「幸福とは何か」を考えてみよう
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哲学の仕事は「モヤモヤ」を立ち上がらせること
「幸福とは何か」を考えてみよう(7)今日の話にモヤモヤしましたか
「人は哲学を学ぶことはできない」というカントの言葉は、「せいぜい哲学することを学べるだけだ」と続く。では、哲学講師の二人は「哲学する」ことについて、どのような役割を自身に課しているのだろうか。そして、本シリーズの視聴者が「哲学する」可能性は、どのように開かれるのだろうか。(全9話中7話)
時間:12分04秒
収録日:2020年3月19日
追加日:2020年9月11日
≪全文≫

●視聴者のツッコミは「縦の対話」


津崎 われわれのように一応、哲学を学んで教える職業を選んでいる――その職業って本当にあるかどうか分からないけれども――そういう人間であっても、やっぱり「本当にそんなことできるかな」と思うこと、たくさんあるじゃない? 「シモーヌ・ヴェイユみたいに生きられるかな」とかね。

 第6話でさっちゃんも、「カントだって本当にそんなことできたかどうか分からない」と言ったように、哲学をやっている人間だって、自分でできないようなことがつい口から出てしまう瞬間ってあるじゃない?

 つまり、哲学者が語っているというよりは、ドイツ語でいったら「ガイスト」(精神)、ある種のクラウドだよね。思想のクラウドがあって、そこから哲学者を「いたこ」のように、メディアとして語らせているようなところがあって。

 哲学者だって実践できないような思想が、しかしその哲学者の口から出てくるとして、それをやったり、あるいは学生とか、あるいは視聴者の人と共有することって、いったいどういうところに意味があると思う? まあ、一言で言えば、「幸せになるために」とかになるのかもしれないけれども。洗脳とか、第4話の父権的国家とか、学校教育というテーマに少し戻りつつ。

五十嵐 例えば、今回の学校の話とか、いろんな話を視聴者の方がお聞きになって、「なるほど」と思った人もいれば、「いや、絶対おかしいでしょ」となった人もいると思うんだけど、私は「絶対おかしいでしょ」と思った人がいることはすごくいいなと思う。

 どうしてかというと、今、わたしとマイクと二人で話しているんだけど、その向こう側に多分視聴者の人がいらっしゃる。こうやって今、ほら、「横の対話」をしているじゃない。それが、視聴者の方のなかでは「縦の対話」というか、自分のなかの対話がきているんじゃないかなと思って。

津崎 ツッコミとかね。

五十嵐 そう。
 
津崎 わたしたちの話を聞きながら、「ああ」と腑に落ちたり。

五十嵐 逆に「あいつ、なんだ」というような。

津崎 「何、言ってるんだ」とツッコんだり。


●「モヤモヤ」を立ち上がらせるのが哲学の仕事


五十嵐 そう。でね、もう怒るみたいなのもあって。でもね、怒ったとき、自分のなかに「腹が立つよね、本当に」という気持ちがあるけど、「でも、本当にそうなのかな。もしかしたら間...

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