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なぜ「ジョブズと仕事をすると限界を突破できる」のか

スティーブ・ジョブズの成功哲学(7)才能とお金をどう生かすか

桑原晃弥
経済・経営ジャーナリスト
情報・テキスト
開発者としてだけではなく、経営者としても卓越した才能を持っていたスティーブ・ジョブズは、アップルに復帰後、当時どん底だったアップルを劇的に復活させ、世界を代表する企業に押し上げた。相手の才能を引き出す考え抜かれた話術や、お金に対する冷静な見方など、その秘密に迫る。(全9話中第7話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11:53
収録日:2022/03/15
追加日:2022/06/04
≪全文≫

●相手をその気にさせるジョブズの巧みな話術


―― 続いて、「ジョブズに学ぶ才能の引き出し方」です。1番目が、略歴についての回(第2話)などで出てきたウォズニアックを仲間に引き入れる時の言葉です。「お金は損するかもしれないけど、自分の会社が持てるよ。自分の会社が持てる一生に一度のチャンスだ」ということです。

桑原 この時、スティーブ・ウォズニアックはヒューレット・パッカードで働いていました。別に特に不満を持っていなくて、趣味でコンピュータをつくれば良いという人だったのですが、ジョブズからこの言葉を言われた時に、身体が震えた、圧倒的に感動したと言っています。友だちと自分の大好きなことができて、会社を持てるというなら、自分もやるしかないと思ったと言っています。ジョブズの場合は、「お金は損するかもしれないけど」というのがやはりミソだと思います。

―― ここはミソですね。

桑原 そうですね。こうやれば大金持ちになれるといった誘い方はあると思うのですが、「お金は損するかもしれないけど」という言い方ができるのが、やはりウォズニアックをよく知ったジョブズの殺し文句だと思います。

―― ここに違うセリフを入れると、全く雰囲気が変わる言葉だと思いますね。

桑原 そうですね。

―― 2番目は、「君たちは優秀だ。優秀な人間がこんなお粗末な製品に時間をムダ使いしちゃいけない」ということです。

桑原 ジョブズがアップルに復帰した時に、選択と集中で、ずいぶんいろいろな部門を廃止しています。これは、その時にそこで働いている人たちに言った言葉です。「君たちが能なしだから辞めてしまえ」ということだったら、誰ももうジョブズの言うことを聞きません。「優秀な人間が、こんな製品に時間を無駄遣いするな」と言われたら、それは喜びます。このへんはジョブズの天才たる所以だと思います。

―― そうですね。

桑原 復帰した時に、アップルを去った人もいますが、きちんと残った人たちもたくさんいました。彼らがそのパワーを集結することによってアップルは復活できたということです。


●ジョン・スカリーを口説いた時の名台詞


―― 3番目が、「人生の残りの日々を砂糖水を売って過ごすんですか。世界を変えるチャンスに賭けないんですか」ということです。

桑原 これはもう後に自分を追い出すジョン・スカリーを口説いた時の文句です。当時、ペプシのトップという絶対的な地位にいたジョン・スカリーですが、彼を口説いても、なかなか「うん」と言いません。自分は相談役的なものでいいなど、非常に消極的でした。そこに、このとどめの一撃です。もちろん条件もとても良かったのですが、特にアメリカ人が好きなのかもしれませんが、スカリーが言うには、世界を変える言葉には、誰もが感動しますし、実際に皆この言葉にはグッと来たと言っています。

―― 実際に、それで変えてしまったわけですからね。

桑原 そうですね。

―― 続いて4番目が、「あなたと僕は未来を創るんだ」ということです。

桑原 これは1年後にジョン・スカリーに対して言った言葉です。スティーブ・ウォズニアックとは、今までアップルをつくってきましたが、僕とあなたは未来を創るということで、こちらも殺し文句です。後にそれは使わなくなるのですが、世界を変える、宇宙に衝撃を与えるなどといった言葉が非常に好きですね。それこそジェフ・ベゾスもそうですが、世界を変えられるというのが非常に好きな人がいて、その人たちにとっては刺さる言葉なのだと思います。


●新しい役割意識を育てることで、限界を超えていく


―― 5番目が「僕たちはエンジニアじゃなくて、芸術家なんだ」ということです。

桑原 これはまさに「エンジニアの楽園」といわれている今のグーグルが使っているものです。ただのエンジニアではないという言い方をしていて、特にアップルの製品は美術館に飾られるぐらい美しいものが多い。ここでの言っているのは、君たちはただのエンジニアではなくて、すごいものをつくる芸術家なのだということです。とは言いながら、安い給料しか払わないという独特なところもあるのですが、そこはものづくりに対する仕事がどういう価値観を持つかによって全然違ってくる話です。

 つまり、「三人の石工」の話のようなところがあります。一風変わった人間の多かったアップルの若いエンジニアに対して、「君たちは芸術家なのだ」と言って、美術館に連れて行ったりもしていて、そういう価値観を与えたことはすごいことです。そこで働いていたアンディ・ハーツフェルドも、この言葉が自分には一番響いたと言っています。お金儲けのためでも売上のためでもなくて、世界を変え...
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