ビッグデータ活用が社会や産業の構造を変える
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ビッグデータ活用が社会や産業の構造を変える
伊藤元重(東京大学名誉教授)
今や、ICTの進展は目覚ましく、ビジネスにおけるビッグデータ活用がさまざまな形で功を奏している。日本企業のビッグデータ、クラウドコンピューティングに対する関心はまだ非常に低いが、伊藤元重氏が複数の実例を紹介しつつ、日本企業の現状に警鐘を鳴らす。
時間:14分16秒
収録日:2014年10月27日
追加日:2014年12月26日
≪全文≫

●コンピュータサーバー上の膨大な情報量を物語る電力利用量


 最近、クラウドコンピューティングや、あるいはビッグデータという言葉が、日本の書店や雑誌にも盛んに出てきていて、世の中もこういう情報化に、やはりだんだん敏感になってきたと言われています。実際に今、ICT、情報通信技術、あるいは情報処理技術の展開には、すさまじいものがあると言われています。

 少し前に聞いて非常に印象的だった数字を一つご紹介したいと思います。今、いわゆるコンピュータのサーバーが大量に使われていて、情報処理が行われていますが、世界中のサーバーで利用されている電力の量を全部足し合わせると、日本国内で使われている電力総使用量よりも大きいと言われているのです。日本の国内では、企業でも家庭でも交通機関でも、いろいろな形で電力が使われていますが、その日本の国内で使われている全ての電力量よりも、世界中のサーバーだけで使われている電力利用量の方が大きいということは、いかにそのサーバーがたくさんの電力を利用しているか、ということを物語っているのです。

 もちろん、このサーバーの電力利用量を、できるだけ減らそうというような技術革新が行われてはいますが、それにしても、それだけ使われている電力に匹敵する膨大な情報が今、コンピュータサーバー上に乗っかっているということだと思うのです。


●扱う情報量の圧倒的増加を可能にしたクラウドコンピューティング


 よく知られているように、世界中に散らばっているサーバーを同時に並列処理することによって、非常に安価なコストで大量に情報処理ができる仕組みが、クラウドコンピューティングという仕組みです。事務所や家の中にいても、あるいは歩きながらでも、常にそういうクラウドコンピューティングの仕組みにアクセスすることによって、大量の情報処理が行われていると言われています。

 かつてはインターネットというと、インターネット上でのいろいろな映像や、さまざまな人間が今までインプットした情報が中心だったのですが、最近は「インターネット・オブ・シングス」という言葉で言われているように、全てのものにセンサーが付いているものですから、そのセンサーの情報がネット上に広がっていくことによって、これまで以上に扱う情報量が増えていくということだと思います。


●クラウドコンピューティングで、早く...


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