今後の技術革新と企業経営
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ブロックチェーンを用いた新しいビジネスモデル
今後の技術革新と企業経営(7)ブロックチェーン技術
柳川範之(東京大学大学院経済学研究科・経済学部 教授)
ブロックチェーンは、記録を改ざんされず安いコストで残せる技術である。このブロックチェーン技術が、自動契約プログラムであるスマートコントラクトやIoTと結び付くことでビジネスモデルが変わると、東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授の柳川範之氏は言う。(2018年4月25日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「今後の技術革新と企業経営」より、全8話中第7話)
時間:14分17秒
収録日:2018年4月25日
追加日:2018年8月25日
≪全文≫

●ブロックチェーンは、改ざんされない記録を安く残せる技術


 最後には、ブロックチェーン技術の話をします。実は今、すごく注目されている技術です。

 以前、日本でもブロックチェーンに関するイベントが開かれました。ダボス会議(世界経済フォーラム、スイスのダボスで開催)も、2017年にはAIがメイントピックだったのですが、2018年にはAIが影を潜めて、ブロックチェーンがメイントピックになりました。

 ブロックチェーンは、ビットコインを支える基礎技術ではありますが、ご存じの通り、仮想通貨だけに使える技術ではありません。その技術は、さまざまなビジネスに使うことができます。

 ブロックチェーン技術のポイントは、改ざんされない記録をネット上に残すことができ、そして、その記録を誰もが確認することができる、という点にあります。テクニカルな話をすれば、いろいろな暗号技術などを使います。

 もちろん今でも、改ざんされない記録を残すことは可能です。例えば、全銀ネットでも改ざんはされません。ですが、従来、改ざんされない記録をどこかに残すためには通常、ものすごい設備投資が必要で、大きなセキュリティーコストがかかっていました。それに対して、ブロックチェーン技術は、非常に安いコストで、改ざんされない記録を残せます。そこにポイントがあるのです。ですから、この技術を生かすビジネスモデルがいろいろと出てくるはずです。

 ただし現状に関していえば、ブロックチェーンはまだ発展途上の技術です。低コストで極めて安全なものを作ることはできるのですが、そうするとスピードが落ちてしまいます。逆にスピードを速くしようとすれば、安全性が欠如することになります。


●ブロックチェーンを用いたビジネスモデルはすでに登場している


 このように、速くて安くて安全であるという、3拍子をそろえることはなかなか難しい。ここに今のところジレンマがあります。ですが、あまりスピードを要求されないような記録に関しては、安全で安いものを作ることができるので、とてもいいビジネスモデルだといわれています。

 私がよく例に出すのは、イギリスで実際に行われている、ダイアモンドの記録をブロックチェーン上で残しておくというビジネスです。ダイアモンドには、まがいものがいっぱいあります。そこで鑑定書などを付けるのですが、それでもまがいものが多いと...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
運と歴史~人は運で決まるか(1)ソクラテスが見舞われた「運」
歴史における「運」とは?ソクラテスの「運」から考える
山内昌之
東洋の叡智に学ぶ経営の真髄(1)経営とは何かをひと言で?
経営をひと言で?…松下幸之助曰く「2つじゃいけないか」
田口佳史
会社人生「50代の壁」(1)“9の坂”とまさかの坂
サラリーマン人生「50代の壁」を乗り越える生き方
江上剛
ハラスメント防止に向けた風土づくり(1)ハラスメントの概要
増え続けるハラスメント…その背景としての職場の特徴
青島未佳
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
ファーストリテイリングで経営者が育つ理由
楠木建
億万長者への道(1)お米屋さんから不動産業界へ
「背広を着てビジネスがしたい」との思いから宅建取得
高橋誠一

人気の講義ランキングTOP10
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
編集部ラジオ2025(30)西野精治先生に学ぶ「熟睡の習慣」
熟睡できる習慣や環境は?西野精治先生に学ぶ眠りの本質
テンミニッツ・アカデミー編集部
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
プロジェクトマネジメントの基本(4)スケジュール・マネジメント
スケジュール管理で重要な「クリティカル・パス法」とは
大塚有希子
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
定年後の人生を設計する(1)定年後の不安と「黄金の15年」
不安な定年後を人生の「黄金の15年」に変えるポイント
楠木新