編集長が語る!講義の見どころ
2025年を明るくする「発想法」/特集&森田朗先生「人口減少」【テンミニッツTVメルマガ】
2024/12/27
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上です。
先日皆さまにご協力いたしましたアンケート企画《巨大地震への対策について考える》、結果発表を「編集部ラジオ」で行なっております。非常に興味深い対策をたくさん教えていただきました。皆さま、ぜひご覧ください。
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5647
さて、いよいよ年の瀬となりました。もう来年もすぐそこです。
しかし振り返ってみると、2024年は「先行き」を暗くするようなニュースが続きました。世界各国で緊張が高まり、様々な紛争もいまだ続いています。日本はじめ様々な国の選挙結果も、今後の不安をかきたてる兆候がいくつもありました。日本経済の先行きも、まったく楽観できません。
それやこれやで、とかく嫌な情報ばかりが飛び交いがちな世の中ですが、しかし、未来を明るくする「発想」は必ずやあります。本質をどのように見つめ、どのように考えると、道は開けてくるのか。「解決策は、必ずある」「人間の知恵は、必ず未来を拓く」そう確信できる講義集です。
■特集:2025年を明るくする「発想法」
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=256&referer=push_mm_feat
森田朗:毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
長谷川眞理子:なぜ生物は「生きているだけ」で素晴らしいか…変異の大切さ
岡本浩:ロボットの「カンブリア爆発」時代へ電動化がもたらすもの
中島隆博:人の資本主義とは――新しい人間像と現代資本主義への警鐘
日野愛郎×島田光喜:世襲、官僚、叩き上げ…3つの国会議員の是非を議論する
■講座のみどころ:教養としての「人口減少問題と社会保障」(森田朗先生)
本日は、森田朗先生(東京大学名誉教授)に、人口減少問題の真実と、その対応策についてお話しいただいた講義を紹介します。
「人口減少問題」は、考えれば考えるほど暗くなってしまうテーマの筆頭に挙がるものといっても過言ではないでしょう。日本のこれからの人口減少の状況をグラフなどで見てみると、大きな衝撃を受けざるをえません。
さらに、人口減少と少子高齢化によって、2040年には「働き手不足が、1100万人に達する」ともいわれます。しかも社会保障をどうするかという問題もますます顕在化してきて……。
しかし、必要以上に騒ぎ立てたり、逆に臭いものにフタをしたりするのではなく、実相を正しく把握し、それに対してどのような対策がありうるのかを考えていったほうが、むしろ前向きに問題に取り組める分、心を明るくすることもできるはずです。ぜひ真正面から向き合ってみましょう。
◆森田朗:教養としての「人口減少問題と社会保障」(全8話)
(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5549&referer=push_mm_rcm1
まず第1話で森田先生は、「人口減少を解決できるのか」とについて、「結論からいうと、人口を増やすことはまず難しいと思います」と直截に断言されます。したがって、減り方をいかに抑えるかと、いい社会であることをどうやって維持していくかを考えていかなくてはならないというのです。
ここで森田先生がお示しくださる奈良時代ごろから現在までの「日本人口の歴史的推移」のグラフも、衝撃的なインパクトがあります。
関ケ原の合戦があった西暦1600年は、人口は1200万人ほどしかいなかった。江戸時代には3000万人ほどになり、明治以降、一気に人口が拡大していきます。1872年(明治5年)に3481万人だった人口が、2015年(平成27年)には1億2709万人にまで拡大しました。
しかし、ここからガクンと減っていきます。森田先生は印象深い表現をされます。
《ジェットコースターで例えると、今は(頂点から)少し下り始めて、加速を始めたところです》
2023年には1年で70万人ほど減った。そのうちに毎年100万人ほど減っていくことになる。その規模感は、小さな県が毎年1つずつ消えていくのと同じで……。
そう聞くと、いかに激甚な変化であるかが痛感されます。
この人口減少局面で大きいのは、生産年齢人口(15歳から64歳まで)の激減です(第2話)。生産年齢人口のピークは1995年(平成7年)でした。そこからどんどん減ってって、2070年には生産年齢人口が4割減ります。それ以前に、2040年頃には生産年齢人口が1100万人ほど減ることになるのです。
第2話では、「人口ピラミッド」の推移もお示しくださいますが、これを見ると、激減の状況が一目瞭然です。このポイントについて、織田先生はこうおっしゃいます。
《第2次大戦後に増えた原因は、赤ちゃんがたくさん生まれて増えたのではなく、かつては死んでいた人が死なないで長生きしたからです。それが人口増加の原因です。これはなかなか気がつかなかったポイントです》
では、少子化対策で子どもを増やすことはできるのか。
ここで衝撃的な事実が示されます(第3話)。子育て支援や少子化対策の充実で名高い高福祉国家のフィンランドなどの北欧諸国でも、いま少子化が進み、急速に人口が減りつつあるのです。
フィンランドなど北欧諸国の制度でも少子化を食い止められないとすれば、日本で少子化対策に血道を上げる意味があるのか。これは大いに考えなければならない問題です。
このように人口が減少していけば、当然、社会保障の負担をどうするのかという問題にも直結します。さらに人口がいち早く急減していく「地方」では、交通や買い物、医療サービスなどの生活インフラの維持も難しくなります。
このあたりも、具体的なデータでどんどんと解説されますので、まさに必見です。
では、どうするか。たとえば、労働力不足は、外国人労働者の導入では解決できないといいます。日本だけでなく諸外国でも、少子化による労働者不足に直面することになるからです。
諸々の対策として挙げられるのが、デジタル化です。デジタル化により、労働を集約させる。データをつなげて使いやすくする。バーチャルな総合病院を構築する……。
そのような手立てをしていくことによって、いまの便利な社会を維持していこうと森田先生はおっしゃいます。
実情がグラフでよくわかり、その対策も考えることができる講義です。怖いもの見たさであっても、ぜひとも学んでおくべき講義といえましょう。
(※アドレス再掲)
◆特集:2025年を明るくする「発想法」
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=256&referer=push_mm_feat
◆森田朗:教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5549&referer=push_mm_rcm2
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編集部#tanka
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門松は28日までに立てるのが一般的といわれます。では、なぜ門松を立てるのでしょうか。日本の正月の色々なしきたりの意味について、ぜひ上野誠先生の講義で学びましょう。(達)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4772&referer=push_mm_tanka
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