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企業はIoTやAIにどう対応すべきか?
シェアードエコノミーとプロダクト・アズ・ア・サービス
政治と経済
伊藤元重(東京大学名誉教授)
東京大学大学院経済学研究科教授・伊藤元重氏がいま気になっているのは「シェアードエコノミーとプロダクト・アズ・ア・サービス」だと言う。それはどういうものなのか。伊藤氏が、企業はIoTやAIにどう対応すべきかを語る。
時間:10分20秒
収録日:2015年12月2日
追加日:2015年12月24日
≪全文≫

●企業はIoTやAIにどう対応すべきか


 いまビジネスの世界が大きく動いており、実際の企業経営者の方もなかなか苦労も多いと思います。当たり前かもしれませんが、社会や経済が大きく変動するときは、ビジネスチャンスも多いのだということを改めて申し上げたいと思います。

 いま私も深く関わり、時間を使っている活動の一つに、経済産業省の「新産業構造部会」という審議会があります。ここでは、いま話題になっている「IoT(モノのインターネット)」「AI(人工知能)」「クラウドコンピューティング」「ビッグデータ」といった情報技術や利用の拡大が、産業経済のあり方にどういった影響を及ぼすのか、それによっておこる変化に対して日本企業や産業はどのように対応すべきなのかを議論しています。


●世界的金融機関や自動車業界の最大の脅威はグーグルやアップル


 先日、たまたま経験したのですが、そのことについてお話します。昼間、世界的な投資銀行のセミナーの講演に行き、終わった後で日本法人トップに近い方と雑談していたら、「ひょっとしたら10年もすると、グローバルの金融機関は全部グーグルにやられてしまうのではないだろうか」と発言されたのです。どういうことかというと、「フィンテック」と呼ばれるITをベースにした金融サービスによって、業界に大きな変化が起こってきているのです。J.P.モルガン、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーなどの世界的金融機関にとって最大の潜在的脅威は、グーグルに代表されるIT企業で、そこに置き換わっていってしまうのではと、その方はおっしゃっていたというわけです。

 その夕方、今度はある食事会に出席しました。私の隣に座った方は、日本を代表する自動車メーカーの元社長で、いまはもう少し上のポストに移られた方でしたが、その方が「自動車業界は、ひょっとしたら全部アップルにやられてしまうのではないか」とおっしゃったのです。「どういうことですか」と伺うと、アップルはスマートフォンをはじめとするモバイルデバイスのビジネスをしてきたわけですが、いま究極のモバイルデバイスは自動車だということで、自動車をターゲットに大きな研究開発を進めているのです。

 アップルだけがそうした動きを取っているのではないのでしょうが、電気自動車をインターネットや情報ネットワークに結び付けることで自動運転...

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