「幸福とは何か」を考えてみよう
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
幸せの第一歩は「自分で自分のことを決める」大人になること
「幸福とは何か」を考えてみよう(4)「○○できるようになる」までは不幸でいいですか
日々の学校教育では、未来の目的達成のために現在の快楽や幸福を犠牲にすることが強調される、と「哲学カフェ」から厳しい指摘がなされる。それは、子どもたちにどんな自己認識をもたせるのだろう。近代ドイツの哲学者カントは、そのことについて、どのように考えをめぐらせたのだろうか。(全9話中4話)
時間:10分33秒
収録日:2020年3月19日
追加日:2020年8月21日
≪全文≫

●「幸せじゃない」人にこそチャンスがある


津崎 そうすると(感情がクラウドのように共有できるものだとすると)、幸せもその感情の一種である限りで、後づけやバージョンアップができるということ?

五十嵐 そうそう。

津崎 今までは「これが幸せだ」というふうに教えられてきたし、「これが幸せだ」というふうに今までは感じてきたつもりだけど、実はそうじゃないというふうに、思いも感情も学び直すことができるということですね。

五十嵐 そう。幸せになりたい人が多いというのは、「幸せになりたい」けど「今は幸せじゃない」、という二つの文がくっついている。それは、「幸せになりたい」、かつ、「今は幸せじゃない」というのをセットでそのまま覚えちゃっているから。

 人って、いつでもその覚えた公式を自分に当てはめて、「わたしも幸せになりたい」、なぜなら、「わたしは今、幸せじゃないから」というのを覚えて、それを自分に当てはめちゃっているんじゃないのかな?

津崎 でも逆に言うと、「幸せになりたい」、なぜなら「今、わたしは不幸だから」、だからこそ「幸せになりたい」と思っている人ほど、実はチャンスなんじゃない?

五十嵐 チャンス?

津崎 それって、学び直しの可能性があるってことじゃないかな?

五十嵐 そうそう。不幸だと思っていれば、「なんで、こんな不幸なの?」と思うから。

津崎 そう。「不幸だと思っていれば」ということは、不幸の反対が幸せだから、「幸せでない」と思っているということは、幸せについてのそれなりの「前理解」(前提となる理解)があるわけですね。それは偏見かもしれないし、文化とか伝統のなかで定義づけられてきた幸せかもしれない。それに照らして、「わたしはそうではない」、したがって「不幸である」と。

 というふうに、まだ言語化できていないけれども、でも思いに素直なところで「わたしは今、幸せではない。不幸だ」と思っている人ほど、実は自分なりに幸せや不幸ということを意味づけ直すことができるというか、定義し直すことができる。

五十嵐 そう。それが「卒業」だと思う。


●「明日のために、今日はつらくても頑張れ」という教育


津崎 「卒業」。何からの卒業?

五十嵐 学校からの卒業だと思う。

津崎 学校? その学校というのは文字通りに受け取っていい?

五十嵐 そう。だから、...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
西洋哲学史の10人~哲学入門(1)ソクラテス 最初の哲学者
ソクラテス:「フィロソフィア」の意味を問う最初の哲学者
貫成人
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
「50歳からの勉強法」を学ぶ(1)大人の学びの心得三箇条
大人の学び・3つの心得=自由、世間が教科書、孤独を覚悟
童門冬二
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
平和の追求~哲学者たちの構想(3)サン=ピエールとモンテスキュー
「国連」の発想の源は?…一方、小共和国連合=連邦構想も
川出良枝
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
生成AI「Round 2」への向き合い方(2)ハードで動くCopilot
Microsoft Copilotの革新性…想像がつかない世界に
渡辺宣彦
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治