編集長が語る!講義の見どころ
「幸福な老年」への智恵をキケロに学ぶ/本村凌二先生【テンミニッツTV】
2026/06/22
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。
人生100年時代といわれます。「第二の人生」の長い時間を充実したものにできるかどうか。ここが、まさに「幸福な人生」かどうかの大きな分かれ道ともいえるでしょう。
しかし、古代ローマの昔から「老年は惨めなもの」という考え方が色濃くありました。なぜ老年が惨めなものになってしまうのか……。
「老年は惨め」という見方に、素晴らしい論駁(ろんばく)を加えた名著があります。古代ローマ史上随一の弁論家で、哲学者、政治家でもあったキケロが著わした『老年について』です。
本日は、本村凌二先生(東京大学名誉教授)にキケロの『老年について』をご解説いただいた講義を紹介します。学べば学ぶほど、歩むべき道が見えてきて、勇気がふつふつと湧いててきます。
◆本村凌二先生:キケロ『老年について』を読む(全9話)
(1)キケロの評価と「老年の心構え」
幸福な老年への智恵をキケロに学ぶ…惨めな老年の4つの理由とは
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5210&referer=push_mm_rcm1
キケロは、古代ローマでカエサルと同時代を生きた人物です(キケロはカエサルより6歳ほど年長)。
そのキケロが『老年について』を書いたのが、紀元前44年のこと。いまから2000年以上前の本だということになりますが、そこに書いてあることは驚くほど現代にも通じることばかり。
岩波文庫版で148ページほど(しかも注釈なども含めて)の薄い一冊であり、とても手に取りやすい一冊です。
その構成は、登場人物の一人であるカトーが、老年が惨めになると思われる4つの理由を挙げて、それぞれに反駁していき、「老年は、非常に充実できるものである」ということを説く形をとっています。
ここで挙げられる「老年が惨めになる4つの理由」は、次のものです。
第1は、「老年は公の活動から遠ざけるから」。
第2は、「老年は肉体を弱くするから」。
第3は、「老年はほとんど全ての快楽を奪い去るから」。
第4は、「老年は死からとおく離れていないから」。
ここに提示されている「4つの理由」は、現代のわれわれにも何の違和感もありません。
であればこそ、それを反駁して述べられていく「老年論」も、現代人にとっても深く心に響きます。極めて参考になる内容で、身に覚えがあったり、深く考えさせられたりすることばかりです。
2000年以上も前に書かれた本が、ここまで現代のわれわれにも響くのは、本当に驚くべきことです。それだけキケロが、「人間の本質」について鋭く洞察しているということでしょう。
キケロが生まれたのは紀元前106年。貴族より少し格下の騎士身分の出身でした。文学、法律、修辞学などの学問に秀で、紀元前81年に弁護士となり、持ち前の雄弁で頭角を現わします。
キケロは政治家としても活躍し、貴族出身ではない人物としては、異例ともいえるほどの出世を果たしました。
ところが同じ時期のローマには、カエサルをはじめ、グナエウス・ポンペイウスやマルクス・リキニウス・クラッススなど錚々たる政治家がいました。そのため、キケロはローマの元老院では重きをなしていたものの、紆余曲折を辿ることになります。
政争の結果、キケロが与した一派はカエサルに敗れ、キケロは60歳頃から引退生活のような暮らしを送ることになります。そうしたなかで、61歳のときに書かれたのが『老年について』でした。
ところがキケロは、紀元前43年12月に、63歳で亡くなります。カエサルの後継者として台頭したマルクス・アントニウスの放った刺客により、死に追い込まれてしまうのです。
そんな波乱万丈の生涯を送った雄弁家キケロが、自身が死に直面する数年前に「老年」の生き方について、どのように語ったのか。第2話以降の講義タイトルをお読みいただければご想像いただけることでしょう。
(2)老年が公の活動から引き離される理由
ギリシアの将軍が驚いたローマの元老院、老人の見識の高さ
(3)老年には体力がないのか
ソクラテスが竪琴!? 老年から新しいことを始める柔軟性
(4)老いは徐々にやってくる
盲目の老人アッピウスの気概…必要な老いへの備えと想像力
(5)老年には快楽がないのは本当か
快楽ほど有害なものはない!元老院から追放された男の教訓
(6)学びは老年に向いている
三日坊主はダメ!学びこそ老年の「心の快楽」のために大事
(7)農夫たちの快楽と賭博の嗜み
老年における賭博とは?100円からでも楽しめる競馬の魅力
(8)「権威」という褒美
アウグストゥスがお手本、老人にとっていかに権威が大事か
(9)死について老年はどう対処すべきか
キケロは覚悟がいい…終幕でジタバタしない「死」への構え
この講義では、キケロが考えたことに加えて、本村先生が現在、老年の生き方について考えておられることも縦横無尽に語られます。各話それぞれ具体的で、ヒントに富んだお話しばかり。
いずれも「雄弁家キケロ」の議論の流れをふまえてのものですから、どのような内容かは、ぜひ講義本編で味わっていただくべきものでしょう。
もちろん講義の中で、「キケロの名言」も数多く紹介しています。キケロが発する生き生きとした智慧の言葉を受け取ったかどうかで、自分の生き方も変わってくるのではないでしょうか。
幸福で充実した人生を築き上げるために、老若男女、すべての人が必見の講義です。ぜひご覧ください。
(※アドレス再掲)
◆本村凌二先生:キケロ『老年について』を読む(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5210&referer=push_mm_rcm2
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