編集長が語る!講義の見どころ
(今を知る)歴代大河特集~「豊臣兄弟」の実像は従来と大違い!/黒田基樹先生【テンミニッツ・アカデミー】

2026/01/06

いつもありがとうございます。テンミニッツ・アカデミー編集長の川上達史です。

いよいよ1月4日(日)から、NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』が始まりました。羽柴秀吉の弟・羽柴秀長を主人公にしたドラマですが、初回から、俳優の皆さんが生き生きと躍動していました。

秀長の今後を予想させるような人物像も効果的に描かれ(銭を貯め込んでいるところも……)、また、秀吉の色々な意味での多面性もうまく予感させるスタートでした。

でも、いままでの歴史小説やドラマで描かれた秀吉像に慣れ親しんできた方は、少し違和感を覚える部分もあったかもしれません。それは実は……。

一年という長いスパンの大河ドラマは、歴史を知るきっかけとしても、また歴史上の人物の魅力に迫るものとしても、まことに得難いものです。「ドラマ」として描かれているので、人物像が際立ちますし、「もしかしたら、歴史の裏側はこうだったのかも」という想像もかき立ててくれます。

しかし、もちろんのこと「ドラマ」は物語を盛り上げるためのフィクションも多々加味されているだけに、そのまま「史実」と捉えてしまうのは大間違いです。

ただ、一方で、史実も学んだうえでドラマを見ていくと、どこにどのような工夫が施されているのか、人物像のどの面を切り取ったのかなどが見えてきて、楽しみが幾十倍にもなるものです。

加えて、史実についての知識と、ドラマで描かれる視覚効果や物語効果が相乗効果をもたらして、ますます歴史が好きになります。歴史から学べることの幅もグッと広がってきます。

テンミニッツ・アカデミーでは、各年の大河ドラマにあわせて、ドラマの時代考証の先生方を中心に、登場人物や時代について深く学べる講義を配信してきました。

もちろん、ドラマの予習的に視聴することで、上述したような楽しみや学びを得ることもできますが、ドラマが終わったあとで見返してみると、また新たな気づきや発見に出会うこともできます。ドラマでの俳優の方々の熱演を思い出しながら、史実が活き活きと胸に迫ってもきます。

「今を知る講義まとめ」特集として、「歴代大河ドラマを学ぶ」をスタートしています。また、『秀吉兄弟!』の時代考証の黒田基樹先生にお話しいただいた新作講義もすでに配信が進んでいます。

ぜひ、秀吉・秀長講義をご覧いただき、併せてこれまでの大河ドラマ関連講義も再訪してみてはいかがでしょうか? あたかも歴史絵巻のように、日本史の大切なポイントが見えてきます。


■今を知る講義まとめ:歴代大河ドラマを学ぶ

https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=280&referer=push_mm_feat

◆黒田基樹先生:2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=6051&referer=push_mm_rcm1

◆堀口茉純先生:2025年大河『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』 江戸のメディア王・蔦屋重三郎が吉原遊郭で培った斬新な出版アイディア
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5603&referer=push_mm_rcm2

◆関幸彦先生:2024年大河『光る君へ』 紫式部が生きた平安時代、貴族社会の華やかさの裏にあった激動と転換の400年
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5201&referer=push_mm_rcm3

◆小和田哲男先生:2023年大河『どうする家康』 徳川家康のイメージが変わる”辛抱”とは異なる”自由奔放”な人質時代
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4756&referer=push_mm_rcm4

◆坂井孝一先生:2022年大河『鎌倉殿の13人』 流人・源頼朝の起こした女性関係のトラブルからはじまった北条氏との運命
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4317&referer=push_mm_rcm5

◆渋沢雅英先生:2021年大河『青天を衝け』 渋沢栄一の曾孫が明かす真実。日本初の銀行を設立し、約500もの企業を設立したスピリットの核とは
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3841&referer=push_mm_rcm6

◆小和田哲男先生:2020年大河『麒麟がくる』 実は部下思いの”いい武将”だった明智光秀はいつどこで生まれたのか
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3135&referer=push_mm_rcm7


■本日の講義:秀吉・秀長兄弟は、実は実像がよくわかっていなかった!?(黒田基樹先生)

本日は特集のなかから、大河ドラマ『豊臣兄弟!』の時代考証をお務めの黒田基樹先生(駿河台大学法学部教授/日本史学博士)に、羽柴秀吉・秀長の実像について縦横無尽にお話しいただいた講義を紹介します。

実は、弟の羽柴秀長については、ほとんど史実がよくわかっていなかったのです。それゆえ時代考証の依頼があったときに、黒田先生は「これは大変だ」と思われたとのこと。

しかし、秀長について調べ上げていくなかで、これまでの通説とは違う様々な興味深い事実に出合っていくのです。そして、秀吉についても、これまでのイメージとはまったく違う実像が浮かび上がってきて……。

はたして、どのようなことなのでしょうか。まさに戦国時代への見方が変わってくる講義です。

◆黒田基樹先生:豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(全10話)
(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=6051&referer=push_mm_rcm8

今回の講義では、「序」として、まず時代考証とはどのようなものか、ドラマの魅力がどこにあるのかをお話しいただいています。実は2026年スタートの『豊臣兄弟!』の場合、時代考証の依頼は2024年の年初だったとのこと。羽柴秀長については、あまり史実が明らかになっていなかったこともあって、黒田先生は研究者として秀長が主役となることに驚かれたそうです。

そこから半年強の時間で、ともに時代考証を務めておられる柴裕之先生(テンミニッツ・アカデミーで信長の実像を明かす講義をお話しくださっています)と史料を集め、秀長の具体的な行動を復元する作業を行なっていきました。その結果、これまで数々のドラマに登場してきた秀長は、史実とはほとんど合っていないことがわかってきたのだといいます。

その一方で、もちろん大河ドラマとして時代考証はとても重要ですが、ドラマである以上、大胆なフィクションの要素がないと話が盛り上がらない面もあります。史実の掘り起こしとともに、そのようなドラマ性に研究者としてどのように向きあうのか。

その点については、ぜひ「序」講義をご覧ください。

また併せて、兄の羽柴秀吉の実像にも新たな光が当たりました。黒田先生が注目するのは、実際の史料で、秀吉が「織田家中一の武略者」とされていることでした。これも過去のドラマの秀吉設定とはずいぶん異なることです。

そのような歴史の謎と真実が、続く講義で明かされていきます。

まず総論的に、秀長の人物像が描かれます。ここでも、いままで知らなかった史実が色々と飛び出してきます。

たとえば「豊臣」と「羽柴」の違いとは……。

多くの方は、「羽柴」と名のっていた秀吉と秀長が、やがて「豊臣」になったというイメージをお持ちだと思います。しかし、実はそう簡単には考えられないのだというのですが、どのようなことなのでしょうか?

また、羽柴秀吉についても、どうしてもこれまでの歴史小説やドラマでは、江戸時代以降につくられた物語がベースになっていた部分が大きかったのです。実際に秀吉・秀長が存命だった当時、もしくは近い時代の史料を元にきちんと検討するのは、比較的最近のことなのだといいます。

羽柴秀長についても、これまでもたとえば堺屋太一さんの歴史小説『豊臣秀長』などで、素晴らしい補佐役としてのイメージは描かれていましたが、実際に何をしていたのかはわかっていませんでした。

その点について調べていくと、たとえば秀長は、秀吉が天下をつかむ直前期には、有力大名のほとんどとの「取次」を一手に行なっていたことが明らかになりました。しかも、それぞれの大大名を「指南」して、多大な信頼と尊敬を集めていたのです。

考えてみれば、それまで血みどろの戦いを繰り広げていた大名たちが、秀吉政権の誕生とともに、なぜ速やかにまとまっていったのかは不思議といわざるをえません。そこに秀長がどのような役割を果たしたのか。ここも、今回の講義の見どころの一つでしょう。

ここから、さらに羽柴秀長と秀吉について深掘りしていきます。

まずは両者の出自や、両親についてです。

これまで多くの場合、秀吉は最下層農民の出身であるように描かれてきました。また、秀吉と秀長の父親は違うともいわれていました。しかし、調べていくと……。

これも、これまでのイメージが大きく覆るところです。

また、前述のような「織田家中一の武略者」としての姿も明かされます。秀吉というと調略や外交が得意だったり、あるいは情報将校的な存在だったと強調されることも多いですが、実はそのような従来のイメージは、ごく一面にすぎないのです。

さらに秀長自身も、実は最初に信長の直臣として様々な武功を挙げているというのですが、それはどのようなことなのでしょうか? その後に秀吉軍団のなかで活躍していく秀長の姿、加えて、秀吉軍団の戦い方の特長とは……。

そして、先述のように多くの大大名との取次を務め、名だたる武将たちからその文武両道ぶりで尊敬を集めた秀長の姿が明らかになります。もちろん、秀長自身の領国経営の手腕もまことに見事なものでした。

また、これまでの秀吉政権のイメージも大きく変わっていきます。

たとえば、よく徳川家康や前田利家、毛利輝元などの五大老と、石田三成、浅野長政、前田長盛、長束正家、前田玄以の五奉行との「対立」がドラマで描かれます。しかし今回、黒田先生が羽柴秀長について調べていくなかで、そのようなイメージはまったくの嘘だということがわかったといいます。

さらに秀吉政権は「集権的」で、その後の徳川政権は「分権的」ともいわれますが、これも単純にそうは言い切れないそう。

このように見てきただけでも、歴史好きの方からすれば、いかにこれまでのイメージが大きく覆るかがよくわかることでしょう。

このような史実や歴史の裏側を学んだうえでドラマを見ていくことで、楽しみや学びが激増していくこと、うけあいです。ぜひご覧ください。

なお、本日紹介する「特集」に加えて、テンミニッツ・アカデミーのサイトの上部に設けた「体系」タブとして、「歴代大河特集」も特設しています。そちらでは、さらに関連講義にも手軽にアクセスいただけますので、そちらもぜひのぞいてみていただけると幸いです。


(※アドレス再掲)
■今を知る講義まとめ:歴代大河ドラマを学ぶ
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=280&referer=push_mm_feat

◆黒田基樹先生:豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=6051&referer=push_mm_rcm9


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