失敗する日本企業の構造と改革への宿題
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
MRJの失敗にみる「日本のものづくり」の問題点
失敗する日本企業の構造と改革への宿題(1)「日本のものづくり」の課題
経営ビジネス
柳川範之(東京大学大学院経済学研究科・経済学部 教授)
MRJ(現・三菱スペースジェット)など、日本のものづくりにおける失敗事例を参照しながら、日本企業の構造的課題と今後の展望について解説するシリーズ講義。今までの日本のものづくりは優れた技術に支えられてきた一方で、顧客ニーズオリエンテッドな視点が弱かったのではないかと柳川氏は指摘する。製品やサービス開発には、顧客はどんなニーズを持っているのか、それをどのようにカスタマイズして織り込むかが重要で、技術最優先を偏重する考えは改めるべきである。(全4話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13分12秒
収録日:2020年11月18日
追加日:2020年12月26日
≪全文≫

●MRJの事例にみる日本のものづくりの問題点


―― 皆様、こんにちは。本日は柳川範之先生に、最近の事例をいろいろ参考にしながら、日本企業の失敗と今後の展望についてお話を伺いたいと思っております。柳川先生、どうぞよろしくお願いいたします。

柳川 よろしくお願いします。

―― ちょうどこのコロナで、経済もだいぶ厳しくなったこともありますけれども、日本企業のこれまで強かったというか、ここは負けないよねと思っていたところで、少しずつほころびと言いますか、失敗事例が出ているのではないかと。

 例えば直近の例でいいますと、三菱重工さんが作っていた、あのスペースジェットですね、MRJ(現・三菱スペースジェット)の事業継続が厳しくなってきたというようなニュースも流れておりますし、ものづくりが大丈夫なのかという心配も起きております。ここにきて日本企業として、どうしていくべきかというのを今日ぜひお伺いしたいと思います。

 まず、MRJ(現・三菱スペースジェット)についてです。かなり長い期間かけて開発してきたのに、うまく着地できなかったということですが、その原因といいますか、その本質はどこにあったとお考えでしょうか。

柳川 そうですね。私は中をちゃんと見たわけでもなくて、部分的な情報でしか判断できないんですけれど、やはり大きな全体のシステム開発をするときに、全体の総合マネジメントをするのが難しかったという話が漏れ聞こえてきています。

 それからもう一つ。MRJのようなものは顧客ニーズに合わせてかなりカスタマイズしなきゃいけません。そうしたカスタマイズをするときに、どこまでを標準化しておいて、どこまでを個別の顧客のニーズにカスタマイズするかといったことをしっかり考えられなかったのではないか。

 ということで、この2点はよく聞く話です。この2点は、おっしゃるようにこのMRJだけの話ではなくて、今の日本のものづくり、あるいはこれからの日本のものづくりを考えていくポイントを示しているような気がするんですね。


●今後一層求められるのはニーズオリエンテッドでの製品開発


柳川 まず先に一つ目として、顧客ニーズにどうやって合わせていくかということについてお話しします。

 日本のものづくりはすごく優れたものがあって、これはこれからもしっかり受け継いでいかなきゃいけない非常に重要な特質だと思うん...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
重職心得箇条~管理職は何をなすべきか(1)時代に請われ、時代に応えた佐藤一斎
部下を育てるには、まず佐藤一斎に学べ!
田口佳史
キャリア転換で人生を成功させる方法(1)2つの大きな潮流
なぜ40歳でキャリアについて一度考え直す必要があるのか
為末大
日本企業の弱点と人材不足の克服へ(1)膠着する日本経済の深層
日本経済の行き詰まりをもたらした2つの大きな理由とは
西山圭太
会社人生「50代の壁」(1)“9の坂”とまさかの坂
サラリーマン人生「50代の壁」を乗り越える生き方
江上剛
ストーリーとしての競争戦略(1)当たり前の重要さ
柳井正氏の年度方針「儲ける」は商売の本筋
楠木建

人気の講義ランキングTOP10
続・日本人の「所得の謎」徹底分析(1)各国の財政と国民負担
日本と各国の比較…税負担は低いが社会保障の負担は高い
養田功一郎
経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力
米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長
松尾睦
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子
数学と音楽の不思議な関係(4)STEAM教育でつくる喜びを全ての人に
世界で最もクリエイティブな国は? STEAM教育が広がる理由
中島さち子
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
片山杜秀
未来を知るための宇宙開発の歴史(9)宇宙開発を継続するための国際月探査
「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味
川口淳一郎
第2の人生を明るくする労働市場改革(1)日本の労働市場が抱える問題
シニアの雇用、正規・非正規の格差…日本の労働市場の問題
宮本弘曉
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(4)百年後の日本人のために
百年後の日本人のために、共に玉砕する仲間たちのために
門田隆将
「アカデメイア」から考える学びの意義(2)プラトンの学園アカデメイア
プラトン「アカデメイア」の本質は自由な議論と哲学的探究
納富信留