「研究開発型ベンチャー」成功の条件
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
資金調達と開発のバランス…ベンチャー企業のメリットとは
「研究開発型ベンチャー」成功の条件(1)なぜベンチャーか?
片岡一則(ナノ医療イノベーションセンター センター長/東京大学名誉教授)
ベンチャー企業の活躍が目覚ましい。世界的猛威をふるう新型コロナウイルスのワクチンの中にはベンチャー企業によって開発されたものもある。ナノテクノロジーという最先端科学技術による創薬、その実用化のプロセスの中で、ベンチャー企業がどのような役割を担っているのか。大企業との比較におけるベンチャー企業の特徴や、多様な形態について解説する。(全3話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分07秒
収録日:2021年5月12日
追加日:2021年8月14日
≪全文≫

●ベンチャー企業の利点と多様な形態


―― 皆さま、こんにちは。本日は川崎市産業振興財団ナノ医療イノベーションセンターのセンター長で、東京大学名誉教授でいらっしゃいます片岡一則先生にお話しをいただきます。片岡先生、どうぞよろしくお願いいたします。

片岡 ご紹介どうもありがとうございます。片岡です。

―― どうぞよろしくお願いいたします。

 (さて)先生がつくられた「ナノキャリア(現・ナノMRNA)」という会社はベンチャー企業です。ナノマシンのような最先端科学技術を実用化する流れには、研究機関、製薬会社、そして最後は病院がありますが、ベンチャー企業がそれらをつなぐ役になる可能性は大きいと思いますか。

片岡 それは最近特に欧米で顕著です。出てくる新薬のほとんどはベンチャーから出てきています。

―― 海外の場合、ベンチャーは大学とか研究機関と結びついていることが多いということですか。

片岡 ほとんどの大学でそうです。もちろん大企業でもできますが、大学で生まれた研究成果をベースにして、それをいち速く実用化するには、やはり目的を明確に定めたベンチャー企業のほうがフットワークは良いですし、速いですね。

―― 非常にビジネス的な話ですが、例えば製薬会社で薬を開発するときの費用は、その特許料や薬を売った収益で賄うことになると思います。こういう研究発のベンチャー企業の収益性は、どこから得られるのでしょうか。

片岡 大変良いご指摘です。まず、開発には時間がかかります。例えば、「siRNA」などの核酸医薬の創薬で有名な「Alnylam(アルナイラム)」という会社があります。ボストンで創業して、20年近くかけて初めて薬を世の中に出しました。

 それから今、話題になっている新型コロナウイルスのワクチンを開発した「moderna(モデルナ)」と「BionTech(ビオンテック)」も、このワクチンが会社としての初めての製品です。開発には比較的長期的な時間がかかるので、資金調達が一番難しいのです。そういう点では、外部からの資金調達をいかにスムーズに行うかはすごく重要です。

 それから、実際に最後まで自分たちでやるのかどうかという点があります。例えば、「Genentech(ジェネンテック)」や「AMGEN(アムジェン)」などの初期のバイオベンチャーは、薬を開発して上場します。そして市場から資金を調達しつつ、製薬企業として成...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
イノベーションの本質を考える(1)イノベーションの定義
イノベーションの定義はパフォーマンスの次元が変わること
楠木建
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
ファーストリテイリングで経営者が育つ理由
楠木建
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
ハラスメント防止に向けた風土づくり(1)ハラスメントの概要
増え続けるハラスメント…その背景としての職場の特徴
青島未佳
認知バイアス~その仕組みと可能性(1)認知バイアス入門
誰もが陥る「認知バイアス」…その例とメカニズム
鈴木宏昭

人気の講義ランキングTOP10
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
デカルトの感情論に学ぶ(1)愛に現れる身体のメカニズム
デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム
津崎良典
内側から見たアメリカと日本(2)アメリカの大転換とトランプの誤解
偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動
島田晴雄
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(3)未解決のユダヤ問題
「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方
東秀敏
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
産業イニシアティブでつくるプラチナ社会(1)「プラチナ社会」構想と2050年問題
5つの産業で「資源自給・人財成長・住民出資」国家を実現
小宮山宏
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(2)言葉を理解するプロセスとスキーマ
なぜ子どもは教えられても理解できないのか?鍵はスキーマ
今井むつみ
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司