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IoTがフィンテックのビジネスチャンス拡大のカギとなる

フィンテックと金融革命(3)IoTと規制緩和

柳川範之
東京大学大学院経済学研究科・経済学部 教授
概要・テキスト
あらゆるモノがインターネットでつながるIoT(Internet of Things)の時代。やがて来る未来の社会で、日本の金融ビジネスは生き残れるのか? 東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授の柳川範之氏の「フィンテックと金融革命」第3話では、フィンテックとIoTの密接な関係、そして日本の金融システムの課題を取り上げる。(全5話中第3話)
≪全文≫

●IoTとフィンテックの連動が重要なカギを握る


 私は実はフィンテックとこれからブームになってくるであろうIoTとは、非常に大きな関係性があるだろうと思っています。IoTは、今までに付いていなかったようないろいろなものにセンサーが付いて、さまざまな情報が得られるようになり、その情報を使って新しいビジネスチャンスが出てくるという動きです。今はまだあまり本格化していないので、多くの人が実感できない部分は多いのですが、かなりビジネス全体を大きく変えるだろうといわれている技術革新です。

 例えば、車それぞれにセンサーが付くようになると、車がどのように運転されているのか、どのように急ブレーキがかけられているのか、どのようにカーブを曲がっているのかという情報も入ってくるようになります。それは車の技術革新に役立つだけでなく、交通整理の情報にも使えますし、もしかするとその車の運転の仕方が情報として入ってくることによって、自動車保険の在り方も変えるかもしれません。ですから、保険業も、IoTが出てくることで、かなり変わるといわれています。

 それから、なかなかイメージしにくいのですが、IoTのセンサーが入った洋服ということである種の情報伝達機能を持つ繊維が開発されていると聞いています。そういう洋服を着ていると、例えば体温の変化や、場合によると心拍数の変化、汗の量などをメディカルセンターに伝えることができます。そうすると、リアルタイムでその人がどんな健康状態にあるかが分かるのです。これは医療の現場を大きく変えるだろうといわれていますし、それに関連した保険も大きく変わってくるかもしれないということです。

 つまり、他産業で得られる情報の質と量が、IoTが入ってくることで今までとかなり大きく変わってくる可能性があるのです。どのように変わってくるかは、IoTの進展次第なので、まだ明確な将来像は見えていないのですが、今、自動車や洋服の例を出したように、従来と大きく違った情報の出方をします。その情報をうまく使うことで、保険や金融、あるいは貸し出しなどが、相当変わってくることになるだろうと考えられます。これがフィンテックのビジネスチャンスを大きく広げるはずですし、IoTをどううまく使うかがフィンテックビジネスの大きなポイントになってくるのだろうと思っています。


●ベンチャーの追い風となる金融制度づくり...

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