編集長が語る!講義の見どころ
《今を知る》「現代の戦争」をどう考えるか?/廣瀬陽子先生&特集【テンミニッツ・アカデミー】

2026/05/13

いつもありがとうございます。テンミニッツ・アカデミー編集長の川上達史です。

イラン戦争、ウクライナ戦争、さらに台湾危機……。21世紀に入って、戦争や外交のかたちがこれまでとは大きく変わりつつあるようにも思われます。

とはいえ、「古典的な分析」を前提にせねば見えてこない部分があることも事実。いま、われわれは「現代の戦争」について、どのように考えるべきなのでしょうか。今回の特集で、さまざまな角度から迫ってみました。


■今を知る講義まとめ:「現代の戦争」をどう考えるか?

https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=290&referer=push_mm_feat

◆廣瀬陽子先生:「ハイブリッド戦争」の実像…ロシアが考えていることとは何か?
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5493&referer=push_mm_rcm1

◆東秀敏先生:なぜイラン戦争がこのタイミングなのか?戦略的背景に迫る
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=6229&referer=push_mm_rcm2

◆小原雅博先生:国際政治の要諦は戦略とインテリジェンス
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4784&referer=push_mm_rcm3

◆橋爪大三郎先生:核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5189&referer=push_mm_rcm4

◆上杉有司先生:台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5969&referer=push_mm_rcm5


■ピックアップ講義:定義できない「ハイブリッド戦争」の実像を探る(廣瀬陽子先生)

本日は特集から、ロシアの「ハイブリッド戦争」について詳述いただいた、廣瀬陽子先生(慶應義塾大学総合政策学部教授)の講義を紹介いたします。

すでにロシアによるウクライナ侵攻は5年目を迎えています。最近は、ロシアの苦戦も伝えられ、ロシア軍が制圧した面積が減少に転じているという分析も出されています。

しかし忘れてはいけないのは、今般のウクライナ侵攻で、ロシアは「ハイブリッド戦争」といわれる戦略を採っていることです。

「ハイブリッド戦争」とは、国の正規の軍隊による「正規戦」と、それ以外の「非正規戦」を組み合わせた戦争のあり方です。非正規戦がセットになるので、これまでの戦争のイメージを覆す侵攻がなされることになります。

では、その実態は?

今回の講義で廣瀬先生は、「ハイブリッド戦争」とはいかなるものなのか、ロシアの戦略とはどのようなものなのかを、わかりやすくご解説くださいます。今後の日本の安全保障を考えるうえでも、まさに必見の講義といえましょう。

◆廣瀬陽子先生:ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国(全7話)
(1)ロシアの勢力圏構想とNATO拡大
「ハイブリッド戦争」の実像…ロシアが考えていることとは何か?
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5493&referer=push_mm_rcm6

まず、この講義シリーズの全体像を示すために、各講義タイトルを列挙しましょう。講義の内容のイメージをお持ちいただきやすくなると思います。

(1)ロシアの勢力圏構想とNATO拡大
「ハイブリッド戦争」の実像…ロシアが考えていることとは何か?

(2)ハイブリッド戦争とは何か
もはや定義できないハイブリッド戦争、多様化と進化の現実

(3)ワグネル創設の背景とロシアの思惑
民間軍事会社はとても便利…ワグネル創設の背景とその顛末

(4)制裁の効果と抜け道の問題
白物家電を軍事転用!?…深刻な「制裁の抜け道」問題

(5)持てる国の強みとグローバルサウス
ロスアトムは制裁外…世界に影響を与えるロシア原子力産業

(6)狭間の政治学で考える旧ソ連諸国
出稼ぎかテロリストか…旧ソ連諸国からの労働移民の現実

(7)ロシア・ウクライナ戦争の終わり方
プーチンがいなくなっても終わらない…戦争終結の条件とは

まさに、ロシアによるウクライナ侵略の背景から実態まで、詳細にお話しいただいていますが、このガイドメールでは特にハイブリッド戦争にご言及いただいた部分を紹介しましょう。

廣瀬先生は、ハイブリッド戦争の定義を次のようにご紹介くださいます。

《ハイブリッド戦争というのは、政治的目的を達成するために、軍事的脅迫と、それ以外のさまざまな手段を組み合わせた、非正規戦と正規戦を組み合わせた戦争の手法》

しかし、同時に次のようにもおっしゃいます。

《ハイブリッド戦争は、いろいろ多くの展開が起きており、決して凝り固まった概念では考えられないものなのです。実際、私は定義ができないという立場を取っています。私から見ますと、「定義ができる」ということをおっしゃっている方は、実際に現場をご存じない方なのだという意識を持っております》

そうしないと、どんどん起こされていく新たな展開に対抗できないからと。まさに、何でもありの「戦争」であり、だからこそ、このような態度が必要不可欠ということでしょう。

そのうえで、廣瀬先生はハイブリッド戦争を、わかりやすいイメージ図でご紹介くださいます。

フェーズ1では、サイバー攻撃、情報戦、宣伝戦(認知戦)、政治的脅迫、経済的手段、制裁、マスク外交・ワクチン外交、難民テロなど、様々な工作が行なわれます。

たとえば、「難民テロ」とは、中東、アフリカなどから難民を組織的に連れてきて、それを相手国に送り込むこと。実際にロシアはフィンランドやノルウェーなどに対して行なっているといいます。

しかも、フィンランドが難民の入国を拒否すると、難民に対して「フィンランドはひどいですね。であれば、われわれがロシア国籍を付与しますよ」といって実際にロシア国籍を付与し、そのうえでウクライナ侵略に兵士として送り込んでいるといいます。なんとも、やりきれない思いが胸に去来します。

フェーズ2では、民間軍事会社などを用いて軍事的脅迫が行なわれます。ロシアによるクリミア併合も、正体不明の「特殊任務部隊」を送り込むことで実施されました。

また、民間軍事会社といえばワグネルも忘れることはできません。たとえばワグネルは、マカオで登記された会社でした。ですから、ロシアに対して抗議をしても、「それは知りません。マカオにある会社なのではないですか」と言い逃れができて、やりたい放題だといいます。

そのような民間軍事会社に汚れ仕事をさせて、自らに望ましい状況をつくりあげ、フェーズ3では正規軍による軍事的戦闘が行なわれる……。実際に日本で、同様のことが起きる場合にはどのようなことが想定されるかを考えてみるだけで、多くの気づきを得ることができます。

さらに、第4話以降では、旧ソ連諸国の視点も交えつつ、経済制裁が実際に効いているかどうかの分析がなされます。とても「リアル」な状況をご報告いただいており、ここも必見のご分析といえましょう。

「現代の戦争の姿」を深く知ることが、日本の平和を守るためにもきわめて重要です。ぜひご覧ください。


(※アドレス再掲)

■今を知る講義まとめ:「現代の戦争」をどう考えるか?
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=290&referer=push_mm_feat

◆廣瀬陽子先生:ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5493&referer=push_mm_rcm7


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