寺の変の動機まで、多くの謎に満ちた明智光秀の実像に迫る内容ですので、併せてご視聴いただければ、さらに興味が深まることうけあいです!
(※アドレス再掲)
◆小和田哲男:戦国武将の経済学(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3208&referer=push_mm_rcm2
◆小和田哲男:明智光秀の真実(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3135&referer=push_mm_rcm4
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☆今週のひと言メッセージ
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「学問の前に教授も学生もない、同等である」
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=122&referer=push_mm_hitokoto
若者に「分かった!」という経験を持たせることが重要
小宮山宏(東京大学第28代総長)
大学では、学生に“分かった!”という経験をさせることが大事です。
「自分で“この問題が分かった!”ということが分かる」という経験です。
そのときには、ノーベル賞学者や教授が何を言おうと関係ない。
「学問の前に教授も学生もなく、同等である」というのは、
この“分かった!”を経験した人間同士の関係なのです。
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今週の人気講義
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多様な友人を持っていると「レジリエンス」は強くなる
前野隆司(慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3530&referer=push_mm_rank
幸せの第一歩は「自分で自分のことを決める」大人になること
津崎良典(筑波大学人文社会系准教授)
五十嵐沙千子(筑波大学人文社会科学研究科准教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3514&referer=push_mm_rank
本能寺の変は織田信長を討つだけのクーデターではなかった
柴裕之(東洋大学文学部史学科非常勤講師)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3485&referer=push_mm_rank
インドはなぜ世界有数のIT産業の拠点へと成長したのか
島田晴雄(東京都公立大学法人理事長)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3413&referer=push_mm_rank
世界四大文明が起こった所は必ずしも大河のほとりではない
沖大幹(国際連合大学 上級副学長/東京大学生産技術研究所 教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=754&referer=push_mm_rank
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編集後記
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編集部の加藤です。
前回お伝えしましたが、本日からテンミニッツTVメルマガが毎週火曜日と金曜日の週2回配信となります。
今回は新たに「今週のひと言メッセージ」というコンテンツが加わりましたが、いかがでしたか。今後も面白いコンテンツをどんどんお届けしていきますので、ご期待ください(なお「レッツトライ! 10秒クイズ」は金曜日にお届けする予定です)。
ところで本日は他にも二つお伝えしたいことがあります。
一つ目ですが、本日より9月特集『教養としての「世界の古典」の読み方』の配信が始まりました。本村凌二先生(東京大学名誉教授)いわく「教養の一番の基本は世界史と古典」ということで、今回は世界と日本の古典を厳選してお届けいたします。ぜひご視聴いただき、古典の本質、知の醍醐味を存分にご堪能ください。
<『教養としての「世界の古典」の読み方』特集はこちらからご視聴いただけます>
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=100&referer=push_mm_edt
二つ目も特集に関することです。先週金曜日から特別特集『人間力を磨き高める「デジタル寺子屋」』が配信開始となりました。すでにご存知の方も少なくないと思いますが、「人間力」を高めるのに特に有益な講義を集めた特集となっております。こちらもぜひご視聴ください。
<『人間力を磨き高める「デジタル寺子屋」』特集はこちらからご視聴いただけます>
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=101&referer=push_mm_edt
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