編集長が語る!講義の見どころ
老化の謎に迫る…テロメアから考える「アンチエイジング」/堀江重郎先生【テンミニッツ・アカデミー】
2026/09/21
いつもありがとうございます。テンミニッツ・アカデミー編集長の川上達史です。
本日は「敬老の日」。休日として制定されたのが昭和41年(1966年)ですから、敬老の日も「還暦」ということになります。
わが身を振り返ってみると、あっという間に時が経って……。そうお感じになる方も多いことでしょう。実際、100歳以上の人口が2026年に「10万人突破」となりました(もっとも2026年9月1日時点で、女性が9万4298人、男性が1万3379人と「男女格差」は顕著です)。
そんな「敬老の日」に、「老化」の不思議について考えてみるのはいかがでしょうか?
なぜ「老化」するか。私たちは「老化」は当たり前のことだと思っていますが、考えてみれば、なかなか不思議なことです。
さらにいえば、「アンチエイジング」は本当にできるのか。このことも、人間の身体の不思議に迫るアプローチの1つといえるかもしれません。
本日は、堀江重郎先生(順天堂大学医学部大学院医学研究科特任教授)の講座をご紹介いたします。堀江先生はアンチエイジングの第一人者でもいらっしゃいます。
「テロメア」が老化のカギになると堀江先生はおっしゃいますが、はたしてどのようなことでしょうか。
◆堀江重郎先生:テロメアから考える「アンチエイジング」(全2話)
(1)老化とテロメアの関係
テロメアの長さが「がんリスク」と「老化」のカギを握る
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4408&referer=push_mm_rcm1
はじめに堀江先生は、とても興味深い動物実験をご紹介くださいます。
2014年の学術論文で発表された研究ですが、ほぼ遺伝子が一緒の実験動物のネズミについて、歳を取ったものと、若いものの2匹を並べて、両者の皮膚をホチキスでつないでしまいます。すると、毛細血管がくっついて、高齢のネズミと若いネズミの血液が交通することになります。
その結果、どのようになるでしょうか?
堀江先生はこうおっしゃいます。
《面白いことに、若いネズミとくっつけたネズミ(高齢のネズミ)においては、神経が再生してきて、匂いを感じるようになります。また、筋肉が再び盛り上がってきます。そして、血管がより豊富になって、血液の流れが良くなってくるという結果が見られました》
なんと、老化現象が逆転したのです。なぜ、このようなことが起きたのか。
研究の結果、若いネズミの血清に「若返りをさせる力」があることがわかったといいます。
現時点では、血清のどの成分に若返りさせる力があるのかはわかっていないそうですが、しかし現在のところ、一番端的に見た目の若さと関係するのが、「テロメア」と呼ばれるものの長さであることがわかっています。
テロメアは、われわれの染色体の一番端っこに位置しており、細胞が分裂するときに染色体を保護する役目を担っていると考えられています。
このテロメアは、受精した瞬間の受精卵の時が一番長い状態で、そこから細胞がどんどん分裂していくと、消しゴムが少しずつ減るように短くなっていく。そして、あるところまでいくと、それ以上細胞は分裂しなくなる。その状態を「老化した細胞」と呼ぶのです。
テロメアの詳細については、本講座で堀江先生が図とともにご解説くださっているので、ぜひご覧いただければ幸いです。
たとえば男性と女性を比べた場合、男性の60歳のときのテロメアの長さが、女性では72歳に相当するそうです。つまり、女性のほうがテロメアが長い。これが男性より女性のほうが平均寿命が長い大きな原因だと考えられていると堀江先生はおっしゃいます。
このテロメアが短くさせるのは、まず加齢。さらに喫煙、肥満、睡眠時間、ストレス、食生活、紫外線、酸化ストレス、その他の有害物質などがあります。基本的にはストレスと生活習慣がテロメアを短くしていくのです。
ですから、女性でも、よりストレス度が高い環境にいる方のほうが、テロメアの長さが短いといわれます。
テロメアが短くなると、加齢に関係する疾患、例えば動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病、認知症、がんなどといった疾患の発症リスクが高くなることが知られています。また、筋力や運動能力なども、テロメアの長さと関連しています。
では、どうすればテロメアの長さをのばせるのか。ネズミの実験では、テロメアの長さを維持する酵素をたくさんつくる遺伝子を外から導入したネズミは老化を予防できていることが証明されているといいます。
人間の場合も、アメリカ型のステーキやポテト、動物性の脂の多いベーコンなどの食事ではなくて、いわゆる地中海式のオリーブ、野菜、魚を入れた食事に変えて、ストレスをマネジメントすることを継続した場合、テロメアを再生する酵素の量が増えることがわかっています。
つまり、体に良いものを食べることと、ストレスをマネジメントすることで、テロメアを長く保つことができるのです。
さらに男性の場合は、男性ホルモンであるテストステロンが高い人のほうが、テロメアが長い傾向にあることもわかっています。
では、ストレスコントロールをどのようにすれば良いか、また、がん患者の研究からわかったこととは何か――それらについては、ぜひ講座をご参照ください。
老化の不思議と、アンチエイジングの可能性が見えてくる講座です。ぜひご覧ください。
(※アドレス再掲)
◆堀江重郎先生:テロメアから考える「アンチエイジング」(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4408&referer=push_mm_rcm2
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