●大量の情報だけでは、意味のあるビッグデータにはならない
前回は、ビッグデータが大きな競争力をもたらす、と述べました。しかし、そもそもビッグデータとは何かを、厳密に考える必要があります。単純に発想すれば、とにかく集められるだけのデータを集めればいいのではないか、ということになります。実際、サーバーに集められるだけのデータを貯めておくということも、よくなされています。
しかし、たくさんの情報があるだけでは、意味のあるビッグデータにはなりません。集まった情報を意味のあるデータにして、さらに人工知能などの分析ツールを使って、意味のある分析ができてこそ、ビッグデータが価値のあるデータになるのです。
しかし、言うは易し行うは難し、です。集められた数多くの雑多な情報を、価値のあるデータに変えていくための、高い分析能力を獲得することは、非常に困難です。しかし、これがビッグデータ間の競争を大きく左右します。
●データサイエンティストが必要だ
重要なポイントを2つ述べます。1つ目は、データサイエンティストの存在です。情報を解析すること、具体的にいえば、プログラムを書いたり、分析ができる人材をそろえる必要があります。単に集められただけの情報は、価値のないごみの山です。ごみの山を価値のある宝の山に変えていくには、データサイエンティストが必要なのです。
そういうわけで、最近、世界中でデータサイエンティストに注目が集まり、データサイエンティストの獲得競争が始まっています。しかし日本では、データサイエンティストがかなり少なく、競争が起きる前の段階です。つまり、データサイエンティストを増やしていくことが先決なのです。
●幅広い情報と知見を備えた、分析能力が求められる
広くデータサイエンティストと呼ばれている人は、プログラムを書くことができるというイメージがあるでしょう。しかし、データサイエンティストとしては、実際には、もう少し幅広い人材が必要です。雑多な情報を意味のある情報に変えていくためには、分析が必要です。その分析のためには、単にプログラムが操れるだけでは、十分ではありません。何が意味のある情報かを見出す知見や、判断力が必要になってくるのです。もちろん、プログラムを書き、AIを操るということは重要です。しかし、どのようにプログラムやAIを操ればいいのか、出て...