編集長が語る!講義の見どころ
これから日本が進む道とは?社会・経済の構造変化/柳川範之先生【テンミニッツ・アカデミー】

2026/02/03

いつもありがとうございます。テンミニッツ・アカデミー編集長の川上達史です。

いま、世界が大きな転換期を迎えていることは間違いありません。そのなかで、日本も大きく変わっていかなければいけない。そのことも、間違いないことでしょう。今回の総選挙でも、いまの日本社会の「大きな軋み」を随所にひしひしと感じます。それは大きな変化の必要性を、雄弁に語るものなのかもしれません。

しかし、では日本社会はどのように変わっていくのでしょうか? まったく新しい社会に変わっていくのか、それとも……。

本日は、そのことについてのヒントを柳川範之先生(東京大学大学院経済学研究科・経済学部 教授)にお話しいただいた講義を紹介します。

社会の基盤となる技術は大きく変わっていく。しかし、そこで求められるものは、一面においては案外、これまでの日本を見直すことかもしれない。そんなことを感じさせてくれる講義です。

◆柳川範之先生:これからの社会・経済の構造変化(全4話)
(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=6115&referer=push_mm_rcm1

まず、柳川先生が強調されるのは、インターネットやAI技術の発展で社会の情報伝達構造は大きく変わったことです。毎々の選挙でも、SNSの影響がどんどんと大きくなっています。

少し前までであれば、週刊誌や月刊誌などがあり、とりわけ月刊誌などは様々な問題の本質を大局的・俯瞰的に分析してくれる論考を数々掲載していました。いまももちろん、そのような月刊誌は数々発刊されていますが、その影響力は落ちてきています。一方で、SNSからは猛烈な勢いで種々の情報が溢れ出してきます。

ある意味では、誰もが即座に情報を得られる「フラット化」の時代です。

柳川先生は、このような時代には、従来の日本の組織の「ヒエラルキー」や「無謬性の原則」ではあまりにスピードが遅すぎると語ります。また、従来の民主主義の意思決定システムも、スピードの遅さが懸念されると。まさにご指摘のとおりでしょう。

柳川先生は、次のような印象的なことをおっしゃいます。

《DXということは、本当はDigital Transformationなので、組織そのものを変えていかなければいけないのですけれど、なかなか日本企業の場合、組織そのものを変えるというよりは技術導入だけで終わってしまっているという現状問題はあるのです》

さらに、ネット動画配信サービスを展開するNetflixが、ワーナー・ブラザースを買収する話にも言及し、情報の流れがまったく変わって、産業勢力図も大きく変わりつつあることを示してくださいます。

では、このような社会では、何が求められるのか。もちろん、民主主義制度や政府のガバナンスのあり方をバージョンアップし、もっと柔構造でスピード感あるものにしていく必要があるのでしょう。

一方で、「経済的利益」ばかりを前面に出すようなあり方から、「社会の課題解決」を求めるようなあり方への意識の高まりも随所に感じます。

企業でも、「パーパス経営」であるとか「サステナビリティ経営」、あるいは「ステークホルダー資本主義」などということが強調されるようになりました。人材こそが大事な資産(アセット)だとする「人的資本主義」ということも、盛んに指摘されています。

しかし、考えてみれば、これはこれまでの日本社会の価値観とも通底するものなのではないか。であるとすれば、どのようなことを見なおしていくべきで、どこを変えていくべきなのか。

そのヒントについて、柳川先生はファミリービジネスの事例を取り上げながら、お話しくださいます。

ファミリー企業は、とかく近年の日本では「前近代的」なものであるかのように語られがちでしたが、実はいま、世界で注目されつつあるというのです。ハーバード大学やヨーロッパのビジネススクールでも、ファミリー企業についてかなりの講座が開かれるようになっている。それは、ファミリー企業のパフォーマンスが良いからだと。

柳川先生のお話をうかがっていると、たとえば本村凌二先生がおっしゃる「父祖の遺風」という古代ローマの伝統を思い起こさずにもおれません。はたして、どのようなことか。それはぜひ講義本編で感じていただければ幸いです。

さらに本講義の第4話は、質疑応答編。講義を色々な確度から深掘りして考えることができます。

歴史は循環するように見える。そのことは、少し前のメールで本村凌二先生の講義を紹介しつつ語りました。しかし、それは上から見た場合の見え方であって、同じ姿を横から見ると、技術の発達などによって、循環しながら少しずつ別のバージョンへと発展しているのかもしれません。

では、循環と発展のバランスで、日本はいかなる社会をめざすべきなのか。そのことについて、さまざまに想いを巡らせることができる講義です。ぜひご覧ください。


(※アドレス再掲)
◆柳川範之先生:これからの社会・経済の構造変化(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=6115&referer=push_mm_rcm2


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