編集長が語る!講義の見どころ
大河ドラマの楽しみが激増する「信長軍団の戦い方」(テンミニッツTVメルマガ)
2021/01/26
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上です。
明智光秀を主人公にしたNHKの大河ドラマ「麒麟がくる」(主演は長谷川博己さん)が、いままさに本能寺の変の直前の佳境を迎えております(2月7日が最終回)。コロナ禍で、撮影中止やスケジュール変更など、さまざまな苦難に見舞われたドラマですが、しかし、俳優の方々の熱演は視聴者をぐんぐん引き込んでやみません。コロナのせいか1対1の演技の場面も多いですが、全身全霊でぶつかりあう、まことに見事な「役者勝負」が展開されています。
また、2023年のNHK大河ドラマは、「嵐」の松本潤さんを主演として「どうする家康」に決定したと発表されました。トップアイドルとして名を馳せた松本さんの登用ですから、これまで、時に「狸親父」といわれてきたイメージとは、まったく違った家康像が展開しそうです。
戦国もののドラマといえば、やはり見せ場は合戦であり、国と国、武将と武将の、手に汗握る攻防戦でしょう。「麒麟がくる」では、コロナ禍もあって、十分な合戦シーンが描けなかったようですが、それだけに、実際の戦場はどのようなものだったのか、そのディテールに迫る講義を学ぶのも意味あることではないでしょうか。
本日は、実際に信長軍団はいかに戦ったのか。その点について、作家の中村彰彦先生にお話しいただいた講義をご紹介いたします。
中村彰彦先生は、『二つの山河』で第111回直木賞(1994年上半期)を、『落花は枝に還らずとも』で第24回新田次郎文学賞(2005年)を受賞されていますが、史料を深く読み込み、史実の深い部分を表現していく歴史小説作家として活躍されています。
◆中村彰彦:信長軍団の戦い方(全3話)
(1)母衣衆と織田信長の残忍性
織田信長を支えた母衣衆に見る戦国のダンディズム
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3211&referer=push_mm_rcm1
信長は、時に、あまりに非情な戦略をとったことでも有名です。実際にどのような戦いぶりだったのか。中村先生はそれを詳細に描いていきます。具体的に挙げていただいたのは、越前の朝倉家を滅ぼした折の戦いと、伊勢長島の一向一揆を殲滅したときの戦いですが、その描写は、ここで紹介するのがはばかられるほど。たしかにこのような戦い方をしていたら、信長への畏怖と反感が高まるであろうことは容易に想像できます。
また、鉄砲3000挺を準備して武田勝頼の騎馬隊を壊滅させたといわれる有名な長篠合戦ですが、このポイントは鉄砲よりも、むしろ「柵」だといいます。
信長は、堅固な馬防柵を組み上げて、敵の騎馬軍団が入れない形にして、1騎1騎を狙い撃ちにしていった。鉄砲3000挺プラス馬防柵の2つがセットになったときに、長篠の合戦の一本勝ちが約束されたというのです。
そして実は「柵をつくる」という発想は、信長が昔からやっていたものでした。まだ信長が若かりし頃、尾張国(愛知県)の統一戦を行なっていたとき、岩倉城という小さな城を攻めるのですが、城そのものを四辺形の柵で囲ってしまったといいます。そして、脱出しようとする者たちを全部射殺し、城内の将兵を降伏に追い込んでいきます。
この戦い方は、後年、羽柴(豊臣)秀吉の「三木の干殺し(三木城)」「鳥取の渇え殺し(鳥取城)」「備中高松城の水攻め」などの戦い方に受け継がれていく。中村先生は、そう指摘されます。
また、琵琶湖を活用したシーレーン戦略構想を明智光秀が理解していれば、本能寺の変の後、もっと違った戦い方ができたのではないか……というのも、まことに興味深い視点です。
信長軍団の戦い方について、さまざまなことを知ることができる講義です。
あわせて中村彰彦先生の次の講義もお奨めです。
◆中村彰彦:戦国合戦の真実(全7話)
(1)兵の動員はこうして行なわれた
戦国時代、どのように兵を動員していたのか
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3123&referer=push_mm_rcm3
戦国武将たちは兵をどのように動員したのか。当時の「馬」の事情とは。戦場の食事はどのようなものだったのか。鉄砲が戦場をどう変えたのか、など興味深い話題が満載で、戦国合戦の真実が、生き生きと伝わってきます。
大河ドラマのクライマックスに向けて、ぜひ両講義をご覧ください。
(※アドレス再掲)
◆中村彰彦:
信長軍団の戦い方(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3211&referer=push_mm_rcm2
戦国合戦の真実(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3123&referer=push_mm_rcm4
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☆今週のひと言メッセージ
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「真理は平凡の中にある」
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=391&referer=push_mm_hitokoto
厳しい時代にも生き残れるのは、底力のある人
上甲晃(志ネットワーク代表)
私の持論は、“真理は平凡の中にある”ということであります。本当に大事なことは、難しいところにはありません。本当に大事なことは、当たり前の中にあります。
ですから、私は常に塾生諸君に言います。
「難しいことや特別なことをしようとするな。新しいことばかり求めるな。それは、必ず精神的に病む元になる。取り残されている気持ちになる。あるいは、自分だけが遅れている気持ちになる。そのようなことが原因で、精神的に不安定になるのだ」と。
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今週の人気講義
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実は、第1回の緊急事態宣言は「効果がなかった?」
小宮山宏(テンミニッツTV座長、東京大学第28代総長、株式会社三菱総合研究所理事長)
曽根泰教(テンミニッツTV副座長、慶應義塾大学名誉教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3842&referer=push_mm_rank
コロナが米中関係に与えている影響と大統領選の行方
小原雅博(東京大学大学院法学政治学研究科教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3656&referer=push_mm_rank
マルクスの予言が的中しなかった理由と『資本論』の問題点
橋爪大三郎(社会学者/東京工業大学名誉教授/大学院大学至善館教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3815&referer=push_mm_rank
集中のスイッチを入れる方法は意識からと身体からの2通り
為末大(一般社団法人アスリートソサエティ代表理事/元陸上選手)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3846&referer=push_mm_rank
ノーベル賞を受賞した「ビッグバン宇宙論」確立への発見とは
岡朋治(慶應義塾大学理工学部物理学科教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3792&referer=push_mm_rank
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編集後記
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編集部の加藤です。今回のメルマガ、いかがでしたか。
さて、冒頭の編集長の話にもありましたが、2023年のNHK大河ドラマは「どうする家康」ということで主人公は徳川家康となりました。テンミニッツTVではこれまで徳川家康関連の講義をいろいろと配信してきましたが、そのなかからここで以下の講義を紹介したいと思います。
危機の時代に見習うべきリーダーは徳川家康である
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所特任教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3553&referer=push_mm_edt
こちらは、コロナ禍のような危機下のリーダーシップについて考察するシリーズ講義「危機下のリーダーシップ、その要諦とは」の1話目で、徳川家康のリーダーシップに焦点を当てて解説しています。
山内先生は冒頭でこのように述べています。
「国民においては政治、生活、国家においては政治、経済、そして歴史的な進路という意味では、国と国民の一体化した進路というものが、国民の不安をいかに取り除き、そして、国民を幸福と安寧に導くのか。こういう積極的な意味でコロナ禍というべきものを危機として乗り越える、そのためのリーダーシップ、あるいは政治家の責任というものを問われるのだと思われます」
そして、「この際、歴史上の人物で私たちが見習うべきリーダー」として、山内先生は「日本史を全体として長い射程で見た場合、やはり私は徳川家康という人物を推したい」と述べているのです。
では家康のどんな点を私たちは見習うべきなのか。ぜひ本講義をご視聴いただければと思います。
また山内先生の講義としては、1月9日より以下「徳川将軍と江戸幕府の軌跡~家康編」シリーズの配信が順次始まっております。
徳川家康が現代日本の原型を形作る上で果たした二つの役割
(1)なぜ徳川家康は日本統一に成功したのか
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3836&referer=push_mm_edt
こちらも合わせてご視聴いただくと、家康という人物への理解がさらに深まりますので、ぜひ。
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