フィンテックと金融革命
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ブロックチェーン技術と仮想通貨で貨幣の在り方が変わる!?
フィンテックと金融革命(5)貨幣の在り方と日本の将来
柳川範之(東京大学大学院経済学研究科・経済学部 教授)
「中長期的には、フィンテック技術が貨幣の在り方、ひいては政府や司法システムの在り方を変えるかもしれません」と、東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授の柳川範之氏は言う。将来、技術はどのように貨幣を、金融システムを、そして国や社会を進化させていくのか。柳川氏が予測する。(全5話中第5話)
時間:16分32秒
収録日:2016年10月17日
追加日:2017年2月20日
≪全文≫

●技術が国や政府の在り方を大きく変えていく


 では、中長期的にはどのような可能性があるかというと、一つは先ほど申し上げたように、貨幣の在り方が大きく変わるかもしれないということです。それから、政府の在り方、規制の在り方が変わってくるかもしれないということです。このあたりは未来予想ですから人によってずいぶん考え方が違いますし、不確実性が高いことも事実です。なかなか明確なことを言いにくいのが実情ではありますが、私なりに考えている点をいくつかお話しさせていただこうと思います。

 長期的に構造を大きく変えるエンジンになるのは、やはりブロックチェーン技術でしょう。前回はあまり注目しませんでしたが、ブロックチェーン技術の重要なポイントは、情報の正確性や健全性を技術によって実現させようという点にあります。現在、契約の履行を実現させるのは、政府の国家権力や司法システムです。間違ったことが書かれていないかといったことは、最終的には司法システムで安全性、情報の正しさを担保するのが基本的な前提です。

 ところが、ブロックチェーン技術は安全性や情報の正しさを技術そのもので可能にできるかもしれないという扉を開きました。ビットコインはその情報を暗号技術によって分散的に処理することで、技術と参加者がその情報の正しさを証明・確保していく仕組みになっています。ここには中央集権的な政府や司法システムが必要ありません。

 そうなってくると、これまでの法律や制度の考え方が変わってきます。この話を進めていくと、政府はどこまで必要なのか、契約が履行されているかどうかをチェックする司法システムや法律がどこまで必要なのか、という議論が出てくるのです。実際、全てをブロックチェーン技術で代替できるのではないか、社会システムそのものを技術に乗せてしまえるのではないかといったことを考えている人が増えてきています。このようにして技術が国や政府の在り方、世の中を大きく変えていくだろうといわれているのです。


●中央銀行はもしかすると要らなくなるのではないか


 ただし、現状である程度分かっているのは、今申し上げたように、ブロックチェーン上で政府や司法、法律を代替できる可能性はまったくゼロではないけれど、当初考えられていたよりは難しいということです。つまり、ブロックチェーン上で全てがうまく回せるわけではない...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
東洋の叡智に学ぶ経営の真髄(1)経営とは何かをひと言で?
経営をひと言で?…松下幸之助曰く「2つじゃいけないか」
田口佳史
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
会社人生「50代の壁」(1)“9の坂”とまさかの坂
サラリーマン人生「50代の壁」を乗り越える生き方
江上剛
キャリア転換で人生を成功させる方法(1)2つの大きな潮流
なぜ40歳でキャリアについて一度考え直す必要があるのか
為末大
マザーテレサとの出会い
人生を変えたマザーテレサの言葉…あの人たちはキリストだ
上甲晃
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(1)「法令遵守」でリスクは管理できない
「コンプライアンス=法令遵守」ではない…実例が示す本質
國廣正

人気の講義ランキングTOP10
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
平和の追求~哲学者たちの構想(5)カント『永遠平和のために』
カント『永遠平和のために』…国連やEUの起源とされる理由
川出良枝
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾
津崎良典
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(5)『秘蔵宝鑰』が示す非二元論的世界
雄大で雄渾な生命の全体像…その中で点滅する個々の生命
鎌田東二
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子