「幸福とは何か」を考えてみよう
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
哲学者ヒュームはなぜ「共感」を重視したのか
「幸福とは何か」を考えてみよう(3)共感しますか、共有しますか
哲学と生き方
幸福はその人の感じ方次第なら、「おめでたく」なることで、それは簡単に手に入る。だが一方で、幸福には「共感」が欠かせないとヒュームは言う。共感について考えていくとき、揺さぶられるのは個々人の感情だが、感情に果たして特定の「主体」はあるのだろうか。「哲学カフェ」の二人の哲学講師が、古今の幸福観に迫る。(全9話中3話)
時間:10分57秒
収録日:2020年3月19日
追加日:2020年8月14日
≪全文≫

●「おめでたい人」になることとエピクテトス哲学


津崎 じゃあ、不幸だというふうに感じている人というのは、実は自分が、言葉の本当の意味で「恵まれている」ということに気づいていないということ?

五十嵐 うん。恵まれていると思うのも恵まれていないと思うのも、自分で勝手に決めることだから。見方によっては本当に全然恵まれていないけど、見方によっては全部恵まれているみたいに思うこともある。

 よく「おめでたい人」と言うじゃないですか。「おめでたい」というのは、ちょっと頭がおめでたい、みたいなことを言うと思うんだけど、自分で「わたしって、ほんと幸せな人だわ」と思って「おめでたい人」になっているというか。それで幸せなのかなと。

津崎 デカルトが『方法序説』を1637年に匿名で書いたんだけど、その本の第3部のなかで「変えるべきは」というふうに言っている。「世界の秩序とか運命ではなくて、自分の欲望のほうを変えなきゃいけない」と。欲望というよりも、もうちょっと広く取るなら「思い」だよね。自分の思いのほうを変えなければいけないと言っている。しかも、生き方の問題として「それが道徳だ」というふうに言っている。

 哲学史的な話をすると、実はこれはストア派のエピクテトスという哲学者の影響なんじゃないかと言われています。エピクテトスは、「自分の力でどうこうすることができるもの」と「自分の力でどうこうすることができないもの」を分けている。

 「自分の力でどうこうできないもの」というのは、世界の秩序とか運命とか、さっちゃんのおばあちゃんの話で言うと、そういう(病気という)身体状態にあることもそこには含まれる。それは変えられないわけじゃない? だけれども、自分の思いのほうは変えられる。なぜかというと、自分の思いというのは、自分の力でどうこうすることができるものだから。

 エピクテトスだったらそういうふうに言うだろうし、エピクテトスという古代ローマ期のギリシア人で、「ストア派」と呼ばれる哲学者の影響があると言われているデカルトだって、多分そういうふうに考えると...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
「心から幸せになるためのメカニズム」を学ぶ(1)心理学研究と日本の幸福度
実は今、「幸せにも気をつける」べき時代になっている
前野隆司
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
現代人に必要な「教養」とは?(1)そもそも教養とは何か
教養とは…本質を捉える知、他者を感じる力、先頭に立つ勇気
小宮山宏
西洋哲学史の10人~哲学入門(1)ソクラテス 最初の哲学者
ソクラテス:「フィロソフィア」の意味を問う最初の哲学者
貫成人
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照

人気の講義ランキングTOP10
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子
経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力
米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長
松尾睦
続・日本人の「所得の謎」徹底分析(1)各国の財政と国民負担
日本と各国の比較…税負担は低いが社会保障の負担は高い
養田功一郎
未来を知るための宇宙開発の歴史(9)宇宙開発を継続するための国際月探査
「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味
川口淳一郎
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(4)百年後の日本人のために
百年後の日本人のために、共に玉砕する仲間たちのために
門田隆将
第2の人生を明るくする労働市場改革(1)日本の労働市場が抱える問題
シニアの雇用、正規・非正規の格差…日本の労働市場の問題
宮本弘曉
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
片山杜秀
「アカデメイア」から考える学びの意義(1)学びを巡る3つの危機
「学びの危機」こそが現代社会と次世代への大きな危機
納富信留