編集長が語る!講義の見どころ
補助金や給付金の驚愕の実態とは?会計検査から見えてくる日本政治/田中弥生先生【テンミニッツTV】
2025/07/11
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。
補助金、給付金……どのような政策を打ち出すのかが侃々諤々(かんかんがくがく)と議論されます。また、いくらの予算がついたのかも報じられます。しかし、その「結果」や「決算」がどうだったかを、案外知らないことが多いのではないでしょうか。
今回、田中弥生先生(元・会計検査院長/東京大学客員教授)に、会計検査院の「検査報告」を赤裸々にわかりやすくお話しいただきました。会計検査院がどのような仕事をしているのか、ピンとこない方も多いかもしれませんが、この講義はそのようなイメージを大きく覆してくれます。
実は会計検査院は、個々の政策について非常に細かく検査しているのですが、その検査結果はまことに驚くべきものなのです。
アベノマスクやワクチン調達にいくらかかったのか? コロナ禍での「病床確保」にどのような補助金がいくら出されていたのか? 巨額が積まれた補正予算のうち実は4割以上が「繰越金」になっている実態とは? 民間への「多重委託」の問題とは? なぜ1件あたり5万円の給付金に6700円もの事務コストがかかっているのか?
詳細な会計検査の結果により、日本政治の「驚愕の実態」が白日の下にさらされます。「なぜ、こんなことになってしまっているのか」「人気取りで予算を積むのはいいが、本当に有効に使えているのか」「この予算は、政策効果を本当に上げたのか?」。そんなことを考えざるをえなくなってきます。
政治家の様々な政策論争に注目することも重要ですが、その結果や決算がいかなるものだったのかを知ることは、政策の是非や課題、そして本来の姿を知るために必須のことといえましょう。そのことが痛感される必見講義です。
◆田中弥生:会計検査から見えてくる日本政治の実態(全4話)
(1)コロナ禍の会計検査
アベノマスク、ワクチン調達の決算は?驚きの会計検査結果
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5861&referer=push_mm_rcm1
上述した「驚愕の会計検査結果」をわかりやすくご解説いただく前に、田中先生はまず、会計検査院とはいかなるものかをお話しくださいます。田中先生は「大学の授業で3年くらい前に『会計検査院を知っている人?』と聞いたら、誰も手を挙げなかった」というエピソードをご紹介くださいますが、一般の認知度もそう高いとはいえないかもしれません。
実は会計検査院は大隈重信の提言により、1880年に設立されたものであり、日本国憲法にも明記されている組織です。どのような仕事をしているのかについて、田中先生は次のようにおっしゃいます。
《非常に大きいところでは日銀の財政の状況、あるいは国家の財政の状況、あるいは国債の発行の状況です。あるいはそれが国費に与える影響などもこれも検査をして、報告をしています。
さらに少し馴染みのあるところでは、東京オリンピック・パラリンピック、それから農業分野のTPPです。これがどのように実施されて、どういう効果があったのかというのは、国会から要請をいただき検査をしております。
その他にも、税制です。(2025年)1月に賃上げ税制の検査もしまして、制度をもう1回見直してほしいという検査報告を出しています。
さらに、よく「細かいところを見るところ」といわれるのですけれど、それもやっています。例えば「補助金」です。地方自治体に国から行った補助金がどう使われているのかというものが出ています。さらに会計検査院という名称から、いわゆる財務書類をチェックしているのだと思われがちなのですけれど、国費はいろいろな形で使われるのです。現場はさまざまです。
ですから、(たとえば)高速道路の耐震性がちゃんと維持されているかどうか。それから山林の奥に重装備で行って、山道が整っているか、あるいは鹿よけの柵がメンテナンスされているかなども検査しています》
まことに徹底した検査が行なわれていることがわかります。
そのうえで、このメールで上述したような論点を、とても明快にご分析くださいます。
●アベノマスク、ワクチン調達、ゼロゼロ融資、病床確保など、巨額を投じたコロナ対策の実態とは?
●諸外国ではコロナ禍が収束した段階でかけた予算を大幅に削減させているのに、なぜ日本はコロナ対策費が物価高騰対策費と名前を上書きされて続けられてしまっているのか?
●なぜ当初予算すら使わない繰越が「4割」も発生してしまっているのか? そのような繰越は、どの省庁の所管分が多いのか?
●国会の議論で「様々な給付金」が決定されていくけれども、その実態は? たとえば、令和2年から4年にかけて配布された9種類の給付について、予算は合計で5兆2000億円だったのに、実際に給付金として国民に渡った金額が4兆2700億円だったのはなぜか? また、実はどの範囲に給付するかによって、事務手数もコストもまったく異なるのだが、その実態とは?
まさに、日本政治に対する「評価」や「課題認識」が一変するような講義です。それぞれの詳細について、図表でとてもわかりやすくご解説くださいますので、ぜひ詳細は講義本編をご覧ください。
(※アドレス再掲)
◆田中弥生:会計検査から見えてくる日本政治の実態(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5861&referer=push_mm_rcm2
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