IoTとは何か~モノのインターネットの本質
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IoT時代のビジネスモデルはモノでなくサービスを売るべき
IoTとは何か~モノのインターネットの本質(5)端末よりクラウドサービスを売る時代
坂村健(YRPユビキタス・ネットワーキング研究所 所長/東京大学名誉教授)
IoT時代に即した企業戦略は、端末の開発ではなくクラウドサービスの提供にある。YRPユビキタス・ネットワーキング研究所所長で東洋大学情報連携学部学部長の坂村健氏はこう喝破する。端末は常に低廉化が求められ、模倣もされやすいため、その開発だけでは世界と競争できない。IoT機器から集まった情報をサービスに変えるクラウドこそが、事業の柱になる時代が来る。(全9話中第5話)
時間:8分33秒
収録日:2016年12月2日
追加日:2017年4月10日
≪全文≫

●もはや端末開発だけでは生き残れない


 TRONのIoT‐Aggregatorに関する話をしてきましたが、これをもう少し詳しく見ていきましょう。この図に出ているのは従来型のものです。例えば、家庭の中にある電気製品をつなげる場合です。昔ですと、ハウスLANといって機械同士を直接つないで、ハウスサーバーと呼ばれる、家の中に置いてあるサーバーを経由して、ネットにつなげる構造になっていました。

 しかし私が考えるTRON IoT‐Aggregatorでは、もう家の中にある機械を相互に接続するようなことはしません。機械それぞれから、直接インターネットにつなげてしまいます。接続するのは、インターネット上のIoT‐Aggregatorの中で、そこでいろいろな情報を交換しようというモデルになっています。

 なぜ、こういうモデルになっているのか。私は、組込みのエッジノードと言われている分野を研究してきました。エッジノードとは、例えばテレビそのものとか、エアコンそのものというように、末端にある機械のことです。そういう末端のモノの中に入れるコンピューターの研究を、私はずっとやっていました。

 しかし、モノの中に入れるコンピューターの研究をやっている人が非常に気の毒だと思うのですが、そうしたモノではどんどんとコストの削減を求められることです。情報処理に使われているコンピューターも、確かに安くはなっていますが、組込み機器のような民生機械とは違います。値段の下がり方で言えば、組込みシステムの方が、値段がどんどん下がっていくのではないかと思います。

 しかも、組込み機器単体だけで売っていると、この中身が分かってきてしまいます。そうすると、最初は日本が優位を保っていても、どうつくるかが徐々に分かってしまうため、いろいろな国で同じものがつくれるようになります。そうすると最後は、人件費が安いところが勝つという話になっていきます。日本の電器産業が現在、少し調子が悪くなっているのは、エッジの端末部分だけをつくっていると、世界的に競争していくのが難しくなっているからです。


●クラウドサービスを提供するビジネスモデルが必要だ


 しかも、IoTでおいしい部分は、例えばそういう機械から集まってくるデータを分析する側であり、しかもそれは全部クラウドです。おいしいのはIT側だということになってしまいます。だから、機械を安くつくる人たちではなく、そうし...

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