世界を変えた「フラッシュメモリ」
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
バカな発想に執着し実践する人がイノベーションを起こす
世界を変えた「フラッシュメモリ」(5)「硬骨の人」の真意
経営ビジネス
佐々木健一(NHKエデュケーショナル シニアプロデューサー(TVディレクター/ノンフィクション作家))
2004年、元東芝社員・舛岡富士雄氏が古巣・東芝を訴えたというニュースが飛び込んできた。フラッシュメモリの発明対価として約10億円を請求するという内容。しかし、舛岡氏の真意は、金銭より日本の技術者やものづくりを大切にしてほしいという願いだった。(全5話中第5話)
時間:17分24秒
収録日:2018年10月19日
追加日:2019年1月15日
≪全文≫

●転機となった「サムスンとの技術提携」


 『世界を変えた「フラッシュメモリ」』の最終回、第5回目をお話ししていきたいと思います。スライドには舛岡富士雄さんの写真が映っていますが、「硬骨の人」と書きました。少し意味深なテーマです。

 ようやく事業化したNAND型フラッシュメモリですが、しばらくは赤字が続いていました。そのフラッシュメモリが、東芝の窮地を救っていくことになります。

 1992年に、NAND型フラッシュメモリの量産化が開始します。そして、1994年に韓国のサムスン電子(サムスン)と技術提携をします。サムスンはご存じのように、今やNAND型フラッシュメモリで世界一のシェアを誇るメーカーです。サムスンとの提携について、「なぜ、技術供与をした?」とか「どうしてこんなバカなことをしたのだ」といった論調で伝えられることが多いですが、実際は事情が異なります。

 東芝が独占的にフラッシュメモリ事業を続けても、お客さん側からすれば、セカンドソースがない状態なので、例えば地震などの災害や何らかのトラブルで製造が追いつかず、万が一フラッシュメモリが手に入らない状況が発生したら非常に困ります。ですから、単一のメーカーがフラッシュメモリを作っていても、その業界全体の市場は拡大しないのです。

 インテルはNAND型フラッシュメモリに目を付けなかったのに対し、サムスンは非常に早い時期から、このNAND型がこれからの半導体業界をおそらく背負っていくと見越していました。そこで、東芝とは別に、極秘裏に独自でNAND型の開発を進めていたのです。

 そして、サムスンは東芝に「NAND型フラッシュメモリの仕様を同じものをしませんか」と規格の統一を持ち掛けてきたのです。それは、東芝が技術を供与するというものではなく、あくまで「統一規格にして共に市場を活性化させましょう」という提案だったのです。

 これは、重要なトピックです。東芝のNAND型フラッシュメモリの開発メンバーに聞いても皆、サムスンとの技術提携について「すごく大きなことで、ありがたかった」と述べています。なぜか間違って伝えられていることが多いのですが、先見の明があったサムスンによって、東芝が生んだフラッシュメモリ市場は活気づき、上昇気流に乗っていくことができたのです。

 この技術提携と同じ1994年に、舛岡さんは...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
ウォーレン・バフェットの成功哲学(1)「世界一の投資家」の実像
世界一の投資家ウォーレン・バフェット…賢人と呼ばれる理由
桑原晃弥
重職心得箇条~管理職は何をなすべきか(1)時代に請われ、時代に応えた佐藤一斎
リーダーの心得…幕末の偉人たちを育てた佐藤一斎に学べ!
田口佳史
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓
ストーリーとしての競争戦略(1)当たり前の重要さ
柳井正氏の年度方針「儲ける」は商売の本筋
楠木建
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
ファーストリテイリングで経営者が育つ理由
楠木建

人気の講義ランキングTOP10
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(2)日本人が知らない世界エンタメ市場
実は「コンテンツ世界収益ベストテン」に日本勢が5つも!
水野道訓
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
編集部ラジオ2025(24)「理解する」とはどういうこと?
学力喪失と「人間の理解」の謎…今井むつみ先生に聞く
テンミニッツ・アカデミー編集部
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
未来を知るための宇宙開発の歴史(13)発展する宇宙空間利用と進化する技術
最近の話題は宇宙生命学…生命の起源に迫る可能性
川口淳一郎
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤
ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯
ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生
江崎昌子
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹