●もはや端末開発だけでは生き残れない
TRONのIoT‐Aggregatorに関する話をしてきましたが、これをもう少し詳しく見ていきましょう。この図に出ているのは従来型のものです。例えば、家庭の中にある電気製品をつなげる場合です。昔ですと、ハウスLANといって機械同士を直接つないで、ハウスサーバーと呼ばれる、家の中に置いてあるサーバーを経由して、ネットにつなげる構造になっていました。
しかし私が考えるTRON IoT‐Aggregatorでは、もう家の中にある機械を相互に接続するようなことはしません。機械それぞれから、直接インターネットにつなげてしまいます。接続するのは、インターネット上のIoT‐Aggregatorの中で、そこでいろいろな情報を交換しようというモデルになっています。
なぜ、こういうモデルになっているのか。私は、組込みのエッジノードと言われている分野を研究してきました。エッジノードとは、例えばテレビそのものとか、エアコンそのものというように、末端にある機械のことです。そういう末端のモノの中に入れるコンピューターの研究を、私はずっとやっていました。
しかし、モノの中に入れるコンピューターの研究をやっている人が非常に気の毒だと思うのですが、そうしたモノではどんどんとコストの削減を求められることです。情報処理に使われているコンピューターも、確かに安くはなっていますが、組込み機器のような民生機械とは違います。値段の下がり方で言えば、組込みシステムの方が、値段がどんどん下がっていくのではないかと思います。
しかも、組込み機器単体だけで売っていると、この中身が分かってきてしまいます。そうすると、最初は日本が優位を保っていても、どうつくるかが徐々に分かってしまうため、いろいろな国で同じものがつくれるようになります。そうすると最後は、人件費が安いところが勝つという話になっていきます。日本の電器産業が現在、少し調子が悪くなっているのは、エッジの端末部分だけをつくっていると、世界的に競争していくのが難しくなっているからです。
●クラウドサービスを提供するビジネスモデルが必要だ
しかも、IoTでおいしい部分は、例えばそういう機械から集まってくるデータを分析する側であり、しかもそれは全部クラウドです。おいしいのはIT側だということになってしまいます。だから、機械を安くつくる人たちではなく、そうし...