編集長が語る!講義の見どころ
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来/宮本弘暁先生【テンミニッツ・アカデミー】
2026/05/18
いつもありがとうございます。テンミニッツ・アカデミー編集長の川上達史です。
AIの進歩は、まことにおそるべきものです。仕事などで使っているとよくわかりますが、数年前は「正直、お話にもならないクオリティ」だったことを、現在では楽々とやってのけたりします。
もちろん、間違いもまだまだ多いですし、多くの課題もはらんでおります。
先日、ある歴史学者の先生とお話ししていましたら、「われわれ歴史学者は、何が史実で、何が物語なのかを懸命に調べているのに、AIは小説も史実も一緒くたにして答えを出してくるので、様々な問題が起きかねない」とおっしゃっていました。まさにご指摘のとおりでしょう。
とはいえ、AIが仕事を大きく変えていくことは、もはや明々白々のことではありましょう。となれば、仕事と給料の未来も激変が予測されます。
では、どうなっていくのか。大切になることは何か。
本日はそのことを、「世界の最新研究」を数多く検証しながら論じていただいた、宮本弘暁先生(一橋大学経済研究所教授)の講義を紹介いたします。
AI社会の課題とそのなかでの人間の未来が、瞭然と見えてきます。
◆宮本弘暁先生:AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(全8話)
(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=6241&referer=push_mm_rcm1
まず、なぜ宮本先生が、AIについて「世界の最新研究」をまとめることになったのか。その大きなきっかけは、宮本先生が2024年にイタリアで開かれたG7で開催された「AIと経済・金融政策に関する専門家パネル」のメンバーを務められたことでした。
この専門家パネルは、ルイス・ビデガライ氏(メキシコの元外相・財相)が議長を務め、ノーベル経済学賞を受賞したフィリップ・アギヨン氏をはじめ世界の専門家7人を集めて行われたものでした。
このメンバーに加わった宮本先生は、この場でのご経験も踏まえつつ、世界最先端の有識者の意見を次々とご紹介くださいます。AI社会でどのようなことが起きうるのか。多様な角度から検証することができます。
まず、宮本先生は「先進国の雇用の60%がAIの影響にさらされる」というIMFの2024年の研究を引用されます。
その60%のうちの半分は、AIとの協働で生産性があがり、給与も上がる。しかし、残りの半分は、仕事自体が消えてしまう可能性がある……。
しかも、AIがこれまでとは特異なところは、「ホワイトカラーの仕事を直撃する」ことです。これまでの「機械化」や「オートメーション化」などは、どちらかといえば製造業の現場などに関わるものでした。しかし、知的領域にまで機械が進出してきたのです。
では、どうなるのか?
当然、雇用と賃金の格差が広がる可能性があります。同時に、AI技術の進歩は非常に速く、人間の能力を超えたAIが出てくる可能性もあります。
その一方で、社会が技術革新で変わっていくのに伴って、必然的に雇用や労働の構造も大きく変わっていきます。宮本先生は、アメリカで2018年時点で存在した仕事の「大半」が、1940年には存在しなかったものだという研究をご紹介くださいます。
たしかに日本でも、戦後すぐ、あるいは高度成長期と現在とでは、就業構造がまったく違います。AIで社会が急激に変化していけば、必然的にそのような動きも大いに加速されるでしょう。
となれば「わかってから動く」というのではもう遅いのだと、宮本先生は指摘されます。
さらに、とりわけそのショックを大きく受けかねないのが日本だとも、宮本先生はおっしゃいます。
日本の労働市場は極めて硬直的です。しかも、労働市場の自由化を訴えただけで、「人殺し」といわんばかりに労働組合やオールド・メディアが批判のボルテージを上げます。
社会構造が猛スピードで激変していくのに、労組やメディアが「足かせ」になって動けない。多くの人々にとって、労組やオールドメディアが真の邪魔者になる可能性も見えてきます。
一方、われわれはAIをいかに活用すべきなのか。
その点で宮本先生が強調されるのは、「実は、ベテラン層こそが、AIを存分に活用できる」ということです。
2000年代初頭に「デジタル・ネイティブ」という言葉が登場しました。生まれたときからパソコンやスマホに触れているような世代は、操作が楽々とできて、デジタル社会で有利だという話です。
しかし、それはもう全く違うのだと宮本先生はおっしゃいます。
AIを使えばよくわかりますが、普通に文章を打ち込んだり、あるいはスマホで話しかけるだけで、AIは結果を出してきます。複雑な操作も必要あります。
むしろ必要となるのが、「AIに何を聞くか」「AIが出してきた答えをどう評価するか」です。
この点、社会経験の浅い若手では、正しい判断ができず、ただただ、AIがパッと出してきた答えの言うなりになってしまい、さらに深掘りができないかもしれません。しかし、経験豊富なベテランであれば、AIの回答の足らないところやおかしいところに即座に気づいて、「ここは違うのでは、もっと別の答えを」と要求し、回答の精度を練り上げていくことができます。
ここは、これからの人間に求められるものを考えるうえで、とても重要なところといえましょう。
これらのことを考えると、AI社会において本当に大切な人間の能力は、「問題発見能力」や「問題解決能力」、さらに「他者との協同力」になっていくのでしょう。
生涯にわたって学びつづけ、自分を高め、好奇心をもって取り組んでいける人は、AI社会においてきわめて有利な立場になります。一方、現状の文部科学省の教育が本当にそのような社会に適合しているか……。
このように、この講義を視聴すると、どんどんと発想が広がっていきます。
宮本先生がご紹介くださる世界最先端の分析を次々に学びつつ、これからの社会のあり方、さらに何より自分自身のあり方を考えていくことができる講義です。ぜひご覧ください。
(※アドレス再掲)
◆宮本弘暁先生:AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=6241&referer=push_mm_rcm2
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