編集長が語る!講義の見どころ
トランプ勝利、ウクライナ侵略はどうなる/廣瀬陽子先生【テンミニッツTV】

2024/11/08

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上です。

アメリカの大統領選挙では、トランプ氏が勝利を収めました。またこれから、多くのことが激変していくことでしょう。

1つ、国際情勢で見た場合、大きく変わる可能性があるのがウクライナでの戦争です。トランプ氏はかねて、「24時間以内に戦闘終結できる」などと述べていました。

トランプ大統領のアメリカは、ウクライナ侵略にどう対応するか。当事国は、そして周辺諸国はどう動くか。そこの動きが変われば、当然、東アジアも含めて多くの影響を及ぼすことは必至です。

では、ウクライナ侵略の経緯はどのようなものであったのか。また、ロシアの戦略と現状はどのような姿なのか。本日は、その点について廣瀬陽子先生(慶應義塾大学総合政策学部教授)に詳しくお話しいただいた講義を紹介いたします。

今回の講義で廣瀬先生は、「ハイブリッド戦争」について詳述くださいます。どのようなことが仕掛けられるのか。今後の日本の安全保障を考えるうえでも、「ハイブリッド戦争」の実態をおさえておくことは急務です。まさに必見の講義といえましょう。

また、廣瀬先生の講義で特筆すべきは、廣瀬先生が旧ソ連諸国に通暁され、そこからの情報などからも分析されていることです。いろいろな視点から見ることで、真実は浮かび上がってくるものです。ロシアを分析するうえで、旧ソ連諸国という座標軸を加えることが重要であることはいうまでもありません。

◆廣瀬陽子先生:ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国(全7話)
(1)ロシアの勢力圏構想とNATO拡大
オウンゴールも!?ロシアにとって許しがたいNATO拡大の背景
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5493&referer=push_mm_rcm1

まず、この講義シリーズの全体像を示すために、各講義タイトルを列挙しましょう。講義の内容のイメージをお持ちいただきやすくなると思います。

(1)ロシアの勢力圏構想とNATO拡大
オウンゴールも!?ロシアにとって許しがたいNATO拡大の背景

(2)ハイブリッド戦争とは何か
もはや定義できないハイブリッド戦争、多様化と進化の現実

(3)ワグネル創設の背景とロシアの思惑
民間軍事会社はとても便利…ワグネル創設の背景とその顛末

(4)制裁の効果と抜け道の問題
白物家電を軍事転用!?…深刻な「制裁の抜け道」問題

(5)持てる国の強みとグローバルサウス
ロスアトムは制裁外…世界に影響を与えるロシア原子力産業

(6)狭間の政治学で考える旧ソ連諸国
出稼ぎかテロリストか…旧ソ連諸国からの労働移民の現実

(7)ロシア・ウクライナ戦争の終わり方
プーチンがいなくなっても終わらない…戦争終結の条件とは

まさに、ロシアによるウクライナ侵略の背景から実態まで、詳細にお話しいただいていますが、このガイドメールでは特にハイブリッド戦争にご言及いただいた部分を紹介しましょう。

廣瀬先生は、ハイブリッド戦争の定義を次のようにご紹介くださいます。

《ハイブリッド戦争というのは、政治的目的を達成するために、軍事的脅迫と、それ以外のさまざまな手段を組み合わせた、非正規戦と正規戦を組み合わせた戦争の手法》

しかし、同時に次のようにもおっしゃいます。

《ハイブリッド戦争は、いろいろ多くの展開が起きており、決して凝り固まった概念では考えられないものなのです。実際、私は定義ができないという立場を取っています。私から見ますと、「定義ができる」ということをおっしゃっている方は、実際に現場をご存じない方なのだという意識を持っております》

そうしないと、どんどん起こされていく新たな展開に対抗できないからと。まさに、何でもありの「戦争」であり、だからこそ、このような態度が必要不可欠ということでしょう。

そのうえで、廣瀬先生はハイブリッド戦争を、わかりやすいイメージ図でご紹介くださいます。

フェーズ1では、サイバー攻撃、情報戦、宣伝戦(認知戦)、政治的脅迫、経済的手段、制裁、マスク外交・ワクチン外交、難民テロなど、様々な工作が行なわれます。

たとえば、「難民テロ」とは、中東、アフリカなどから難民を組織的に連れてきて、それを相手国に送り込むこと。実際にロシアはフィンランドやノルウェーなどに対して行なっているといいます。

しかも、フィンランドが難民の入国を拒否すると、難民に対して「フィンランドはひどいですね。であれば、われわれがロシア国籍を付与しますよ」といって実際にロシア国籍を付与し、そのうえでウクライナ侵略に兵士として送り込んでいるといいます。なんとも、やりきれない思いが胸に去来します。

フェーズ2では、民間軍事会社などを用いて軍事的脅迫が行なわれます。ロシアによるクリミア併合も、正体不明の「特殊任務部隊」を送り込むことで実施されました。

また、民間軍事会社といえばワグネルも忘れることはできません。たとえばワグネルは、マカオで登記された会社でした。ですから、ロシアに対して抗議をしても、「それは知りません。マカオにある会社なのではないですか」と言い逃れができて、やりたい放題だといいます。

そのような民間軍事会社に汚れ仕事をさせて、自らに望ましい状況をつくりあげ、フェーズ3では正規軍による軍事的戦闘が行なわれる……。実際に日本で、同様のことが起きる場合にはどのようなことが想定されるかを考えてみるだけで、多くの気づきを得ることができます。

さらに、第4話以降では、旧ソ連諸国の視点も交えつつ、経済制裁が実際に効いているかどうかの分析がなされます。とても「リアル」な状況をご報告いただいており、ここも必見のご分析といえましょう。

まず、「何が起きているのか」を深く知ることが、きわめて重要です。ぜひご覧ください。


(※アドレス再掲)
◆廣瀬陽子先生:ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5493&referer=push_mm_rcm2


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編集部#tanka
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ほらごらんトランプ勝てり痛恨は令和四年の七月八日

アメリカ大統領選挙でトランプ氏勝利。今になってバタバタした論説も聞かれますが、ただ悔やまれるのは、安倍さんの暗殺。毀誉褒貶はあれど、暗殺で日本が良くなったためしはありません。(達)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=1722&referer=push_mm_tanka


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