シリコンバレー物語~IT巨人の実像と今後
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
スタンフォード大学を中心に構築した世界最強エコシステム
シリコンバレー物語~IT巨人の実像と今後(7)政府と軍の支援とスタンフォード大学
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
1980年代の日本潰しにはさらなる遠因がある。1957年の「スプートニク・ショック」だ。宇宙は軍事に、ひいては産業に直結している。他国に先を越されることはアメリカにとって安全保障上の問題なのである。シリコンバレーが世界を征服した仕組みも、アメリカの挙国一致体制にあるといえそうだ。(全7話中第7話)
時間:16分45秒
収録日:2021年7月8日
追加日:2021年12月26日
≪全文≫

●日本潰しの遠因は「スプートニク・ショック」


 もちろん日本企業研究だけではなく、アメリカの背後には強力な政府と軍があります。国家と軍の強力な戦略的支援がシリコンバレーにもありました。このもとはというと、実は「スプートニク・ショック」にありました。

 スプートニクは、1957年10月にソ連が宇宙に打ち上げた衛星の名前です。これだけの宇宙技術がある以上、核兵器においてもソ連がアメリカを追い越したことが示唆されたわけです。人工衛星を核弾頭に付け替えれば核ミサイルとなり、大陸間弾道弾に使えるのです。

 アメリカにとってはすさまじい衝撃でした。ケネディ大統領はほどなくこれに対抗して、「数年後に有人の月面着陸を実現する」と言いました。これができればスプートニクを追い越し、核戦争の主導権を握れるということです。これは、とうとう10年後の1970年に実現しました。

 私はたまたま当時フルブライト留学生のオリエンテーションでテキサス大学にいました。テキサスは本当にアメリカらしいところで、宇宙センターがあります。フルブライトのときにそこへ見学に行きましたが、そこには月面着陸から帰ってきた宇宙船が半分焦げたままで置いてありました。これはアメリカの誇りだったことでしょう。

 こういう努力の中、アメリカは国家を挙げて軍事、科学、技術の総合戦略体制を構築していきます。



●国防・軍事・民生を統合するDARPAのパワー


 「アメリカ国家安全保障戦略体制(National Security Strategy)」といわれるものですが、この中心機関が、今世界から注目を集め、恐れられている「ダーパ(DARPA)」という組織です。DARPAは「Defense Advanced Research Projects Agency」というもので、日本語では「国防総省高級研究計画局」と訳されています。国防・軍事・情報を核として、ペンタゴンや国家航空宇宙局、国土安全保障省、エネルギー省、「National Science Foundation(NSF。アメリカ国立科学財団)」、「National Institute of Health(NIH。アメリカ国立衛生研究所)」なども含む総合体制となっています。ちなみにNSFはリサーチ基金、NIHは現在のコロナのようなときに最大限活動するところです。

 要するに軍事から民生まで、最新の技術は全部総合するのが、アメリカ流のシステム...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
ファーストリテイリングで経営者が育つ理由
楠木建
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(1)「法令遵守」でリスクは管理できない
「コンプライアンス=法令遵守」ではない…実例が示す本質
國廣正
東洋の叡智に学ぶ経営の真髄(1)経営とは何かをひと言で?
経営をひと言で?…松下幸之助曰く「2つじゃいけないか」
田口佳史
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
キャリア転換で人生を成功させる方法(1)2つの大きな潮流
なぜ40歳でキャリアについて一度考え直す必要があるのか
為末大
バブル世代の現実とこれからの生き方
バブル世代は「バブル崩壊世代」、苦労の先に見えるものがある
江上剛

人気の講義ランキングTOP10
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(3)医療の大転換と日本の可能性
近代医学はもはや賞味期限…日本が担うべき新しい医療へ
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
今井むつみ
編集部ラジオ2025(28)内側から見た日米社会の実状とは
島田晴雄先生の体験談から浮かびあがるアメリカと日本
テンミニッツ・アカデミー編集部
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
デカルトの感情論に学ぶ(1)愛に現れる身体のメカニズム
デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム
津崎良典
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫