「幸福とは何か」を考えてみよう
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「満足した豚より不満足な人間がいい」…ミルの幸福論とは
「幸福とは何か」を考えてみよう(6)渇いているのは喉、それとも心ですか
「最大多数の最大幸福」で知られるベンサムとミルの「豚の哲学」へと話は移行する。幸せは量なのか、質なのか。飽食時代のわたしたちは渇いた心を潤すために、喉の渇きや生理的な食欲を利用してしまってはいないだろうか。(全9話中6話)
時間:12分25秒
収録日:2020年3月19日
追加日:2020年9月4日
≪全文≫

●ベンサムが編み出した「快楽計算」の方法


津崎 前回の話を聴いていて、思い出したんだけど(ごめんなさい、視聴者の方。話がいろいろと進んでしまって)、「豚の哲学」って聞いたことある?

五十嵐 聞いたことない。知りたいです。

津崎 「ライオン食べ」で、動物と言ったら「豚の哲学」だ!って思い出してしまった。これは悪口なので、豚にはちょっと申し訳ないんだけども、いつぐらいの哲学について言われたかというと、ベンサムとかミルとかの功利主義の哲学の時代。

 ベンサムは「最大多数の最大幸福」という言葉を出した人ですが、「快楽計算」ということをやっている。前回のBMIの話でいくと、どの程度求めれば快楽が満たされるかを計算しなきゃいけない。

 ベンサムはいくつか計算のマトリックスを作っていって、どれくらい快楽が持続するかの持続性とか、その快楽が単純かどうかとか。それを求めると、苦痛が一緒に生じないか。飲みすぎて気持ち悪くなるとかさ。本末転倒にならないように。

 あるいは、 快楽を満たした結果、いろんなものが生まれてくるでしょう? 例えば、サンドイッチを食べて、「ああ、おいしかった」だけじゃなくて、「一緒に食べたあのときの景色がきれいだったな」とか、「話が面白かったな」とか。一つの快楽を満たした結果、いくつかの快楽が生まれてくるという多産性。

 あるいは、どれだけその快楽が強いか。「まあ、おいしかったね」というのか「すっごいおいしかった」というのか、その強度の問題。持続、強度、それから手に入りやすいかどうか。例えば、ツバメの巣って、なかなか手に入りませんでしょ? だけど、サンドイッチだったらーーおいしいサンドイッチは津々浦々探さないといけないかもしれないけどーー、近くのパン屋さんで買える。手に入りやすいかどうかの近しさ。

 あるいは確実なものかどうか。「あ、おいしそうなサンドイッチ」と思って食べてみたら、実はプラスチック製の偽物だったとか。つまり、確実かどうか。

 こういったいくつかのマトリックスから「快楽計算」というものをして、その計算の結果、「最大多数云々」というぐらいだから、ベンサムにとって幸福というのはやっぱり大きいほうがいいわけです。量が大きいほうがいいと。
...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
「なぜ人は部屋を片付けられないか」を行動分析学で考える
島宗理
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
老荘思想に学ぶ(1)力のメカニズム
老荘思想は今の時代に人類の指針となる
田口佳史
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(2)運命・世界・他者
「私をお母さんと呼ばないで」…突然訪れた逆境の意味
津崎良典
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
川出良枝
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎