ビッグデータの実用化~その課題と効果
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ビッグデータの経済的効果ーその独占力で勝利を掴む
ビッグデータの実用化~その課題と効果(1)動学的規模の経済性
柳川範之(東京大学大学院経済学研究科・経済学部 教授)
東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授の柳川範之氏が、ビッグデータにおける経済的な効果について解説する。人工知能の機械学習の発達に伴い、ビッグデータに注目が集まっている。ビッグデータは動学的規模の経済性を生じさせ、企業の間に学習効果の実現競争をもたらすだろう。いかにして大量のデータを集めるのかが重要だ。(全3話中第1話)
時間:11分31秒
収録日:2017年6月29日
追加日:2017年7月23日
≪全文≫

●データがたくさんあればあるほど、人工知能は賢くなっていく


 最近、ビッグデータが話題です。データをたくさん集めて、分析することに価値があるとされています。今日は、ビッグデータが経済学でどのように捉えられているのか、ビッグデータを実際にビジネスに応用していく際には、どのような点に注意が必要かについてお話しします。

 ビッグデータが注目されるようになったのは、人工知能の発達が非常に大きいでしょう。人工知能の学習は「機械学習」と呼ばれますが、急速な発展を遂げています。人工知能が機械学習をするためには、たくさんのデータが必要になります。データがたくさんあればあるほど、人工知能は賢くなっていきます。そこで、たくさんのデータを集めることが、より重要になってきたのです。また、経済を分析する上でも、データがたくさんあれば、よりきめ細かい分析が可能になります。こうした2点から、データを大量に集めることの優位性が増してきています。これらが一括して、「ビッグデータ」と呼ばれ、注目されているのです。

 将来的には、いわゆるIoT(Internet of Things、モノのインターネット)が発達すれば、ビッグデータの分野もさらに大きく発展を遂げるでしょう。IoTとは、いろいろなものにセンサーが付いており、そのセンサーがさまざまな情報を集め、中央のサーバーにそのデータを貯める、という仕組みです。これを使えば、今までには得られなかった、多様で大量のデータを獲得できる、大きなチャンスになります。こうして、今までは考えられなかったような、きめの細かいデータが集まるだろう、と考えられています。


●データをたくさん持っていれば、競争上有利になる


 ビッグデータを使った学習は、競争上のインパクトを持つことになるでしょう。たくさんのデータが学習の大きなエネルギーになるとすれば、よりたくさんのデータを所有する人や企業の方が、学習スピードが速くなります。

 企業の行動についていえば、例えば、より安く製品が作れるようになったり、より効率的に生産ができたり、品質を改善することができるようになるでしょう。データをたくさん持っている企業と、少ししか持っていない企業が競争すれば、前者の方が、より効率的に生産でき、競争に勝つことができるということです。したがって、データをたくさん持っている方が、競争上有利になるため、各企...

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