編集長が語る!講義の見どころ
数学と音楽の不思議な関係を「実演」で学べる!/中島さち子先生【テンミニッツ・アカデミー】

2025/09/05

いつもありがとうございます。テンミニッツ・アカデミー編集長の川上達史です。

世界は音楽と数学であふれている。そして音楽と数学には、とても不思議な関係がある――。

考えてみれば、たしかに不思議です。美しい和音は、なぜ美しく響くのか。乗れるリズムの違いとは何か。

音楽と数学のそのような不思議な関係が見えてくると、音楽も数学も、とたんにいままでとは少し違った側面を見せてくれるようになります。さらにいえば、世界を数学で表現するとはどういうことかも見えてきて、世界についての見方や感受性も、少し変わってくるかもしれません。

本日は、そのことをとてもわかりやすくご紹介くださった中島さち子先生の講義を紹介します。

中島さち子先生は、高校2年生、3年生だった1996年、1997年に、国際数学オリンピックで日本人女性初となる金メダル、銀メダルを獲得され、東京大学理学部数学科に入学しますが、在学中にジャズ研究会で活動し、卒業後にはジャズピアニストの道に進まれました。

数学と音楽の関係についてお話しいただくのに、まことに最高の先生といえましょう。しかも今回の講義は、パーカッションの小林武文さんと一緒に、実際に演奏して教えてくれたり、音の波形をPCソフトで表わして見せてくれたりするので、視聴するだけで体感的に理解することができます。まさに、動画講義の特性を最大限生かした講義です。

◆中島さち子:数学と音楽の不思議な関係
(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5918&referer=push_mm_rcm1

まずこの講義は、中島先生と小林さんの「即興演奏」から始まります。その場でいくつか音を挙げてもらい、その音を使って演奏していくのです。この「音選び」ももちろん、事前の打ち合わせなしにその場で行ないました。私は、ちょっと音楽になりづらい音階を挙げてしまったのですが、それでもとても興味深い音楽になっています!

中島さち子先生は、ピアノは4歳くらいから学ばれたといいます。そしてネム音楽院(現ヤマハ音楽院)という音楽の専門家を育てる高度な機関で研鑽を積まれました。そして東京大学のジャズ研究会でジャズピアノの世界に大いに魅せられたのです。その一端を、今回の即興演奏からも聴くことができます。

さて、音楽と数学の不思議な関係については、ピタゴラスの研究をご存じの方もいらっしゃると思います。ピタゴラスは、「音楽が非常に美しく調和しているとき、その背後には『4:5:6』や『3:4:5』というとてもきれいな数字が見えてくる」ということを発見しました。

このような発見を背景に、古代ギリシア、そしてその影響を受けた西洋には「宇宙には私たちの耳に聞こえない調和の音楽が鳴り響いている」という考え方がありました。「ムジカ・ムンダーナ(世界の調和としての音楽)」といいます。

そう聞くと、ますます世界は音楽と数学であふれているように思えてならなくなってきます。

では具体的に、数学と音楽の不思議な関係とはどういうことでしょうか。

中島先生は、第2話では「リズム」について解説していきます。

3拍子、4拍子などということは音楽の授業でも学ばれたことと思います。しかし、生き生きしたリズムは、もちろんそれだけではありません。

たとえば、「あんたがたどこさ」は、「あんたがたどこさ(4拍子)、ひごさ(2拍子)、ひごどこさ(3拍子)、くまもとさ(3拍子)、くまもとどこさ(4拍子)、せんばさ(2拍子)」という複雑な「変拍子」でできているといいます。しかし、実際に演奏すると、違和感を感じずに「乗る」ことができます。

さらに、2つのリズムが同時に鳴り響く「ポリリズム」というものもあって……。

このあたり、パーカッションと一緒に学んでいくので、リズムを身体で感じながらつかむことができます。

さらに第3話では「音」そのものに迫ります。音が空気の振動であり「波」であることは、よく知られたところですが、中島先生はこうおっしゃいます。

《その波とはどんなものかというと、波を支えているのは三角関数です。この三角関数が複雑に混じり合って、私の声や机を叩く音など、いろいろな音が生まれているわけです。“三角関数さん”たちは目覚ましい働きをしていて、世の中の音の全てが三角関数で表現でき、無数の足し算や積分のようなものによって生まれているということが分かっています》

三角関数というと、ひるんでしまう方も多いかもしれませんが、しかし、今回の講義では上述のとおり、実際の音の波形がどのようなものかを、パソコンのソフトで具体的に見せてくれるので、「目と耳」で学ぶことができるのです。

さらに最終話では、中島さち子先生が進めておられる「steAm(スティム)教育」についてご紹介くださいます。

「STEM教育」という言葉があります。これは「科学(Science)、技術(Technology)、工学・ものづくり(Engineering)、数学(Mathematics)」の頭文字を並べた者。ここに「アート・リベラルアーツ(Art/Arts)」を入れたのが「steAm教育」なのです。

中島先生は次のようにおっしゃいます。

「アートと遊びの力」「知ると創るの循環」「まだ答えがない問題を、科学者や数学者のように考えたい」「つくる喜びをすべての人に=多様な創造性」――。

はたしてどのようなことかは、ぜひ講義本編での中島先生のお話をご参照ださい。

楽しく視聴していくうちに、世界の美しさの秘密に少し触れたような感覚を抱くことができる、まことに興味深い講義です。ぜひご覧ください。


◆中島さち子:数学と音楽の不思議な関係(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5918&referer=push_mm_rcm2