編集長が語る!講義の見どころ
〔特集〕戦後80年~硫黄島の戦いと「ルーズベルトに与ふる書」/門田隆将先生ほか【テンミニッツ・アカデミー】
2025/08/01
いつもありがとうございます。テンミニッツ・アカデミー編集長の川上達史です。
今年は、第二次世界大戦が終結してから80年です。いまわれわれが歴史をふりかえり、考えるべきこととは何でしょうか?
当時の人々は、実際に何を考えていたのか。どこに「失敗」があったのか。国の指導層の問題点とは。隠された「原因」はどこにあるのか。そもそも、なぜ戦争になってしまうのか……。
戦後に築かれてきた国際秩序や価値観が激変しつつあるかに見える現在、第二次世界大戦の悲劇は、けっして他人事とはいえません。逆に、80年経ったからこそ、クリアに見えてくるものもあります。歴史の教訓は、現代のわれわれに大きなヒントを示してくれます。。
■特集:戦後80年に考えるべきこと
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=267&referer=push_mm_feat
門田隆将:奇跡の史実…硫黄島の戦いと「ルーズベルトに与ふる書」
中西輝政:日英同盟の廃棄、総力戦…世界秩序の激変に翻弄された日本
渡部昇一:ワシントン会議から10年、こんなに日本が不利になるとは
片山杜秀:現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
福井義孝:レーニン演説…革命のため帝国主義の3つの対立を利用せよ
橋爪大三郎:核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
小澤俊夫:満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
■講義のみどころ:奇跡の史実…硫黄島の戦いと「ルーズベルトに与ふる書」(門田隆将先生)
本日は特集のなかから、「硫黄島の戦い」の知られざる史実に迫ったノンフィクション作品『大統領に告ぐ』について、著者の門田隆将先生(作家/ジャーナリスト)が語ってくださった講義を紹介します。
硫黄島の戦い――昭和20年(1945年)2月19日から3月末にかけて行なわれた激戦です。すでにサイパンが陥落し、マリアナ諸島に米軍はB29の基地を建設。日本本土空襲が行なわれていました。硫黄島が陥落すれば、そこからB29を援護する戦闘機も出撃できるようになり、さらに空襲の被害は過酷なものになる。その状況のなかで、日本軍は一日でも長く島を守り抜くべく必死の戦いを続けます。
太平洋での死闘を象徴する地ともなった硫黄島。
その戦いのなかで、実は硫黄島守備隊の日本海軍を率いた司令官が、アメリカのルーズベルト大統領宛に日本人の想いを熱く訴える手紙を書き、その後、戦時中であるにもかかわらずその内容が全世界に報じられるという史実があったことをご存じでしょうか。
その手紙「『ルーズベルト』に与ふる書」を書いたのは海軍少将・市丸利之助。それを英語に翻訳したのは、当時二十歳だったハワイ生れたの日系二世・三上弘文。さらに通信参謀・村上治重が、自らの戦死を前提に、日本語と英語の手紙をそれぞれ腹に巻いて突撃。戦死した日本兵の所持品検分をする米軍の手に届けるのです。
そして、その事実をつかんだ『ニューヨーク・ヘラルド・トリビューン紙』のエメット・クロージャ―記者が、4月4日にその内容を詳しく記した記事を打電。あまりの内容に3カ月間検閲で止められますが、まだ戦争が続いていた7月11日にAP電で配信され、世界中で報じられることになるのです。
そこに書かれていたこととは。そして、それぞれの人物の人間模様とは――。硫黄島の戦いの史実が、いまわれわれに訴えかけるのは、どのようなことなのでしょうか。
◆門田隆将:大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(全4話)
(1)ルーズベルトに与ふる書
奇跡の史実…硫黄島の戦いと「ルーズベルトに与ふる書」
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5904&referer=push_mm_rcm1
今回の講義では、上記の史実について『大統領に告ぐ』というノンフィクション作品で掘り下げた門田隆将先生に、詳しくうかがいました。ノンフィクション作品であるので、門田先生は市丸利之助、三上弘文、村上治重らのご遺族にも取材されており、それぞれの方々の人間像も浮かび上がってきます。
日本海軍の航空部門を切り拓くものの、墜落事故で瀕死の重傷を負った市丸利之助は、厳しい療養生活のなかで哲学的思索を深めていきました。家庭では子供たちを深く愛し、子供たちからも慕われる優しい父であった姿も描かれます。
そのような市丸が、なぜルーズベルト大統領に、日本人の想いを訴える熱い手紙を書いたのか。
実は「ルーズベルトに与ふる書」が書かれたのは、まさに戦いの最後の局面だったといわれます。最後の斬り込み突撃を前に、生き残っていた部下たちを集め、市丸は「百年後の日本民族のために殉ずることを切望する」と訓示し、そのうえで、この「ルーズベルトに与ふる書」を朗読させて部下たちに伝えるのです。
まさにこの書は、アメリカの指導者に日本人の想いを高らかに宣明する書であると同時に、共に死にゆく仲間たちに「何のためにわれわれは死ぬのか」を語りかける書でもあったのです。
そしてそれを訳した三上弘文は、ハワイ生まれの日系二世でした。あまりに優秀だったために日本にわたり、日本海軍に進むことになった三上は、「日本とアメリカの懸け橋になる」ことを志していた青年でした。その彼が、アメリカ人に伝わるように翻訳に全力を傾注します。市丸が書いた厳しい内容はそのままに、ことさらに刺激しかねない部分については見事な意訳をしていくのです。
はたして、彼らの想いとはいかなるものだったのか――。
門田先生は『大統領に告ぐ』にこう書いておられます。
《もし、80年前、日本という国を背負って「最前線」に立っていた人の「手紙」を「いま読むことができる」としたらどうだろうか》
80年前のこの方々から、われわれは何を受け取り、何を考えるべきなのか。ぜひ講義をご覧いただければ幸いです。
(※アドレス再掲)
◆特集:戦後80年に考えるべきこと
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=267&referer=push_mm_feat
◆門田隆将:大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5904&referer=push_mm_rcm2
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