世界を変えた「フラッシュメモリ」
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
成功の裏にあった常識破りの開発方針と自由な意見交換
世界を変えた「フラッシュメモリ」(3)誕生秘話・開発編
佐々木健一(NHKエデュケーショナル シニアプロデューサー(TVディレクター/ノンフィクション作家))
NAND型フラッシュメモリの開発は、個性的なメンバーで構成される開発チームによって進められた。その内実を見ると、成功の裏には、常識破りともいえる開発方針の推進と自由で活発な意見交換、そしてそれを巧みにマネジメントするリーダーの姿があった。(全5話中第3話)
時間:16分19秒
収録日:2018年10月19日
追加日:2019年1月8日
≪全文≫

●NAND型フラッシュメモリの開発を部下に“丸投げ”?


 今回は、「フラッシュメモリ誕生秘話」の「開発編」をお話したいと思います。

 1987年4月に、事業部にいた舛岡富士雄さんは念願が叶って総合研究所に舞い戻り、課長に就任しました。異動して早々、舛岡さんは新しいフラッシュメモリとして、前回お話しした「直列」のNAND型フラッシュメモリの開発に取りかかることを部下に命じました。

 まず、素直に「面白そうだ」と感じていた部下の百冨正樹さんが、NAND型(直列)フラッシュメモリの簡単な実験を行いました。その結果、問題はあったものの、一応は動作しました。舛岡さんはそれを見て「よし、動いたな。ここからどうやっていくかは、お前らが考えろ」と言ったそうです。具体的な開発はすべて部下に“丸投げ”したのです。


●国際学会では評価されず、部下もNAND開発に反発


 ひとまず動作はしたので、同じ年の1987年に国際学会の「IEDM」で発表しました。この発表について、NOR型のフラッシュメモリで大成功したインテルのステファン・ライさんは、「当時、NAND型フラッシュメモリはほとんどの人がうまくいくとは思っていなかった。製品化する価値があるとも思っていなかった」と証言しました。最初のフラッシュメモリである並列タイプの時はいち早く開発に着手したインテルですが、NAND型については「これは無理」という判断だったのです。

 また、当時の部下たちも反発していました。NAND開発チームのリーダーに命じられた白田理一郎さんは、「NAND型(直列)構造は非常に難しいため、不可能だ」と思ったそうで、当初は「やりたくない」という態度を露わにしていたそうです。

 舛岡さんと白田さんの間で当時、「プランター事件」というのが起きたそうです。オフィスの至る所に緑のプランターが置かれていたのですが、白田さんは舛岡さんと顔を合わせたくないので、毎日、オフィスのプランターを集めて舛岡さんとの間に置いていたそうです。後でそれを片付けても、また翌朝にはプランターを両者の間に置き直すということを繰り返したそうです。「当時の舛岡さんと白田さんは犬猿の仲だった」と証言する方もいます。


●開発チームリーダー・白田氏も個性的な人...


スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
会社人生「50代の壁」(1)“9の坂”とまさかの坂
サラリーマン人生「50代の壁」を乗り越える生き方
江上剛
認知バイアス~その仕組みと可能性(1)認知バイアス入門
誰もが陥る「認知バイアス」…その例とメカニズム
鈴木宏昭
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(1)「法令遵守」でリスクは管理できない
「コンプライアンス=法令遵守」ではない…実例が示す本質
國廣正
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
ハラスメント防止に向けた風土づくり(1)ハラスメントの概要
増え続けるハラスメント…その背景としての職場の特徴
青島未佳

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治