大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実
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奇跡の史実…硫黄島の戦いと「ルーズベルトに与ふる書」
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(1)ルーズベルトに与ふる書
門田隆将(作家/ジャーナリスト)
第二次世界大戦での日米の激闘の象徴ともいえる硫黄島。その戦いの中で生まれた奇跡のような物語があった。玉砕を前に、日本海軍の司令官・市丸利之助が米国大統領への手紙「ルーズベルトに与ふる書」を書き、ハワイ生まれの日系二世・三上弘文がアメリカ人に伝わるように苦心して翻訳し、それを通信参謀・村上治重が自らの戦死をもって届けるべく自分の腹に巻いて突撃する。そこには、当時の日本人の思いが格調高い文章で綴られていた。そしてその手紙は米軍の手にわたり、なんと戦時中であるにもかかわらず全世界に全文が記事として報じられていたのである。そこに込められた想いと、それを成し遂げた人々の真実とは。ノンフィクション作品『大統領に告ぐ』について、著者の門田隆将氏が熱く語る。(全4話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:14分11秒
収録日:2025年7月9日
追加日:2025年8月1日
≪全文≫
―― 皆さま、こんにちは。本日は門田隆将先生に『大統領に告ぐ』(産経新聞出版)という本の内容について、お話をうかがいたいと思います。まさに戦後80年に出すにふさわしい1冊ということで発刊された本でございますけれども、2025年7月末のご発刊ということでございます。門田先生、どうぞよろしくお願いいたします。

門田 よろしくお願いします。

―― こちらの『大統領に告ぐ』ですが、硫黄島の戦いが舞台だということですね。

門田 そうですね。硫黄島の戦いは、要するに昭和20年(1945年)2月から3月にかけてのものですが、アメリカにとっては太平洋戦線といったら「Iwo-Jima(硫黄島)」ですから。海兵隊の記念日にもなっていますし、ワシントンには(硫黄島の)摺鉢山に星条旗を立てた像があるぐらいです。一番有名であり、太平洋戦線そのもの、対日戦を表わす戦いが「硫黄島の戦い」なのです。私たちは「いおうとう」と言いますが、向こう(アメリカ)では「Iwo-Jima」なのですけれども。

 この中で生まれた奇跡のような物語を、何としても戦後80年までに出さなければならないということで、まあ、ギリギリ間に合いました。

―― 本当に、そうですね。

門田 川上さんとは、(以前、川上が書籍編集者であったときに)もう何冊も何冊も色々な戦いをやりましたので、いかにどのようなジタバタした中で仕上げているかは、すべてご存じなので。

―― はい。いかに先生が綿密な取材に基づいて本をお作りになっているかも、近くで経験させていただきました。

門田 一挙に書きますから。取材をずっとやって、それで一挙に、2カ月ぐらいで書きますので、ジタバタしてしまうのですよねえ。もう、本当に徹夜続きで。おかげさまでやっと間に合いました。

―― いえいえ。でも、後で少しご紹介いただきたいと思いますけれども、この本の非常に大きな特徴といいますか、良さといいますか、前半はこれからお話しする硫黄島を守備していた日本海軍の司令官が、戦争相手国であるアメリカの大統領に対して1通の手紙をしたためた話が紹介されていく。「日本はこういう思いでやっているのだ」という熱い思いの手紙を書いて。

 それを、実はハワイ生まれの日系二世の方が、アメリカ人に伝わるように非常にうまい翻訳をする。

 そしてそれを、司令官の部下の参謀の方が、自分が戦死するというのをわかっていて(ア...

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