編集長が語る!講義の見どころ
フランス革命、その理想と残虐の要因とは?/本村凌二先生(テンミニッツTVメルマガ)

2021/02/09

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上です。
フランス革命といえば、「自由、平等、博愛」の理念を確立した出来事として、歴史の授業などでは、どちらかといえば好意的に取り上げられることも多いかもしれません。「ベルサイユのばら」の名シーンが思い浮かぶ、という方もいらっしゃることでしょう。

しかし、一方で、急進派であるロベスピエールが権力を握っていた「恐怖政治」の時期を中心に数万人~数十万人が殺害されたともいわれますし、フランス革命からナポレオン戦争までを通して、200万人以上のフランス人が命を落としたともいわれます。当時のフランス人の人口は2700万人ほどでしたから、いかに大きな犠牲であったかがわかります。

なぜ、フランス革命はこのように多くの犠牲を生んでしまったのか。独裁と民主政の流れで見た場合に、フランス革命以前の絶対王政、フランス革命期のジャコバン独裁、その後のナポレオンの統治はどのように分析できるのか。本日は、その視点からフランス革命を分析いただいた本村凌二先生の講義を紹介いたします。

◆本村凌二:独裁の世界史~フランス革命編(全7話)
(1)絶対王政からブルジョアジーへ
フランス革命を考える上で鍵となるのはルイ14世と啓蒙思想
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3593&referer=push_mm_rcm1

本村先生は、まずフランス革命当時のフランス国民も、いきなり「王権を打倒せよ」と暴発したのでなく、「王権かくあるべし」という思いからスタートしたことをご紹介くださいます。そのうえで、なぜフランス革命が、かくも血塗られたものになったかについて、当時のフランス国王・ルイ16世と、幕末維新期の最後の将軍・徳川慶喜を比較します。

ルイ16世が「ヴァレンヌ逃亡事件」を起こしたことによって、革命はどんどんと先鋭化し、結局、恐怖政治を招いてしまうのですが、本村先生が着目されるのは、その事件を引き起こしてしまったルイ16世の「優柔不断さ」です。これは、まさに本村先生ならではの視点といえるでしょう。

さらに、恐怖政治を行ったロベスピエールは、実は古代ローマ時代にカエサルがやったことを真似したのではないか、と本村先生は分析されます。これもまさに本村先生ならではの着眼点です。

ロベスピエールは、カエサルを真似しながら、しかし政治的な結果としてはまったく異なる「恐怖政治」を行うことになりました。はたしてロベスピエールは、カエサルのどのような点に憧れ、そしてどのような点で誤ったのか。フランス革命当時の指導者と、古代ローマや古代ギリシアの優秀な指導者とは、何が違ったのか。それについては、ぜひ本講義をご覧ください。

さらにその後に出てきたナポレオンは、「国民国家」の概念を先取りし、徴兵制によって膨大な軍事力の動員を可能とし、ヨーロッパ大陸を席巻して、革命の理念を輸出していきます。ヨーロッパの国家のかたちを大きく塗り替えたわけですが、同時に、莫大な戦死者を生むこととなりました。

なぜ、絶対王政を否定し、国王の処刑まで行った革命のあとに、皇帝ナポレオンが登場することになったのか。皇帝となったナポレオンと、以前の絶対王政とは何が根本的に違うのか。はたして、ナポレオンをどう評価すべきなのか。それらについても、ぜひ本講義をご視聴いただければ幸いです。

歴史の流れを、ある種の「必然」のように語る議論もありますが、この本村先生の講義を受講すると、歴史とは、けっしてそのようなものではないことが、よく見えてきます。そのとき、そこに誰がいて、どのようなことをしたのか。その人物は、どのような性格だったのか。その微妙な積み重ねで、歴史はどこまでも大きく変わっていってしまう。その歴史の妙を、味わうことのできる講義です。ぜひご覧ください。

(※アドレス再掲)
◆本村凌二:独裁の世界史~フランス革命編(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3593&referer=push_mm_rcm2


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☆今週のひと言メッセージ
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「経済というのは、人間の全ての活動の縁の下の力持ちだ。主役にはならない。常に縁の下の力持ちだ」

https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3358&referer=push_mm_hitokoto

「hidden Value」をどのように考えるかが重要
吉川洋(立正大学学長)
小宮山宏(東京大学第28代総長/株式会社三菱総合研究所 理事長/テンミニッツTV座長)

吉川 ケインズが残した言葉の中に、「経済というのは、人間の全ての活動の縁の下の力持ちだ。主役にはならない。常に縁の下の力持ちだ」というものがあります。私は、この言葉は至言だと思います。

例えば、オリンピックはスポーツの祭典で、主役はスポーツです。教育であれば、学校や先生、生徒が主役です。あるいは医療であれば、病院、医師や看護師などが主役です。何を挙げても同じですが、全ての主役はお金と切り離すことはできません。常にお金もついてくる、すなわち経済もついてくるのです。

小宮山 だから、結局何をやるにしても、いいことはたくさんあるけれどもやはりお金が必要だということですね。

吉川 だから、「縁の下の力持ち」なのです。


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今週の人気講義
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渋沢栄一の曾孫が明かす「日本資本主義の父」の真実
渋沢雅英(渋沢栄一曾孫/公益財団法人渋沢栄一記念財団相談役)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3841&referer=push_mm_rank

なぜ経済学で軽視されてきた「地域研究」が最高の学問なのか
島田晴雄(東京都公立大学法人理事長/テンミニッツTV副座長)
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マルクスが唱えた「労働価値説」が持つ意味
橋爪大三郎(社会学者/東京工業大学名誉教授/大学院大学至善館教授)
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為末大(一般社団法人アスリートソサエティ代表理事/元陸上選手)
柳川範之(東京大学大学院経済学研究科・経済学部 教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3758&referer=push_mm_rank

量子力学は皮肉にもアインシュタインの「光量子仮説」が発端
岡朋治(慶應義塾大学理工学部物理学科教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3793&referer=push_mm_rank


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編集後記
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編集部の加藤です。今回のメルマガ、いかがでしたか。

さて今月2月のプレゼント本は小原雅博先生の新著『大学4年間の国際政治学が10時間でざっと学べる』(KADOKAWA)です。

この本、紹介文に「国家が国際政治で見せる行動原理がこの一冊でつかめる!」という見出しがついているように、国際政治学のエッセンスが凝縮された、とても濃密な内容です。それゆえにということもあると思いますが、実はこの本、当初の予定をこえ、なんども調整を重ねて、やっとできあがったという話を聞いております。
それを聞いたとき、国際政治についての本だけに、まるで事が運ぶまでなんども交渉を重ねる外交の世界のようではないかと感じました。
それだけに国際政治について学びたい方にはまさにおススメの一冊です。

ご興味があってご応募はまだという方は以下よりご応募ください。
https://10mtv.jp/