編集長が語る!講義の見どころ
「地政学」で現代ヨーロッパの難題を読み解く/小原雅博先生【テンミニッツTV】
2025/07/02
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。
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さて、本日は小原雅博先生(東京大学名誉教授)の《地政学入門 ヨーロッパ編》講義を紹介いたします。
最近、「地政学」という言葉を聞く機会が増えました。文字どおり、「地理」と「政治(国際政治)」を結びつける概念です。
小原先生には以前、《地政学入門 歴史と理論編》の講義をいただきました。このなかで小原先生は「地理とは外交政策において最も基本的なファクターである。なぜなら地理は不変であるから」とおっしゃいます。
政治、特に指導者がどう動くかなどといったことは、非常に可変的です。しかし、地理の条件というのは不変的です。それゆえ、どのように地理の影響を受けているかを考えることで、国家の戦略の基礎的な部分をしっかりと理解することができるのです。
小原先生は子供だった頃、「地図を読む」のが大好きだったそう。つまり、地図を見ながらいろいろな想像力を働かせたり、いろいろな関係性を考えていくのです。その小原先生が、今回の講義では「地政学」の実際について、ヨーロッパの情勢を元にお話しくださいました。
◆小原雅博:地政学入門 ヨーロッパ編(全10話)
(1)地図で読むヨーロッパ
ヨーロッパとは?地図で読み解く地政学と国際政治の関係
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5784&referer=push_mm_rcm1
全10話で非常に幅広い内容をお話しくださっていますので、まずは各話タイトルをご紹介しましょう。全体の流れをつかんでいただきやすくなると思います。
(1)地図で読むヨーロッパ
ヨーロッパとは?地図で読み解く地政学と国際政治の関係
(2)地理的条件と東西の攻防
地図で読む「ヨーロッパにおけるパワーの東漸と西進」
(3)「鉄のカーテン」と冷戦後の変動
ソ連と西欧を隔てた「鉄のカーテン」と冷戦後の地政学
(4)ドイツ再統一とNATOの東方拡大
ロシア暴挙の要因!? ソ連崩壊後のNATO拡大と「口約束」問題
(5)ロシアのウクライナ侵略と難民問題
ロシアのキエフ攻略失敗の背景にあった地理的要因
(6)「ロシア世界」と民族自決
民族自決原則とは?多民族国家が抱える難題と矛盾
(7)バルト3国とロシアの飛び地領土
ロシアの飛び地…バルト3国にとって地政学上のポイント
(8)未解決の紛争とロシア資源
ロシア資源依存からの脱却…ヨーロッパの代替戦略の実情
(9)EUの深化・拡大とトルコの問題
相互依存で平和は保てるか…EUの深化・拡大の難題とは
(10)グリーンランドと北極海
グリーンランドに米国の軍事拠点…北極圏の地政学的意味
当然、昨今の情勢を受けて、話の内容はロシアとウクライナにまつわる問題を多く取りあげています。しかし、この問題を深掘りしていくことで、その他の地域における「地政学的なものの見方」も自ずと理解できるようになります。
まず第1話でご指摘くださるのが、「ヨーロッパとは何か」。古代ギリシア時代の地図や、ローマ帝国の版図から「ヨーロッパ意識」とはいかなるものかを探っていきます。
さらに第2話では、ヨーロッパの地形から考えていきます。山地がどこにあり、平原がどう広がっているのか。川はどう流れているのか。当然、それらはヨーロッパの歴史を大きく左右する地理的条件でした。
さらにそのような地理的条件を背景にして、ヨーロッパでは勢力が西へ東へとそれぞれ拡大し、押し戻される歴史を繰り返してきました。ナポレオン戦争然り、第一次大戦や第二次大戦然り。第2話ではそのような流れ、そしてそのなかでのポーランドの悲劇が語られます。
そのような歴史的な観点からの地政学の解説のあと、第3話からはいよいよ今般のヨーロッパに大きくかかわる問題にクローズアップしていきます。
まずは東西ドイツの統一、さらにソ連崩壊の「地政学」です。NATOはなぜ東方に拡大したのか? それに対して、プーチンはいかなる歴史観・世界観を持っているのか?
そのような状況を受けて、実際にプーチンはウクライナ侵略に踏み切ったわけですが、しかし、大方の予想を裏切って、ロシアは短期間での戦争終結には持ち込めず、大いに苦戦することになります。実はそれにも「地理」が大きな役割を果たしていました。
その地理的条件は、第二次世界大戦の独ソ戦のときにもドイツを大いに苦しめたのだというのですが……。その詳細は、ぜひ講義第5話でご覧ください。
第6話は「生存圏理論」と「民族自決」、さらにそれが響きあう「ナショナリズム」の問題に迫ります。第一次世界大戦の折に、アメリカのウィルソン大統領は「民族自決」の原則を高らかにうたいあげ、それが大きな影響を及ぼしていくことになります。
この「民族自決」という考え方は、良かったのか、悪かったのか? ここは大いに考えさせられるところです。
講義はさらに「バルト三国と北欧」の問題へと進みます。ロシアは、バルト海に面したカリーニングラードに軍港を設けています(バルチック艦隊の根拠地です)。しかし、ロシアのウクライナ侵略を機に、フィンランドとスウェーデンはそれまでの中立を捨ててNATOに加盟します。その結果、地政学的にはどのような状況になったのか。
ここも地図を見ながらじっくり考えられるパートです。
さらに、第8話以降でも、まさに現代的に興味深いテーマが次々に取りあげられます。
ヨーロッパ諸国のロシアへのエネルギー資源依存がどうなるのか。経済的な相互依存があれば戦争が防げるという国際政治学での有力説が、ウクライナ侵略では機能しなかったのか。EUの深化・拡大がもたらしている難題とは何か。さらに新たな地政学的な焦点となりつつある北極海の状況とは。
地政学の実際が、現在の問題とリンクして、手に取るようにわかるようになる講義です。ぜひご覧ください。
(※アドレス再掲)
◆サービス名変更のご案内
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◆小原雅博:地政学入門 ヨーロッパ編(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5784&referer=push_mm_rcm2
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