IoTとは何か~モノのインターネットの本質
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
IoT(モノのインターネット)の本質とは何か?
第2話へ進む
坂村教授が開発したTRON―知られざる世界標準
IoTとは何か~モノのインターネットの本質(1)TRONは究極の「縁の下の力持ち」
坂村健(YRPユビキタス・ネットワーキング研究所 所長/東京大学名誉教授)
国産組込みOS「TRON」開発の第一人者であるYRPユビキタス・ネットワーキング研究所所長で東洋大学情報連携学部学部長の坂村健氏が、IoT(モノのインターネット)時代のあるべき、組込みコンピューターの姿を展望する。坂村氏はTRON開発の功績により、ビル・ゲイツと並んで国連から表彰された。実はTRONは、世界中の機械制御に用いられる、知られざる「縁の下の力持ち」なのだ。(全9話中第1話)
時間:10分06秒
収録日:2016年12月2日
追加日:2017年4月2日
≪全文≫

●TRONとは家電や自動車に組み込まれるOS


 最初に、私の簡単な自己紹介と、IoTというのはどういうものなのかを説明したいと思います。私は1984年から、TRONという組込みシステムと言われるコンピューターの研究を、ずっと続けてきました。TRONとは、The Real‐time Operating system Nucleusの頭文字を取ったものです。

 組込みシステムとは、いろいろな機械の中にコンピューターを入れてコントロールしたり、データを取ったりするためのもので、特別なコンピューターのシステムです。現在では、あらゆる機械、例えばテレビや冷蔵庫、トイレや空調機もそうなのですが、そういうものの中にコンピューターが入っており、それがいろいろな機械のコントロールをして制御をしているわけですが、そういう機械の制御をするようなコンピューターシステムの研究を続けてきました。

 よく勘違いをしている人がいますが、パソコンやスマートフォンの中に入っているコンピューターと、その機械そのものを制御するためのコンピューターは、メカニズムが少し違います。いろいろな産業用途に使うためには、より応答速度が速く、リアルタイム性という側面に強いシステムにしなければなりません。また最近の機械は、ウエアラブルといって、持ち運びをします。そうすると、低消費電力のものをつくらなければいけません。例えば、家庭の中のように十分な電源が取れる場所以外でも使えるようにするためには、電力をあまり食わないで動くような形態のシステムになっていなければいけません。そういう意味で、TRONはそういうものに注目し、機械の中に組込み、しかもリアルタイム性に非常に強いシステムの研究をしてきました。


●知られざるグローバルスタンダード


 実は今、TRONのコンピューターは、もう世界的にいろいろなところで使われています。例えば、自動車のエンジン制御、それから電子楽器やプリンター、デジタルカメラの中などかなりたくさんのもので、TRONは使われています。また携帯電話についても勘違いをしている人がいますが、携帯にはiOSとAndroidしかないわけではありません。実は最近の携帯、あるいはスマホと言われているものの中には、3つぐらいのコンピューターが入っています。

 電子メールを打ったりウェブを見たりするのは、かつてはパソコンで昔からやっていた機能です。そういう作業はiOSやAndroidでやりますが...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
レアメタルの光と影(1)イントロ
イノベーションがレアメタルをコモンメタルにする
岡部徹
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
社会はAIでいかに読み解けるのか(1)経済学理論の役割
AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
柳川範之
五島列島沖合の海没処分潜水艦群調査(1)目的と潜水艦史
海底に突き刺さる旧日本海軍の潜水艦「伊58」を特定!
浦環

人気の講義ランキングTOP10
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(3)秀吉出世譚の背景
武闘派・秀吉として出世…織田家中で一番の武略者の道
黒田基樹
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
編集部ラジオ2025(32)哲学者たちが考えた平和追求
反EU、反国連の時代に再考!「哲学者たちの平和追求」
テンミニッツ・アカデミー編集部
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
平和の追求~哲学者たちの構想(6)EU批判とアメリカの現状
理想を具現化した国連やEUへの批判がなぜ高まっているのか
川出良枝
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ