今後の技術革新と企業経営
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
仮想通貨が本当の「通貨」にならない理由
今後の技術革新と企業経営(6)仮想通貨とフィンテック
経営ビジネス
柳川範之(東京大学大学院経済学研究科・経済学部 教授)
東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授の柳川範之氏が、仮想通貨とフィンテックについて解説する。仮想通貨は、画期的な技術革新・経済現象だが、供給量をコントロールできないため、通貨にはなり得ない。フィンテックとして注目される中国のキャッシュレス化は、金融と他の産業の新たな連携を生み出すところにポイントがある。(2018年4月25日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「今後の技術革新と企業経営」より、全8話中第6話)
時間:10分18秒
収録日:2018年4月25日
追加日:2018年8月19日
≪全文≫

●技術革新が貨幣や決済に関する急速な動きを生んでいる


 ここからは、ブロックチェーン、フィンテック、ICO(Initial Coin Offering)などの話に移ります。今回は仮想通貨やICO、そしてフィンテックのお話をしまして、次回ブロックチェーンのお話をします。

 まず貨幣や決済に関してですが、急速な動きがあります。例えば、ビットコインの急激な価格上昇や、中国でキャッシュレス化が進んでいることが挙げられます。それから、ICOが急速に進展しましたが、今は急速にしぼみつつあります。

 ICOとは、仮想通貨を発行して資金を調達することです。一時期起こった現象ですが、ベンチャーなどがIPO(新規公開株の発行)をしなくても、ICOでコインを発行すると、何百億というお金が集まる、ということがありました。

 これは、実際にプロダクトは何もなく、まだアイデアのレベルにしかない人のもとに、何百億というお金が集まるという、不思議な現象でした。ですが、これに対してはいろいろな規制が入りつつあって、急速にしぼみつつあります。


●仮想通貨は通貨にはなり得ない


 では仮想通貨の話をします。仮想通貨は、単なる電子データだったものが、あれだけの価値を持つようになりました。これは、技術革新としてはすごいことです。さらには、経済現象としても、非常に画期的なことだったと思います。

 この変化は、おそらく元には戻らないでしょう。これからもずっと残り続けるだろうと思います。ただし、中央銀行の人たちが言っていますが、「仮想通貨」という言葉は、ややミスリーディングだということです。

 現在の仮想通貨、少なくともブロックチェーンの技術を使った仮想通貨は、実際には通貨にはなり得ません。これから発展していっても、通貨として使われるようにはなりません。すごく極端な状況下、例えば非常に政情不安な国で、自国通貨がものすごく不安定な場合、取引に使われることはあるかもしれません。あるいは、国際送金にすごくコストがかかる場合、コストが低いビットコインでの国際送金を行うことがあるかもしれません。

 ですが、それは特定の条件下で使われるというだけであって、本当の意味での通貨にはなりません。そこで、仮想通貨という呼び方ではなく、「仮想資産」あるいは「暗号資産」という呼び方をしようというのが、世界的なコンセンサスになっています。英語でいえば...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
ウォーレン・バフェットの成功哲学(1)「世界一の投資家」の実像
世界一の投資家ウォーレン・バフェット…賢人と呼ばれる理由
桑原晃弥
認知バイアス~その仕組みと可能性(1)認知バイアス入門
誰もが陥る「認知バイアス」…その例とメカニズム
鈴木宏昭
キャリア転換で人生を成功させる方法(1)2つの大きな潮流
なぜ40歳でキャリアについて一度考え直す必要があるのか
為末大
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
日本企業の弱点と人材不足の克服へ(1)膠着する日本経済の深層
日本経済の行き詰まりをもたらした2つの大きな理由とは
西山圭太
イノベーションの本質を考える(1)イノベーションの定義
イノベーションの定義はパフォーマンスの次元が変わること
楠木建

人気の講義ランキングTOP10
数学と音楽の不思議な関係(4)STEAM教育でつくる喜びを全ての人に
世界で最もクリエイティブな国は? STEAM教育が広がる理由
中島さち子
続・日本人の「所得の謎」徹底分析(2)政府債務と預金残高の背景
なぜ日本の所得水準は低いのに預金残高は大きいのか
養田功一郎
経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力
米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長
松尾睦
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
片山杜秀
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
未来を知るための宇宙開発の歴史(9)宇宙開発を継続するための国際月探査
「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味
川口淳一郎
第2の人生を明るくする労働市場改革(1)日本の労働市場が抱える問題
シニアの雇用、正規・非正規の格差…日本の労働市場の問題
宮本弘曉
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(8)満州事変と世界大恐慌
「100年戦争」と考えて戦争に突入した日本の現実
片山杜秀
弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化(1)弥生時代はいつ始まったのか
なぜ弥生時代の始まりが600年も改まった?定説改訂の背景
藤尾慎一郎
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子