対話とは何か――その基本形は1対1の双方向な関係であり、特定のテーマや問題についてお互いの「考え」を深く交わしあう営みである。「対話」はとても重要なものであり、様々なシーンで求められるものでもありながら、案外、このことについて深く考えたことのある日本人は少ないかもしれない。「対話」の大前提とは、いかなることなのか。そして「対話」は、「会話」や「説教」や「ディベート」と、何が違うのか。例えば、良い対話においては、「議論がなめらかに進むこと」よりも、時には「沈黙を共有し、立ち止まって思考を深めること」が重要視されるという。本講義では、現代社会で漠然と使われている「対話」の本質について、哲学の視点から問い直す。第1話では、対話について会話・説教・ディベート・場回しなどとの違いから考えていく。(全8話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
「良き対話」とは?――哲学から考える
「良き対話」のヒントを哲学から考える…「対話」の大前提とは、そして「会話」「説教」「場回し」とは何が違うのか?
「良き対話」とは?――哲学から考える(1)対話とは何か――会話・説教との違い
納富信留(東京大学大学院人文社会系研究科教授)
2.良き対話のための「問い方」の技法とは?…ソクラテス流に「YES、NO」で答えさせ、お互いの考えを確認して進む
2026年11月3日配信予定
3.たとえば「1on1ミーティング」での聞き方とは?…正しい「聞き役」のあり方とズレの正体を明らかにする勇気
2026年11月9日配信予定
4.タイトル未定
2026年11月10日配信予定
4.タイトル未定
2026年11月10日配信予定
5.タイトル未定
2026年11月16日配信予定
6.タイトル未定
2026年11月17日配信予定
7.タイトル未定
2026年11月23日配信予定
8.タイトル未定
2026年11月24日配信予定
時間:14分09秒
収録日:2026年6月10日
追加日:2026年11月2日
収録日:2026年6月10日
追加日:2026年11月2日
≪全文≫
●会話と対話の違い――重要なのは話すこと自体か話の中身か
―― 皆さん、こんにちは。
納富 こんにちは。
―― 本日は納富信留先生に〈「良き対話」とは?――哲学から考える〉というテーマでお話をいただきたいと思っております。納富先生、どうぞよろしくお願いいたします。
納富 よろしくお願いします。
―― 対話ということで、ちょうど納富先生が、こちらの『対話の技法』(笠間書院)というご本を出版されておられます。こちらを読むと、まず最初にこの場でお話を固めておかなければいけないなと思うのは対話の範囲ですね。対話とは何で、何とは違うのか。例えば、かなり厳密に対話を区切っておられて、対話と会話の違いなども書いておられますが、そこはいかがですか。
納富 そもそも「対話」という言葉自体を今、社会の中では、しばらく前からなのですけれど、かなり頻繁に使っていて。大学でも企業でも社会でも国際情勢でも使っています。ですが、かなり漠然としているというか、正直中身がない。ただ「対話」という言葉を使っているということに、私自身はちょっと違和感があります。
「対話」とはどういうものかということをまず哲学の側からきちんと押さえて、「対話とはこのようなものである」ということを少し硬めにお示しした上で、さらにその応用を考えていく。そうしたほうが、たぶん「実りある対話」というものを実現できるのではないかと考え、この『対話の技法』という本、特に最初の部分は少し厳密に狭めに書きました。
今、言っていただけたように、「対話とはこれではない。これではない」というものがいっぱいある。通常われわれがなんとなく「対話」と言っているものは、実はちゃんと考えると「対話」という名前を最初はつけないほうがいいかなというもの(もあり、そこ)を少し区別したという背景です。
―― まず大前提としては、1対1ということですね。
納富 はい。これについて私の定義はかなり厳しい定義なのですけれど、対話というのは基本的には「対」「話」ということで、対(つい)ですよね。1人対1人で行うと(いうこと)。これが、例えば何人かいても、その都度、対話は可能なのですが、私はかなり1対1ということにこだわっています。
それは、私が何かについてまともに話そうと思う場合は、誰かに向けて話していて、その人に顔を向けて対面しながら、その人に向...
●会話と対話の違い――重要なのは話すこと自体か話の中身か
―― 皆さん、こんにちは。
納富 こんにちは。
―― 本日は納富信留先生に〈「良き対話」とは?――哲学から考える〉というテーマでお話をいただきたいと思っております。納富先生、どうぞよろしくお願いいたします。
納富 よろしくお願いします。
―― 対話ということで、ちょうど納富先生が、こちらの『対話の技法』(笠間書院)というご本を出版されておられます。こちらを読むと、まず最初にこの場でお話を固めておかなければいけないなと思うのは対話の範囲ですね。対話とは何で、何とは違うのか。例えば、かなり厳密に対話を区切っておられて、対話と会話の違いなども書いておられますが、そこはいかがですか。
納富 そもそも「対話」という言葉自体を今、社会の中では、しばらく前からなのですけれど、かなり頻繁に使っていて。大学でも企業でも社会でも国際情勢でも使っています。ですが、かなり漠然としているというか、正直中身がない。ただ「対話」という言葉を使っているということに、私自身はちょっと違和感があります。
「対話」とはどういうものかということをまず哲学の側からきちんと押さえて、「対話とはこのようなものである」ということを少し硬めにお示しした上で、さらにその応用を考えていく。そうしたほうが、たぶん「実りある対話」というものを実現できるのではないかと考え、この『対話の技法』という本、特に最初の部分は少し厳密に狭めに書きました。
今、言っていただけたように、「対話とはこれではない。これではない」というものがいっぱいある。通常われわれがなんとなく「対話」と言っているものは、実はちゃんと考えると「対話」という名前を最初はつけないほうがいいかなというもの(もあり、そこ)を少し区別したという背景です。
―― まず大前提としては、1対1ということですね。
納富 はい。これについて私の定義はかなり厳しい定義なのですけれど、対話というのは基本的には「対」「話」ということで、対(つい)ですよね。1人対1人で行うと(いうこと)。これが、例えば何人かいても、その都度、対話は可能なのですが、私はかなり1対1ということにこだわっています。
それは、私が何かについてまともに話そうと思う場合は、誰かに向けて話していて、その人に顔を向けて対面しながら、その人に向...
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