豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「家康対奉行」の構図は真っ赤な嘘!? 秀吉政権瓦解の真相
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(8)秀長の死の影響と秀吉政権の瓦解
黒田基樹(駿河台大学法学部教授/日本史学博士)
天正19(1591)年、秀吉は子の鶴松と秀長が相次いで死去し、関白職を甥・秀次に譲り、太閤と呼ばれるようになる。これ以降、羽柴(豊臣)政権は迷走し、やがて崩壊へと向かうことになるが、それゆえ秀長の存在感が没後、よりクローズアップされることになったのは間違いないだろう。もし秀長があのまま生きていたら、歴史はどのように変わったのだろうか。今回は、朝鮮出兵の大失敗の意味、分権派対集権派という構図の真相など、秀長の死の影響とそこから秀吉政権瓦解へと進む背景について解説する。(全10話中第9話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:12分51秒
収録日:2025年10月20日
追加日:2026年1月25日
≪全文≫

●秀長の死が影響した朝鮮出兵の大失敗と調整機能の消滅


―― これはよく(いわれることで、)これまで物語上の話としても、あの段階で秀長が兄より先に死んでしまったことが、最終的な豊臣政権瓦解に相当効いてしまっている。一般にそのような話もよくされますが、それは全くその通りであり、それだけ大きな役割を持っている人だということになりますね。

黒田 そうですね。秀吉死後の政権崩壊の直接の理由はやはり壬辰戦争、朝鮮出兵の失敗にあると思いますが、秀長が生きていたら、多分あれだけ泥沼の戦争にはならなかったと思うわけです。

―― なるほど。

黒田 どこかで和睦をするなり(していたかもしれない)。要するに秀長は秀吉に意見を言える数少ない一人で、彼が死んだ後、みんな秀長ほど意見は言えないのです。しかも、意見が言えた人は徳川家康と前田利家と浅野長吉、基本的に弟分しかいない。

 しかしながら秀長は本当の血縁なので、しっかりと意見は言えたと思います。だから、途中のどこかの段階で和睦して撤退というかたちにもなっていたと思うわけです。最終的には秀吉譜代の内部争いですから、それをコントロールすることができたのも、やはり秀長しかいなかった。

 1960~1970年代あたりには、よく「集権派と分権派の対立」という学説が出され、結局家康のような領国大名と増田(ました)・石田のような奉行の対立のようなものが…。

―― 五奉行の…。

黒田 はい。そういう学説が出されて、それがいまだに研究上に影響を及ぼしているのですが、秀長を調べてみて、それは全くの嘘だということが分かりました。

―― そうですか。それはどういうことですか。

黒田 奉行たちは秀吉の子ども分なので、秀吉に意見を言えないし、秀吉が不快に思う案件は取り継がない。これは自分が怒られるからで、(現代の)会社でもよくある話ではないですか(笑)。

―― ありがちですよね。

黒田 …ですよね。だから、対立のしようがないわけです。そういう中で秀長は唯一、「奉行が取り継いでくれないので、自分にその仕事に対応しろという命令を出してくれ」と秀吉に頼んで、出してもらっている。つまり奉行の責任にならずに、「秀長が対応しろ」という命令に切り替わるのです。

―― なるほど。

黒田 あと、秀吉の決裁というのは、そうした奉行の合意で出されるのですが、奉行同士で意見が...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
歌舞伎はスゴイ(1)市川團十郎の何がスゴイか(前編)
歌舞伎の魅力とサバイバル術…市川團十郎の歴史から考える
堀口茉純
戦国大名の外交、その舞台裏(1)戦国大名という地域国家
戦国時代とは何か?意外と知らない戦国大名と国衆の関係
丸島和洋
「Fukushima50」の真実…その素顔と誇り(1)なぜ日本人は突入できたのか?
福島第一原発事故…日本の危機と闘った吉田昌郎と現場の人々
門田隆将
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩

人気の講義ランキングTOP10
戦前、陸軍は歴史をどう動かしたか(1)総力戦時代の到来
日英同盟の廃棄、総力戦…世界秩序の激変に翻弄された日本
中西輝政
高市政権の進むべき道…可能性と課題(2)財政戦略3つの問題点
高市政権の財政政策の課題は…ポピュリズム政策をどうする?
島田晴雄
「Fukushima50」の真実…その素顔と誇り(2)吉田昌郎所長の機転と決断
なぜ部下たちは「吉田昌郎所長となら死ねる」と語ったのか
門田隆将
インフレの行方…歴史から将来を予測する(1)インフレの具体像を探る
270年の物価の歴史に学べ…急激な物価上昇期の特徴と教訓
養田功一郎
こどもと学ぶ戦争と平和(3)「小さな外交官」と少年兵の問題
外国が攻めてきたらどうすればいい?戦争と少年兵の問題
小原雅博
『三国志』から見た卑弥呼(1)『魏志倭人伝』の邪馬台国
異民族の記述としては異例な『魏志倭人伝』と邪馬台国
渡邉義浩
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(6)曼荼羅の世界と未来のネットワーク
命は光なのだ…曼荼羅を読み解いて見えてくる空海のすごさ
鎌田東二
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹