編集長が語る!講義の見どころ
江戸とローマ~「粋な生き方」とは?/特集&本村凌二先生【テンミニッツTV】

2023/10/27

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。

■(1):11月のプログラムガイドを紹介いたします。

以前、ご報告しましたように、現在、Webページで見やすく配信しています。

11月の特集ラインナップ、注目の講義、そして今回は「テンミニッツTV講義論 第1弾」として発刊された、柿埜真吾先生の新著『本当に役立つ経済学全史』の書籍プレゼントも! ぜひご覧ください。

https://10mtv.jp/program_guide/?referer=push_mm_new_function

なお、プログラムガイドを日頃活用する場合は、トップメニューの「新着」⇒「講義ガイド」(「新着一覧」ページの最上部に掲出)の文字をクリック(タップ)して、ご覧ください。


■(2)特集:本村凌二先生の「江戸とローマ」全10シリーズ、いよいよ完結!

「江戸と古代ローマを比較することで、両者の特徴がよくわかる。とりわけ長い平和と繁栄を誇った両文明なので、人間の生き方の極意も見えてくる」

そのような趣旨で展開してきた本村凌二先生の好評シリーズ「江戸とローマ」。全10シリーズで完結しました。内容は多岐にわたり、自分の人生にも大いに参考になるヒントに満ちています。

あらためて、特集として総覧すると、まさに圧巻。ぜひ目に留まったものをご覧ください。

https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=216&referer=push_mm_feat

◆本村凌二:江戸とローマ(全10シリーズ)

・花見と剣闘士:江戸時代と古代ローマを比較する理由…長い平和が生むもの

・テルマエと浮世風呂:ローマ水道と江戸の上水、卓越した両者の水道システム

・風刺詩と川柳・狂歌:諷刺精神に富んだパックス・ロマーナ、悲劇より喜劇が人気

・図書館と貸本屋:識字率の高さを誇った古代ローマ、その独特な教育方法とは

・日本酒とワイン:樽廻船とアンフォラの山、酒文化を謳歌した江戸とローマ

・父祖の遺風と武士道:なぜ新渡戸稲造は『武士道』を英語で著したのか

・娼婦と遊女:人間は元来ホモ・ルーデンス…遊びから見た江戸とローマ

・アッピア街道と東海道:すべての道はローマに通ず――今も残るアッピア街道の軌跡

・下水道と肥溜め:江戸の下水道は世界一!? 欧米が驚いた「日本の肥溜め」

・哲人と俳人:風流とジョーク…粋な遊び、粋な生き様の精神とは?


■講座のみどころ:「粋な生き方」と「遊び心」の真髄とは?(本村凌二先生)

本日は、特集「江戸とローマ」のなかから、最新配信分の最終回「哲人と俳人」を紹介します。

「哲人と俳人」と聞くと、やや固そうなイメージですが、縦横無尽に語られるのは「粋な生き方」、そして「粋な遊び心」です。第4話では、大谷翔平選手が現代の「粋」を体現しているというご指摘も飛び出して……。

◆本村凌二:江戸とローマ~哲人と俳人(全4話)
(1)日本の風流とローマ皇帝のジョーク
風流とジョーク…粋な遊び、粋な生き様の精神とは?
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5082&referer=push_mm_rcm1

本村先生は、まず「粋」ということについて、次のようにおっしゃいます。

《粋な生き方の基本的なことは、「遊ぶ精神」なり「遊び心」というようなものをどこかに持っているということではないかと思います》

では、具体的にどのようなことか。今回のシリーズでも、古代ローマと江戸の両方の様々な具体的な例が紹介されるので、とても印象深く「粋な生き方」について考えていくことができます。

たとえば第1話で紹介されるのは、古代ローマ五賢帝の1人、ハドリアヌスが公衆浴場に行った際のエピソードです。

あるときハドリアヌスが公衆浴場で自分の背中を壁にこすりつけて動かしている男と出会った。「なぜ、そんなことをしているんだ」と聞くと、「痒くてしょうがないから」と答える。そこでハドリアヌスは、その男に身の回りの世話をする奴隷をつけてやった。すると……。

また、同じく皇帝ハドリアヌスと詩人フロルスとの対話もご紹介くださいます。詩人フロルスは、属州視察に明け暮れるハドリアヌスを詩で次のように皮肉った。「私は皇帝なんぞになりたくない。あんな、ものすごい寒いスキティアの冬や、蛮族たちが出てくるようなところを歩き回るのはいやだ」。するとハドリアヌスは……。

いずれも、まるで粋なジョークのようなお話です。

第2話では、与謝蕪村や松尾芭蕉の俳句が紹介されます。教科書などでは、どちらかといえば芸術的な俳句が紹介されますが、ここで本村先生がご紹介くださるのは、おかしみや滑稽味、洒脱さがある句の数々です。たとえば……。

「蚊屋の内にほたる放してアゝ楽や」(蕪村)

「硝子(びいどろ)の魚おどろきぬけさの秋」(蕪村)

「飲み明けて花生にせむ二升樽」(芭蕉)

「ある時は仕官懸命の地をうらやみ」(芭蕉)

それぞれの解釈や味わいは、ぜひ講義本編(第2話)をご覧ください。

第3話では、皇帝ネロに処刑されたペトロニウスとセネカのお話です。いずれもネロのお気に入りの側近でしたが、妬まれて讒言され、ネロからも疎まれるようになり、「自害」を命じられるのです。

それぞれの最期の場面での、「粋」さすら感じさせるあり方とは……。

それらのエピソードを受けて、第4話では現代における「粋」について語られますが、ここで本村先生は、大谷翔平選手が見せる究極の「遊び心」に言及されます。そして、アレキサンダー大王やカエサルなど、世界史上のいろいろな人物にもそのような「余裕」があったのではないか、というのです。

「粋」な生き方は、自分や社会を「ちょっと突き放して」考えられる精神から生み出される。それは、ある程度の物質的な豊かさや、多様な人々との交流からもたらされる。そう、本村先生はおっしゃいます。

人間として「粋」に「遊び心」をもって生きていきたいもの。それを実現するためのヒントに満ちた講義です。ぜひご覧ください。


(※アドレス再掲)
■11月プログラムガイド
https://10mtv.jp/program_guide/?referer=push_mm_new_function

■特集:江戸とローマ
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=216&referer=push_mm_feat

◆本村凌二:江戸とローマ~哲人と俳人(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5082&referer=push_mm_rcm2


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編集部#tanka
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https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5104&referer=push_mm_tanka